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157 お約束

美味しいリアクションも貰った。


「なんて冗談で、本当はヒジリ君が参加ね」

「ハハハハ……ヴェ?! お、俺?!」

「そう、君だよ。今笑ってたでしょ。参加する方の気持ちも知りたいと思ってね」

「え~~~っ?!」


俺が指名した娘はほっとしている。

逆に勇者が焦っている。


うん、やっぱり、こういう流れが面白い。


「はい、じゃあ3人同時に食べようか。

 どれを選ぶかは3人で話し合って決めてね」


話し合いの結果、ティナちゃんが右端、フェイちゃんは左端、勇者が真ん中を食べる事になったようだ。

3人が恐る恐るお菓子を手に取る。

どれかは当たりだもんな。怖いだろう。

しかもこの世界で初めてのロシアンお菓子だ。

マズさのレベルも不明だし。


「持ったね? では、実食!

 3.2.1.はい、食べて!」


覚悟した顔で3人が同時にお菓子を口に入れる。

ゆっくりと咀嚼しているのを固唾を呑んで見守るメンバー達。

そして、その時は訪れた。


「か、辛い!! って言うか、痛い!!」


引き当てたのは、何と勇者!

さすが勇者! 運が強い!


よく考えたらそうなるよね。

ゲームでもラノベでも主人公は何かしらに巻き込まれるんだから。

そういう星の下に生まれたと言えるだろう。


「み、水! 水!!」


水を探している勇者。

あっ、支配人が水を持ってきた。


俺は舞台に上がり、支配人から水を受け取る。


「ほら、ヒジリ君、水だ!!」

「あ、ありがとうございます!!」


その水を渡すフリをして……俺が飲む!


プハァ


「ちょ、ちょっと~~!!」

「おっと、ゴメンゴメン。喉が乾いてたもんで」


空になったコップを支配人に差し出すと、水を注いでくれた。


勇者が受け取りにきたので、素早くもう一度飲み干す。


プハァ


「何やってんだーーっ!!」


何って、天丼って言われる事だよ?


ちらりと観客席を見れば、王太子と姫様が笑ってた。

おおっ、理解してもらえたか!


リアクション芸って、異世界でも通じるんだね。


さすがにこれ以上は可哀想なので、勇者には3杯目を渡す。


「あ~~~、辛い…………」

「よくある、定番の魔法の『浄化』とか『洗浄』とか『クリーニング』とか、そういうの使えばよかったんじゃない?」

「そんな魔法無いですよ~」


無いのか。

風呂に入れないから、そういう魔法でキレイにするって、定番じゃないの?

ま、仕組みを考えたらムチャクチャな魔法だけどさ。


例えば体をキレイにするって、そこまでやるんだ?って話。

垢を落とすとして表面だけ? 毛穴の中まで?

垢と皮膚の区別は? 体表面に居る有益な微生物も消す?

そもそも、落とした汚れはどこに行く?


ご都合主義満載な魔法だよね。

しかもこれが生活魔法で使える人が沢山居るっていうんだからねぇ。


おっと、使えない魔法の事はどうでもいいや。


「ヒジリ君が当たりを引いたので、罰ゲームは無しになりました!」


もう一回と言われると思ってたらしく、全員がホッとした表情になった。


「こんな感じで舞台上で色々挑戦するんだ。

 それを観客には見てもらう。

 歌とダンスだけじゃない。パフォーマンスも見てもらう。これがアイドルだ!!」


納得してもらえたかな?

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