002 売家
本日２話目です。
飛ばされて来た部屋は３畳くらいの部屋で、物は何も無い。あるのはホコリだけ。
窓には磨りガラスのようなガラス。
「……物置か？」
恐る恐る部屋を出て探索してみた結果、空き家という事が判明した。
入り口の扉に『売家』って書いてあったからね。
神から貰った知識に文字の読み書きもあったから助かった。
でもね、この貰った知識。
な～んか、偏りがあるんだよ。
この世界に居るモンスターに関しては、すげー詳しい。
でも言語なんかは『共通語はコレ。他にも沢山ある』だぜ？！
いやいや、共通語以外も教えろよ！
普通異世界人はあらゆる言語を使えるもんだろうが！
で、秘密の会話なんかも『ごめんね～、俺、その言語知ってるから内容判るんだよね～』とかなるもんだろ。
他には、街や村の場所、売っている物の相場、マップなんかは詳しい。
逆に、人種や貴族（王政らしい）や有名人なんかの知識はほぼ無い。
……判った。あの神、ゲーム脳だ。
ゲームクリアに必要な情報しか持ってないんだ。
クリアに直接関係無い、街の人の会話とかの情報は無用なんだ。
よく考えたら、俺がこの世界に送られた理由もゲームだもんな……。
気を取り直し、最初の部屋に戻る。
もしかしてこの家、神と関係あるんかな？
だとしたら売家だし、買っておいた方が良いかも。
まあ後だ。
まずは状況整理から。
まず自分の格好。
スーツ姿かと思ってたけど、安っぽい茶色のズボンに黒の上着、そして紺色のローブ。
魔法使いっぽい格好だ。
この世界の服装なんだろうね。
スーツを売って最初の所持金にするって目論見は無理だったよ。
パンツだけは自前だった。流石にこれは売れないな。
次にインベントリ。
どうやって使うんだろ？と思った瞬間、脳内に中身が浮かんできた。
その中身だけどさ……。
・神からの手紙
・味噌５００ｋｇ
・醤油５００ｋｇ
・砂糖５００ｋｇ
・塩５００ｋｇ
・酢５００ｋｇ
・みりん５００ｋｇ
・胡椒５００ｋｇ
・調理道具一式
・ソロモンの指輪
・ソロモンカード４０枚
田舎のオカンが送ってきた仕送りか？！
いや、おかんは調味料ばっかり送ってこないな。
自炊しろって事か？
もしそうなら、米も入れとけよ！！
しかしラノベでは皆が欲しがる味噌や醤油があるのはありがたい。
塩とか胡椒は売れば金になるかな？
……自分の分が無くなったらヤバいから、本当に生活が苦しくなってきたら考えよう。
で、この中で特徴的なのが『ソロモンの指輪』と『ソロモンカード４０枚』。
とりあえず出してみる。
……ふ～ん、左手の中に出現するのね。
大きい物だとどうなるんだろ？ 後に検証だな。
これがソロモンの指輪か。なんか安っぽい。
鉄製だし、中央の紋章が書かれている部分は金じゃなく真鍮？
左手の中指にも入りそうなサイズだったので入れてみたら、縮まって抜けなくなった……。
はずれない方が無くさなくて良いんだけど……言っちゃ悪いかもしれないがダサいのではずしたい。
今度石鹸か糸を探してみよう。
それで、本命のソロモンカード！
懐かしいわ～。
本当に俺が使ってたヤツじゃん。
そうそう、当時『双子座』でデッキ組んでたんだよね。思い出したわ。
えっと、悪魔カードが２０枚、魔法カードが１０枚、罠カードが１０枚の合計４０枚か。
おっ！ 罠カードの『停止』だ！
これ当時レアで、引き当てた時は友達からかなり羨ましがられたな～。
ん？ んんん？！ 効果がおかしい！
このカード、効果は『相手は攻撃を３ターン出来なくなる』だったはず。
なのに『５秒だけ時間が止まる。その間動けるのは自分だけ』って書いてある！
このカードを実際に使えるの？ このカードだけでチートじゃん。
こんなんが後３９枚もあるの？ 俺、この世界を征服するの？
こうなってくると、悪魔カードを見るのが怖い。
個々の効果は忘れたけど、とんでもない能力を持ってそう。悪魔だし。
とりあえず見てみるか。
…………うん、ヤバいです。
１柱だけでも国が落とせそうです。
神が言ってた事が理解できました。
と、とにかく、無難なヤツを１柱召喚してみるか。
命令しなきゃ暴れないと思うし。
え～と……イポスが一番無難かな？
姿はヤバいけど。だって『獅子の姿だが、足はガチョウ、しっぽはウサギ』って書いているもん。
でも『能力：知識の補完をしてくれる、人間を豪胆にする』だからね。
安全だろ？ 安全だと良いな。
召喚の仕方は知識にある。
指輪にカードを当てるだけ。同時に２枚以上は使えない。
では！ 実食！ じゃなくて、召喚！
本日は後１話投稿します。
