表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
184/187

184 生命力

あれから10分くらいが経過した。


未だに勇者はアミと会話をしている。

今は王都のアイドルの話題かな?

……それで良いのか、勇者。


俺はと言うと。

段々指輪が痛くなってきた。

ミスリルで蓋をしていても、隙間があるとダメなようだ。

開通が近い印でもあるので、我慢の時。


ん? 会話に変化があったようだ。


「ふふふ、そろそろ私の出番は終わりのようだ」

「へ? あっ! しまった! 話し込んでしまった!」


やっと気づいた勇者。

でも、何で気づかせたんだろう?


「何でアミは会話を止めたの?」

「もう召喚時間が切れるからですよ~」


あっ、そうか。

アミは総裁クラス。

確か10分しか召喚時間が無かったはず。


「会話の間、ずっと能力を使ってたんですよ~」

「そうなの? 判るの?」

「は~い。

 さすが勇者なだけあって効きにくいみたいですけど~。

 勇者の生命力を吸い取りアイドルの知識を与えていました~」


どういう事?

アミのカードを確認してみよう。



------------------------------------------------------------------------------


・アミ(天蠍宮)

 姿:炎を纏った人間(男)

 能力:生物の生命力を吸い取る、裏切りなどの悪意を敵陣に引き起こす、生命力を対価にあらゆる知識を授ける、性欲増大


------------------------------------------------------------------------------



あ~、これか。「生命力を対価にあらゆる知識を授ける」ってやつ。

勇者の生命力を奪いつつ、役に立つ知識を授けると。

役に立つ知識だから、興味を引いて話に乗ってくるって事でもある。


総裁クラスだから戦っても強いはずだが、こういう使い方もあるんだね。

カードゲームではありえない運用の仕方だな。


「そう言えば、全然グラシアの声が聞こえないけど?」

「グラシアも能力を使用中です~。今は勇者の背後ですね~。なかなか動けないみたいですけど~」


グラシアもか。



------------------------------------------------------------------------------


・グラシア(人馬宮)&ビフロンス(巨蟹宮)(どちらか一人を召喚)

 姿:グラシア→翼の生えたマルチーズ ビフロンス→前後両方に顔のある生首(男)

 能力:グラシア→暗殺術の使い手、自身を不可視にする ビフロンス→死体の解体、死体を移動させる 


------------------------------------------------------------------------------



なるほど。

自身を不可視にして、勇者の背後に陣取る。

会話が盛り上がってる所で、暗殺術を使って勇者を倒す算段のようだ。

ただ勇者に隙がないので、実行出来ないみたいだけど。


「会話はこれで終わりだ。後は元の世界に戻ってから自分で調べるんだな」

「どういう事だ?!」

「簡単だよ。この世界で死ねば、元の世界に戻れると言っているんだ。

 戻りたければ抵抗するなよ。楽に死なせてやる」

「そんな事は初耳だぞ!」


俺も初耳です。


「そうなの?」

「さあ? 他の神のする事なんか知りませ~ん」

「ウソなのかよ!」

「その可能性もあるって事ですよ~。ウソでは無いです~。事実かどうか不明なだけです~」


さすが悪魔。えげつない。


「……もしそうだとしても、魔王を倒せば戻る事が出来る! 問題無い!」

「愚かな事だ。お前の言う通り魔王を倒しても、戻れないだろうに」

「何故判る!」

「お前の今までの経験を知れば判る事だ。

 魔王を倒し目的を達成すれば、また違う世界に送られるだけだ。

 だが負ければ利用価値無しとなり、戻る事が出来ると思えないか?」


すげぇ正論に聞こえる。

これが悪魔の話術なんだろうな。


「あっ、動きますよ~」


この会話で勇者が動揺したようだ。

グラシアが動き出したらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ