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031 宣言の内容

ギルドマスターの部屋で書き物をしている王太子。

事情を知っている関係者全員を集めているのだが、集まるまで時間があるって事で。

ちなみに時間がかかる原因は発病した近衛騎士さんも呼んでるから。

治ってるはずだが、検査でOKが出るまでは来られないのだ。


「これで良し。ギルドマスター、お願いするよ」

「判りました」


書いていた物をギルドマスターに渡している。

それを封書に入れて、金庫のような物の中に入れた。

何をやってるんだろう?


「ん? ああ、リョウスケ殿は知らないんだな。

 あれは転移装置だ。王都にある冒険者ギルドと繋がっている。

 入れた物はすぐに王都に着く仕組みだ」

「へ~、便利ですね」

「ただしサイズは転移装置の大きさまで。生物は転移不可能。

 一度設置してしまえば、移動させる事も出来ないけどね」


Eメールしか送れないパソコンみたいなものか?

まぁ、伝書鳩とかよりは早くて確実だろう。


そんな話をしていると、近衛騎士がやってきた。

これで当初のメンバーが全員揃った。グラシアは除く。


「さて、全員揃ったので話をしようか。

 今回の奇病問題が解決した。なのでこれを発表しなければならない」

「終息宣言ですな」

「その通り。だが、真実を話すには色々と問題が多い」


あ~、俺の事とか悪魔の事とか、更には教会では封印出来なかったとか、どうやって治したのかとか。

確かに話しにくい事ばっかりだね。


「そこで私は考えた。今からその内容を話すので、何か問題点や疑問点があれば意見してくれ」

「「「「はい」」」」


さすが王太子。この短時間で言い訳を考えてたのか。

さす王と呼ぶか?


「全てを隠すと必ず綻びが発生する。ウソの中に真実を混ぜて発表する。

 ここまでは良いな?」

「「「「はい」」」」


さす王。

それなら追求されにくいだろう。


「まず、今回の奇病だが、悪魔の仕業と言う事にする。今世界に悪魔が現れた事が判明していると発表する。

 調査中だったので公表出来なかったが、解決策が出来たので公表したとするのだ」


この辺は事実だな。

その悪魔を送り込んだのは神様ですけどね。


「神はそれを嘆き、対抗する手段として聖人様をこの世界に送り込んでくださった。

 聖人様は唯一悪魔に対抗出来る存在なのだ。その聖人様が我が国にやってきてくださった。

 そのお力をもって、今回の奇病を起こした悪魔を封印された。と」


さす王。

…………んん? ちょっと待とうか。変な流れになってきてません?


「その聖人様がリョウスケ殿だ」

「ストップ! 待って! 俺?! 俺なの?!」

「そうだが?」

「何で『当然だろ? 何言ってんの?』みたいな顔してるの?!」

「リョウスケ殿、落ち着いて考えたまえ。

 神が護衛に悪魔を付けて異世界から捜し物をさせる為に君を送り込んだ、なんて誰が信じる?

 それよりも今話した内容の方が信憑性があるだろ?」

「むむむ……」

「しかもメリットしかないぞ。

 これならリョウスケ殿がこの世界に詳しくなくても問題無い。

 悪魔が起こしたのではないかという情報が集まりやすい。

 更に、国内を自由に移動出来る。いや、国が違っても移動出来るだろうな。

 何よりもほとんどの人が協力的になるだろう。どうだ?」


さす王!

反論の余地が無い!

確かに聞けば聞くほど良い事に思える。


「でも、目立つじゃないですか!」

「目立って何か問題が?」


うっ! そう言われると……よく考えたら目立って困る事は特に無いか?


「い、いやいや、目立ってたら悪魔を使いにくいでしょ!」

「逆だ。目立っているからこそ、悪魔を使いやすくなるのだ。

 封印した悪魔を使役する事が出来る聖人様。使った所で問題は無い。

 知られていなければ、異形な者を出した時に警戒されるだろう?」


くっ! 正論だ!

……よく考えたら、何で目立ちたくないと思ったんだろ?

あぁ、そうか。ラノベでは主人公ほぼ全員がそう言い出すからだ。

チートを貰ったから、目立ちたくない。のんびりと暮らしたい。荒事に関わりたくない。等など。

チートを使って暴れといて目立ちたくないとか言うな、と思ってたわ。

あっ! だからこそ、逆に目立ちたくないじゃないか!


「よく考えてください! 俺自体は弱いんです! クソ弱です! 底辺です!

 そんな俺が目立ったら危険じゃないですか!」

「どうしてだ?」

「えっと、例えばお金を稼いだとして、弱者だから狙われたり……」

「ふっ、そういう点も解決済みだ。

 リョウスケ殿には、この国に居る限りは私が付きそう!

 そして近衛騎士からアイザック、お前が付いてこい」

「了解しました」

「これでリョウスケ殿を狙うような者は出ないだろう。なんせ王族を敵に回す行為だからな」

「勝手に決めないでくださいよ!

 逆に王族を狙う者の争いに巻き込まれるんじゃないですか?!」

「悪魔を従えている君が何を言っている?

 何者にか狙われた所で、私とアイザックが数秒時間を稼ぐだけで良いのだ。

 その間に君が悪魔を召喚する。これで万事解決だろう?」


さす王!

俺に反論の余地は1mmも無いようだ……。


「ま、信頼を得る為にもこちらのメリットも話しておくか。

 勿論迅速に悪魔関連の事件を解決したいという事が一番だ。

 それから『聖人様を味方に付けた王太子』という立場もありがたい。民から信頼される王太子でいたいからな。

 悪魔の事件を解決するにあたって、小さな村に行く事もあるだろう。そういう場所にも赴く王族というのも良い。

 悪魔の召喚によって、こちらも安全に各地へ移動出来る。リョウスケ殿が命令すれば守ってくれるだろう?」


ま~、よくもここまで短時間で考えたなぁ。

これが王族、いや貴族ってやつか!

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