068 フォルネウス
悪魔を召喚するからと海に向かう。
折角だから、水関係の悪魔を呼ぼうと思ったからだ。
そう言ったら、領主さんも付いてきた。
忙しいのに良いのかな?と思い聞いたら「最優先」との答えが。
確かに水利関係は重要ですよね。
ほどなく海に到着した。
場所は船着き場のような所。
日本のようにコンクリートでは出来てないが、石を成形した物を海に沈めて作ってあるようだ。
この場所を指定したのは領主さん。
「何でこの場所なんですか?」
「ここは軍の所有地だから」
だから人がまばらにしか居ないのか。
よく見れば居る人達は同じ格好をしているし。
よく考えれば、悪魔召喚なんて普通驚くよな。
今までそんなにアクションが無かったから気にしなかったけど。
それを説明も無いまま街中でやったら騒ぎになるよね。
だからこの場所なのか。
さて、誰を呼ぶのか。
これは既に決めている。
と言っても、候補は2人居るのだが。
ウェパルとフォルネウスだ。
悩んだけど、今回はフォルネウスに決定した。
ウェパルは人魚。
だから最適かな~と思ったんだけど、能力を見て止めた。
だって能力が「悪魔しか解毒出来ない毒を発生させる」だったから。
毒なんか必要無いし!
そんなの生み出せる悪魔呼ぶなんて、何か企んでると思われても困るし。
早速フォルネウスを呼ぶ。
光のエフェクトがあった後、海に3mくらいの白いイルカが居た。
フォルネウスの姿はイルカで、能力は『海洋生物を操れる』というもの。
海の中に悪魔カードがあるなら、探すのはお手の物だろうと思ったんだ。
地上にあるなら……どうしよう。考えてなかった。
港町だから、勝手に海の中にあると思ってたよ。
デカイ風呂みたいなのを作って、それに入ってもらって神輿みたいに運ぶか?
って、何考えてんだ。他の誰かを呼べば解決じゃないか。
「あるじぃ、どうしたの?」
「ん? 何でも無いぞ。捜し物があって呼んだんだけど、地上にあったらどうしようって考えただけだよ」
「……やっぱり自分がイルカだからダメなんだ…………」
「ど、どうした?」
フォルネウスが落ち込みだした。
イルカの表情なんか判らないけど、声からそう感じる。
「あるじぃも、自分がイルカの姿だからなかなか呼んでくれなかったんでしょ!
悪魔なのにイルカだから!!」
「い、いやいや、そんな事無いぞ~!」
「……本当に?」
「本当に」
「ホントに本当?」
「ホントに本当!」
「……わかった」
イルカの姿を気にしているようだ。
まぁ俺も思ったよ? 水辺でしか呼べないよな~って。
「落ち込む事は無いぞ~。ほら、地球の7割は海じゃん?
だから7割は水辺系の役割じゃん?」
「……ここは地球じゃないから、その割合は意味無いよ?」
冷静にツッコむなよ! 励ましてんだよ!
よし、話題を変えよう。
「で、呼んだ理由なんだけどさ。
この街に悪魔の気配ってある? カードの気配でも良いんだけど」
「うん。あるよ~」
「おおっ! マジか! どこにあるか判る?」
「うん。海の中だね」
やったぜ! 速攻で問題解決だ。
後は回収して、領主さんと話し合いだね。
「ちょっと待ってください」
回収を頼もうとしたら、領主さんに止められた。
今週も土曜日更新はお休みさせていただきます。




