表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/187

141 貸し切り

翌日、村を出発した。


この国でまだカードやモノを探したい気もあるが、権力の及ばない国に居続けるのは危険。

悪魔の力を借りれば大丈夫だろうけど、勇者の事もあるので使いにくい。

俺はラノベの主人公と違って自重というものを知っているのだ。

過信したり周囲の意見を聞かずに勝手に進んだりはしない。

未知が怖いというのもある。……いや、これが90%かな?




何事も無く、国境まで戻ってこれた。


国境では近衛騎士の一人が常駐していて、俺達を発見するやいなや宿に案内してくれる。

いつ帰るか判らないのに、宿を貸し切って部屋を確保していたらしい。


空き部屋があるのに使えないので宿屋も迷惑かと思ったら、逆に喜んでいた。

まず近衛騎士が泊まる程の宿と認識された事。

次に冒険者や傭兵と違い、行儀が良い事。

次に常に満員分の料金が貰える事。

最後に食堂に近衛騎士が居るので、治安が良い事。


近衛騎士が泊まっている事でイメージアップですか。


行儀が良いってのはどういう事かと聞けば、色々あるらしい。

汚いまま部屋に入って汚すとか、酒を持ち込んで騒ぎ暴れるとか、2人分のお金で3人泊まろうとするとか。

近衛騎士はそのような事はしないそうだ。

宿で待機でも勤務中になっているそうなので、酒も飲まないんだってさ。

ご苦労さまです。


満員分の料金を払ってるのは、安全の為らしい。

他人が泊まると何かする可能性があるからとか。

俺達が泊まる可能性のある部屋に罠を仕込むとか、最悪潜んでいる事も。

その為に他の客を除外して、宿そのものを確保する。


食堂の事もそう。

本来なら食堂も閉鎖するつもりだったらしいけど、ここの食事が人気らしいので許可したんだって。

だけど、そうなると一般市民だけでなく冒険者や傭兵も使う訳で。

でも近衛騎士が交代で食事を取り、終わった者は待機している。

これ、全員フル装備で。それは怖い。

こんな中で酒飲んで暴れるとか無理無理。

日本で言えば、警官が横で食事してる居酒屋みたいなものだ。


って事で、明日出発と聞いた店主は、とても悲しそうだった。



その日の夜。

集合をかけられたので、明日以降の予定の話し合いかと思ったら違った。


「勇者の姿が確認された模様です」

「国境で?」

「いえ、王都です。早馬で連絡が来ました」


王都に勇者出現か。

俺達を待ち構えているんだろうな。


「いかが致しますか?」


近衛騎士の隊長らしい人が王太子に聞いている。


「……まっすぐ戻ろう」

「了解しました。何か手配しますか?」

「いや、何もしない」


“まっすぐ戻る”の意味は判る。

あちこちに寄り道したりゆっくり帰る事で、時間稼ぎをするかどうかという事だろう。

だが、それをせずに戻ると。

つまり“待ち構えているのなら、時間稼ぎをしても無駄”と考えたに違いない。


手配ってのが判らない。

馬車はあるし、馬も居る。

護衛で近衛騎士も居る。


「手配ってのは、勇者に対してだ」

「ん?」

「例えば、国境の話をした時に出たが、指名手配するとかそういう事だ」

「え? でも別に何か犯罪をした訳でも無いんでしょ?」

「犯罪はしていない。だが、我々に危害を加える可能性があるなら犯罪予備軍とも言える。

 監視くらいは付けられる」

「それを断ったと」

「そうだ。

 本当に強いなら監視を付けても発見され排除されるだろう。

 それに待ち構えているとすれば、向こうから接触してくるはずだ」


納得です。

大事な人材を傷つけられたら大変だからね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ