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133 ギルド名

「ところで姫……」

「ここで姫は無し!」

「は、はい! すみませんでした!」

「分かってくれれば良いのよ。それで、何?」

「傭兵ギルドの事を冒険者ギルドと言うのはおやめ下さい」

「は?」

「へ?」


俺と姫様、同時に変な声を出してしまった。

冒険者ギルドって、そういう名前じゃないの?

ギルドマスターもそう言ってたと思うけど?


「だ、だって! 誰もが冒険者ギルドって言ってるわよ?!」


姫様も同じだったようで、俺の言いたかった事を抗議してくれている。


「設立当初は、傭兵を雇う場だったのです。

 主に護衛の為ですね。昔は街から街へ行くだけでも危なかったですから。

 しかし治安が良くなりだすと、傭兵は仕事が無くなってきました。

 なので狩りをして収入を得ようとし始めたのです」

「あれ? 狩人ってギルドがあるはずよね?」

「はい。当然騒動になりました。無許可の者が狩りをするとは何事だと」


狩りって許可制だったのね。


「傭兵は『道中にたまたま出会った獲物を狩っただけだ』と言い逃れをしました。

 勿論そんな言い訳は通用せず。

 議論の末、傭兵ギルドでも狩人の仕事が受けられるようになりました」

「じゃあ狩人のギルドは用無しじゃないの?」

「そうはなりません。

 あちらでは家畜も請け負っていますので」

「なるほどね」


家畜も、ってどういう事?

あ、解体とか?


「その時に『今後も他のギルドと騒動になるのは困る。今の内に傭兵がやりそうな事を列挙して根回ししよう』となりました」

「例えば?」

「例えというよりも業務全てを話した方が早いでしょう。

 当初からの傭兵・斥候・護衛の仕事の他に、狩り・採取・収集・運搬・郵便・家事などを請け負っています。

 裏の仕事としては、暗殺・指名手配犯の捕獲・情報収集などがありますね」


暗殺って! 怖い話を聞いてしまった。

そんなのも受けてるのかよ!


「しかしそれじゃあ冒険者じゃなくて雑用じゃない」

「その通りです。しかしそれでは聞こえが悪いとの事で。

 過去に『未踏破の土地へ行き謎を解く者』という意味で『冒険者』という絵本が発売されています。

 それにあやかって冒険者と言い出したのです。実際は雑用ですし、傭兵です」

「でも冒険者でも良いんじゃない?」

「あやかってつけたものの、冒険なんかはしません。

 依頼を受けそれをこなすだけです。依頼も無しに未踏破の土地なんかには行きません。

 つまり皆、少しバカにした感じで『冒険者ギルド』と言っているのです。

 なので、姫、いえ、ファー様は正しく言ってください」

「はーい」


夢の無い話だ。

一攫千金を夢見れる職業じゃないのか……。


ん? よく考えたら、どのラノベでもそんな感じだな。

冒険してる冒険者の居る話を読んだ事が無いかも。

せいぜい主人公が、迷い込むとかそれくらい?

あぁ、ダンジョンに行くってのも冒険かな?

宝漁りとモンスターの素材目当てばっかだけど。


「話は以上?」

「はい、以上です」

「分かったわ。ありがとう」

「いえいえ、滅相もございません」


報告は以上のようだ。


「……確かに勇者は破天荒な行動をしてたわね。

 でも…………貴方の言った事を全て書くと、父に『頭がおかしくなったか?』と思われるんじゃないかしら?」

「うん、俺も言っててそう思った」

「……勇者のした行動、もしくはこれからしそうな行動だけ書くわ」

「お願いします」


そこのチョイスは姫様に任せよう。

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