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132 実際どうなの?

しばらくすると確認をしに行った近衛騎士が戻ってきた。


「報告します。

 ギルドに確認したところ、各ギルドに通達されておりました」

「通達内容は?」

「はい。彼の者はギルドを訪問すると『高ランクで登録してくれ』と無理難題を言ってきたそうです。

 無理だと言うと『高ランクと模擬戦をやる。勝ったら高ランクにしてくれ』と」

「それは可能な話なの?」

「いえ。不可能です。どんなに実力があっても信用が無ければなれません。

 そのような事を言う時点で既に信用されておりません」

「そうよねぇ」

「唯一新人でも信用されるのは『王族の推薦状』があった場合のみです。

 それを疑うとなると、王族を信用していないのと同義となりますから」


つまり俺が『高ランクにしてくれ』とお願いしに行くなら、王太子や姫様、王様に推薦状を書いてもらえば可能なのか。

するつもりはないけど。

冒険者してないから意味無いしね。


それに高ランクになるメリットが無い。

高ランクしか受けられないような依頼に興味は無いし、高額な報酬も要らない。

だって、その分危険な仕事じゃん。

そんな仕事を達成する事で得られる名声にも興味無い。

自分で言うのもアレだが、現状でも名声は高いのだ。今更だ。


「その事実は?」

「誰も話していないそうです」

「そう。それは良かったわ」


あっ、そうか。

その事を話せば城に突撃する可能性もあるもんな。

アホな事を言い出すような者に、そんな情報は渡せないよね。


「それでどうなったの?」

「当然ギルドは拒否しました。

 すると近くで話を聞いていたそこそこのランクの者がケンカを売ったそうです。

 『お前、冒険者をバカにしてんのか? 俺が世の中ってもんを教えてやる!』と」


確かに、アイツの言い方だと、努力して高ランクになった人や現在努力している人をバカにしている感じがする。

全冒険者を敵に回したようなものだ。


「それで?」

「ギルド職員がケンカを仲裁しました」

「俺からも質問しても良いかな?」

「どうぞ」

「仲裁して収まったの?」

「はい。ギルドが仲裁しても止めないようでは、信用が無くなりますから」

「なるほど。ありがとうございます」


ラノベではギルドの制止を無視して戦うか、ギルドがため息をつきつつ場を整えるかするけどな。

よくある『そこそこ強いけど傲慢で、ランクの上がらない冒険者』ってのはいないようだ。

まぁ普通、所属先である冒険者ギルドの規約を守れないようでは、クビになっても不思議じゃないよね。


ついでに言えば、そういうヤツを止められないギルドの受付ってのにも問題あるけど。

ラノベでは女性が受付してて、そういうヤツが出てきてもオロオロするだけなんだよ。

護衛を雇っておくとかすべきだと思うんだ。


「その後は『納得いかない! あっ、そうだ!』と言って掲示板を見た後、走り去ったそうです」

「行動が意味不明ね……」


俺には判るぞ。

多分、そこに書かれていた高ランクしか受けられない依頼を達成しに行ったんだ。

それを達成して『高ランク用の依頼をクリア出来たんだから、高ランクになるよね?』と言いたいんだと思う。


「二日後、そこに書かれていた高ランクしか受けられない依頼を達成して戻ったそうです」


やっぱり!!


「しかし所属していない者が達成してもランクも何も無い、と通達されました」

「そりゃそうでしょうね」

「なので『とにかく加入しなさい』と諭され、加入したそうです」

「最初からそうしてれば良いのに……」

「加入後、受けられない高ランク依頼を達成していき、ランクは上げられないものの、強さは本物と認められている状態だそう


です」

「なるほどねぇ。結果は?」

「はい。現在はのランクは中堅クラス。ギルドでは『言う事を聞かないバカ。強いので扱い注意だけど、バカだから上手く使う


べし』となっているそうです」

「よくクビにならないわね」

「黙っていてもなかなか達成されない高ランク用の依頼を達成するので。

 美人な女性の受付を使い、褒める事でランクが上がらない事実を隠しつつ利用してるとの事です」


良いように利用されてる!!

ギルドマスターのあの態度も、上手く扱う為だったのか……。


勇者君、大人の世界は怖いんだよ?

子供の浅知恵は通用しないんだ。

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