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072 聖王国の企み

誰もが戸惑っている中、いち早く復活したのは姫様だった。


「領主様、ここで気絶している衛兵以外の二人は知り合いですか?」

「……一人は知っている。もう一人は知らない」

「ふむふむ。 衛兵達、剣から手を離せ!

 ミカド・バナン・ストロングベリーの命令である!」

「「「は、ははっ!!」」」


王族の名前はやっぱり効果があるようだ。

全員がすぐに指示に従った。


「衛兵達よ、この三名を拘束せよ!」

「は、ははっ! し、しかしですね……よろしいのですか?」

「…………言われる通りにしなさい」

「ははっ!」


衛兵の中でも上司のような人が領主さんにお伺いを立ててる。

いくら王族の命令でも、領主に逆らって良いのか?ってところか。

中間管理職は大変だねぇ。


姫様は三名が拘束されるのを見た後、俺の所にやってきた。


「さて、聖人様。

 この三名が何を企んでいたか、説明をお願いしても良いですか?」

「えっ?! あ、はい」


そんな事、俺に聞かれても困る!って言いかけたけど、目線がアンドロマリウスに行ってたので気づいた。


「詳しくはアンドロマリウスに説明させましょう。お願いできるかな?」

「御意」


姫様が頷いている。どうやら合ってたようだ。

そういう腹芸は俺には無理だから。

今回はたまたま成功したけど、次からは合図とか決めておいて欲しい。

合図を覚えられるかは別問題だけど。


「そこの家令ジョストが首謀者です。こいつは隣国のハウルス聖王国に雇われています。

 隣の商人アッタクが繋ぎ役です。商人の立場を利用して行き来してました。

 そちらの衛兵ガドーはアッタクから借金をしており、無しにする代わりに計画に参加しています。

 こやつらの計画ですが、主殿の能力を調べる事。

 そして本当に神に呼ばれた使徒ならば、聖王国に連れてくる事。

 もし違うなら、神を語る愚か者として殺す事。以上です」


なんちゅう計画だよ! 怖いな、聖王国!


「それを指示した人物は判るのかしら?」

「指示した人物は教皇ですね」


教皇? 教皇ってどれくらいの立場なのだろう?

ついでに言えば家令って何? カレー? 美味しいの?


「教皇ってどれくらいのレベルなのか知ってるか?」

「はい。聖王国では、枢機卿がおり、その下に10人の教皇が居ます。

 法王(1人)→枢機卿(1人)→教皇(10人)→司教(20人)→司祭(100人)→助祭(200人)です。

 なので、この国で言えば、教皇は貴族のトップクラスである大公や公爵や侯爵辺りと思えば良いでしょう」

「う~ん、まだよく判らない」

「そうですね。では。

 命令を出したのは上から5番目の人物、と言えば分かりやすいでしょうか?」

「あっ、それなら判る。……ってかなり偉い人じゃん!」


だって、法王っていう王様と、枢機卿っていう軍師ってか宰相を除いたら、後3人じゃん!

10人の中のトップ3だろ?! 銅メダルでしょ?!

四天王で言えば「あいつを倒したからといい気になるなよ。あいつは俺達の中で一番弱い!」とか言って登場するヤツ!


い、イカン。混乱してる。

で、でも、どうしよう? どうしたら良い?!


「主殿、心配なさらなくても大丈夫です。

 少なくともこの街中での驚異は無くなりました。

 連絡が無くなった事に気づき、他の者を送り込んでも次に現れるのは1週間後になります」

「で、でも、1週間後には来るんだろ?!」

「いえいえ、来ませんよ」

「何で言い切れるんだよ!」

「その前にその国が無くなりますから」


あっ、ヤベェ。別の心配が発生した。

どうやらメチャクチャ怒ってらっしゃるようで。

聖王国を滅ぼすつもりですね? さすがの俺でも判ります。

チラリとフォルネウスを見れば、こちらも怒ってる様子だし。


ついでに言えば、控室(?)でも他の悪魔が見てるんだろ?

もう全員に知れ渡ったんじゃないかな~?

ヤバイよ、ヤバイよ!


「しょ、証拠は?!」


おっと、領主さんが復活したようだ。

アンドロマリウスに証拠を出せと言い出した。


証拠か~。

俺は悪魔の事を信じてるから、間違い無いんだろうって判るけど、他の人は違うよね。

罪を裁くにも証拠は必要だろうし。


アンドロマリウスがチラリと俺を見る。

その目は「何か言ってますがどうしますか?」と訴えているように見えた。

ここはちゃんと答えてもらおうと思い、頷いておいた。


でも、これが失敗だった。


「証拠ですか。簡単じゃないですか。

 こやつらが喋ってくれますよ。それを聞いてから探せば良いのです」

「そんな奴らが簡単にしゃべる訳無いだろう!」

「喋りますよ。主殿、サクスを呼んで頂けますか?」

「サクスを?」

「はい。尋問するのに必要ですので」


……本当に尋問か?

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