表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
161/187

161 無駄遣い

劇場に到着し、支配人とアザミさんを会わせる。


「この方はアザミさん。今後舞台上で催しをする際に進行をしてもらいます」

「了解しました」

「ちょ、ちょっと待って下さい! 何の話ですか?!」

「ん? アザミさんの仕事の事だけど?」

「舞台が何の関係が?! しかも進行って何です?!」

「正確には司会進行かな?」

「司会?! 進行?!」


どう言えば理解してもらえるだろうか?

くそっ、ここにDVDやテレビがあれば見せるだけで良いのに!


無い物ねだりしてもしょうがないので、俺は必死に説明した。



30分後。


「私がやる事は理解出来ました」

「そうですか。良かった~」

「私を選んだ理由も判りました」

「でしょ? なかなかの人選でしょ」

「しかし、本当に私で良いのですか?」

「うん。問題無いね」


理解してくれたというのに、何を懸念しているのだろうか?


「私、知っていると思いますけど、結構容赦ないですよ?」


なるほど。

そっち関係を気にしてたのか。


「いや、厳しくしてもらって結構ですよ」

「泣く娘が出ると思いますけど?」

「泣けば良いですよ」

「くじけて辞めると言い出すかもしれませんよ?」

「それならそれで良いです」


俺が作ったアイドルは、現在の日本のアイドルなのだ。

バラエティで泣くなんてよくある事じゃないか。

それがイヤで辞める? ついて来れないなら辞めた方が良いよ。


「厳しいだけではなく、成長を期待しての指導ならドンドンやってください」

「……はぁ」

「問題点は、貴方が悪役みたいになる事ですけど……」

「それに関しては問題ありません。それよりも成長とは、どういう感じにでしょうか?」

「えっと、彼女らは歌って踊るアイドルという職業なんですが。

 それだけではなく、アイドルというのは、皆を笑顔にする職業なんですよ。

 なので、話術や動き等でも観客を笑顔に出来るように成長させてください」


やりすぎると、アイドルなのかタレントなのか解らなくなるけどね。

まぁ、大丈夫でしょう。

なんせこの世界には、まだ彼女達しかそういう職業の人がいないのだ。

タレントになったとしても、引っ張りだこだろう。

……それが彼女達が目指している方向とは違ってもね。


「とにかく、やってみてよ」

「判りました。

 しかし、最初の内は見ていて指導してくださいね?」

「うぐっ! ……そうですね。判りました」


このまま勇者に任せて帰ろうと思ったのに。

……もしかして、見透かされたのだろうか?




翌日の午前中に収録、いや違う、舞台上でのリハーサルが始まった。

舞台には元詐欺師のアザミさんとアイドル達、舞台袖には脚本を書いた勇者、観客席には俺と王太子と姫様とアイザックさん。

……劇場の中が混沌としている気がする。


えっと、今日の脚本はどんなヤツかな?

渡された脚本には「アイドルの歴史を知ろう!」と書かれている。

あ~、過去の写真とか見せるヤツね。

って、写真なんか無いじゃん! どうするんだ?


「本日やる企画は、『アイドルの歴史を知ろう!』です!」

「「「「わーーー」」」」

「あれっ? 声が小さいな? 何? ビビってんの? やり直し!」

「「「「は、はい!」」」」

「本日やる企画は、『アイドルの歴史を知ろう!』です!」

「「「「わーーー!!!!」」」」


早速アザミさんの指導が入った。

こういうのテレビでも見たわ。本番で見せても良いな。


「貴方達の成長を貴方達の両親に聞いてきました」

「「「「え~~~~?!」」」」


俺も「え~~~?!」と言いたい! 驚きだよ!

昨日の今日だぞ? 電話も無いのに、どうやって聞いてきたんだ?!


あっ、舞台袖で勇者がサムズアップしてる。

お前が走り回って聞いてきたのか……。恐ろしい行動力だな。

というか、勇者の能力の無駄遣い!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ