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059 ランチ

鑑定で驚愕の事実を残して、バイモンは帰っていった。

中途半端でモヤモヤするわ~。


ギフトにプラスがつくという事実は、手紙にして王様に送るそうだ。

なぜなら、ここまで進んだのに帰りたくないから。俺が嫌がった結果です。

もしかしたら帰還命令が出るかもしれないって書きながら言うから、最低でもカードを1枚見つけるまでは帰らないと書いてもらった。

聖人様の言葉だから、強要はして来ないだろう。



港町ケルンまでは、後り半日って辺りまで進んだ。

目の前には村と街の中間くらいの規模の町がある。

寄らずに進めば、夕方にはケルンに着くらしい。

でも俺達は急いでないし、もしかしたらこの町にも何か情報があるかもしれないので寄る。

ここまでの道中も、町や村には全部寄って来たんだよね。


う~ん、微妙に活気の無い町だなぁ。

通りには食べ物屋と宿屋が多い。


「リョー、情報収集ついでに昼飯を食っていくか?」

「そうだな。どこに行く?」

「二手に分かれるか。その方が早いだろ」

「そうだね。良いよ」


俺と王太子、アイザックさんと姫様、って組み合わせになった。

って言うか、この組み合わせになる事が多い。

まず、俺と姫様は一緒になる事は無い。

なぜなら二人共、非戦闘員扱いだからだ。不意に襲われたら対処出来ない。

で、王太子と姫様の組み合わせ。仲は良いんだけど、兄妹で組みたくないらしい。その気持ち、判らなくもない。

結果、俺と王太子がペアになるのだ。


「どこに入る?」

「変わった料理を出す所が良いなぁ……」


道中にある食堂とか宿屋の料理、なんか全部似てるんだよねぇ。

日本で例えるなら、旅館の料理だと思ってくれればOK。

あれって、小鉢があり、小さいコンロがあり、メインがあり……って感じでしょ?

初日は良いけど、毎日出されたらイヤになるでしょ? 少なくとも俺はなる。

カツ丼とか出してくれ!ってなる。


あっ、ちなみに、ちゃんとした料理だよ?

ラノベみたいに料理法が少ないって事は無い。ちゃんと炒めるとか揚げるとかもあるからね?


後、海から遠くても魚料理が出る。

聞けば、魔法で凍らせて運んでるらしい。その分高い食事になるけど。



そんな事を話しながら歩いていると、エプロンをした男の子が近づいてきた。中学生くらいかな?


「兄ちゃん達の会話が聞こえたよ。どうだい? うちの店に来ない?」

「変わった物を食わせてくれるのか?」

「おう! この辺には無い料理だぜ!」

「どうする?」

「良いんじゃない? 自信ありそうだし。

 あっ、料理するのは当然大人の人だよな?」

「そうだぞ? 俺の父ちゃんと母ちゃんだ」


なら良いか。

エプロンしてるから、子供が料理するのかと思ったじゃないか。

……イカンな。まだラノベ脳になっているようだ。

普通に考えたら、子供が料理する店なんか認められてないに決まってるよ。


案内されるままに1件の店に入る。

うん、客がいない。まぁ、ここに来るまでに他の店もチラチラと見たけど、他の店にもあまり居なかったが。


「何にする?」

「オススメで。グランもそれで良いか?」

「ああ。あれだけ自慢したんだ。期待しているぞ?」

「任せろ! うちの料理は違うぜ、って痛ぇ!!」


あっ、親父さんにゲンコツ食らった。


「お前、客に向かって、何を偉そうに言ってんだ! すみませんね、お客さん」

「いえいえ」

「サービスしますんで」

「いえ、それよりも変わった料理を食べさせてくれるそうで。それをお願いします」

「良いですけど、そりゃどうして?」

「王都からケルンに向かってるんですけど、似たような料理ばかりで飽きてるんですよ」

「そういう事ですか。分かりました。待ってて下さい」


ニヤリと笑った親父さん。男の子を捕まえて厨房に戻っていった。

うん、期待出来そうだ。楽しみにしよう。

ゲテモノ料理じゃない事を祈る。



俺の予想に反して、出てきた料理は眼を見張るものだった。

カツ丼(小)!! そして、うな丼(小)!! 最後に漬物!!

スプーンとフォークではなく、箸で食うだと?!

味は?! おおっ!! 美味い!!

ジャパニーズ宝石箱や~~!!

すごい勢いで食ってしまった……。満足だ。


「どうだった?」

「おおっ! 親父さん!! 美味かった!! 感動した!! な、グラン! ってまだ食ってるのか?」

「……いや、美味いけどな」

「……そうなんだよなぁ。こうなるんだよなぁ」

「何が? どういう事?」


何か問題があっただろうか?


「まず、箸が使えねぇ人が多い。丼はスプーンとフォークだと食べにくいんだ。

 それから、飯の上に乗せて出す料理は下品だとされていてな。嫌がる客が多い」

「そういう事か。どうなんだ、グラン?」

「言いにくいが……ま、まぁそうだな」


へ~、そうなんだ。

特にグランは王太子だから、一般人よりも余計に下品な食べ物だと思うよね。

俺なんかは庶民だから、これが高級料理と言っても良いくらいだけど。


「ま、兄ちゃんが褒めてくれたから良いよ。最後に分かる客が来て良かったぜ」

「えっ? 最後って?」

「この店、閉めるんだよ」

「ちょっと待って!! ストップ!! 思い直して!!」


大問題だ!! 皆を集めて会議をせねば!!

だからグラン、早く食え!!

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