表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/187

025 世間話

ギルドマスターが人を使って王太子と連絡を取っている間、世間話をする事に。

世間話と言うか、主に俺についてだけどさ。


「お前くらいの能力があれば、普通は権力者に近づくもんだがな」

「そういうもんですか?」

「あぁ。もし雇われれば身分の証明にもなるし、給料も保証される」

「それって冒険者でも、ですか?」

「そうだな。有名になったヤツの半数は権力者に雇われてる」


へ~。

あれ?でもラノベじゃあ冒険者と貴族は合わないみたいな感じじゃなかった?


「権力者、貴族や王族は冒険者を雇うんですか?」

「何言ってんだ? 当たり前だろ?」

「えっと、自分の知るところでは、仲が悪いって感じなので」

「異世界だとそうなのか?

 貴族は自分の配下に常に兵士が居る。それは貴族というよりも領主に仕えているんだ」

「領主と貴族は別なんですか?」

「そうだ。勿論同じ所も沢山ある。だが、貴族が自分の領を家臣に託して管理させているところもある。

 簡単に言えば、自分に仕えている一般人の家令とかにやらせている場合もあるって事だ」


なるほど。

そういうの有ったな。

自分は王都に居るから、領を別の人に任せるってヤツ。


「逆に、貴族だからと必ず領主な訳ではない。

 王都に居る文官なんかは、領を所有していない者が多い」

「あっ、それは判ります」

「で、兵士の話に戻すが、領主に仕えているって意味が判ったか?」

「はい」


つまり貴族直轄の兵というよりも、領を守る為に雇っている領兵って感じなのね。

なので最終的なトップは貴族になるけど、実質的なトップは家令の場合もある、と。


「その兵士は領の安全を守る為に居る。

 魔物に対処したり、賊を捕まえたり、災害のあった場所に派兵したり、街で起きる犯罪に対処したり」

「なるほど」

「だが問題もある。突然領主がある場所に行かなければならなくなったとしよう。

 その場合、勿論兵を連れて行く訳だが、兵の人数にも限りがある。

 さっき言ったような所で働いている人数を減らして回すにも無理がある」


そりゃ余分な人数を雇ってる訳にはいかないよね。

必要なきゃ給料がもったいない。


「そこで冒険者だ。日雇いすれば良いし、色々な事に対処出来る能力を持っている者が多い。

 冒険者を雇って、こちらを元々の業務に回して、そちらに就いていた者を領主が連れて行っても良い」

「確かに」

「そんな便利な冒険者だ。貴族と仲が悪い訳無いだろ?

 貴族からすれば、いつでも雇える人夫。冒険者からすれば、金払いの良い上客。

 お互い損が無い」


そう言われれば納得。

小説では何で嫌われてる設定だったんだっけ?


「えっと、思い出しました。

 嫌われてる理由が2~3個あったと思います」

「言ってみろよ」

「え~、暴力的で野蛮な人達だから。みたいな」

「戦争する貴族や王族の方が野蛮だけどな」

「そっちじゃなくてですね……魔物や動物を狩ってる方です」

「集団になれば領主が兵を出して狩るぞ?

 それに狩らなければ、肉なんか手に入らないだろ?」

「それをする職業をバカにしてるというか……そんな感じです」

「はぁ? 職業で差別すんのか? そいつらは飯食わないのか?

 食う飯を作ってるのは農家だし、肉を狩るのは猟師や冒険者、魚を捕るのは漁師。

 もしその職業をバカにする貴族なんか居たら、そいつ水以外入手出来なくなるぞ?」

「それはなぜ?」

「そういう産業に関わってる者が売らなくなるからだ。

 商人も商売が成り立たなくなるから、売ってもらいたい。だから、そんな貴族との付き合いを無くすようになる」

「そんなに産業側が強いんですか? 貴族なんだから脅せないんですか?」

「脅してどうするよ? 悪評が広まれば、自分の領から人が流出していくだろ。

 人が減れば税収も減る。自分の首を締めるだけだ」


まぁそうなんだけどね。

でもそういう職業の人って底辺みたいな扱いじゃないですか、小説って。


「良くも悪くも、貴族ってのは損得勘定で動いている。

 領民を守るのも税収を増やす為だ。冒険者ギルドと仲が良いのも便利に使える為。

 貴族が政略結婚をするのも、自分の領土を守る為と発展させる為だ」


うわ~、身も蓋もない話だ。

まぁ威張り散らしているより良いけどさ。


「じゃあ、悪い事をしているような貴族は居ないと?」

「そんな事は無い。年に何件かは逮捕者が出るな」

「マジですか。それはどんな罪で?」

「損得勘定に特化してるからな。だから裏切りは許さない。

 裏切ったヤツを家ごと潰そうとしたりして捕まるのが一番多い。

 偶にあるのは性犯罪だな。政略結婚の弊害だと思うぞ」


あ~、嫌いな相手と結婚させられたので、他に求めたと。

犯罪するくらいなら風俗に行けば良いのに。

あっ、そうか。身分のある人が風俗行ったら、それも悪い噂になるか。

大変だな、貴族も。犯罪者には同情はしないけど。


「じゃあ威張ってる貴族や貴族の息子とか、居ないんですか?」

「何をもって威張ってると言ってるのかわからんが、貴族は身分が上だから偉そうにしてるのが当然だぞ。

 子息もそういう教育をされているから、意味なく平民に偉そうにする事はない。

 それに所詮息子だからな。後を継ぐまではただの貴族の息子。

 後を継いだ時の権力を前借りして使えないし、そんな事をすれば悪評が広まり継げなくなるだろうな」

「これから会う王太子は?」

「勿論立場は上だが、ちゃんと教育されている。

 権力も普通はそこまで無いが、今回の場合は王からの指令を受けているから、権力は持ってる」

「本人の権力じゃなくて、命令を出した王の権力って事なんですね?」

「そういう事」


なるほどな~。勉強になる。

知識で持ってても、こういう細かい点は判らないからね。

アレと一緒。ネットの動画配信。そういう物があるのは知ってるけど、使い方が判らない物を動画で説明してくれるヤツ。

つい見てしまうんだよね。解説動画って。


噂をすればなんとやら。

なんと王太子がここにやってきた!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ