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122 お悩み相談、その5

結局、神様からの返答は無く、呪文というか早口言葉は判明しなかった。

カードに書かれている事を期待しよう……。


とにかく、これで午前中の相談は終了。

飯食って、午後最初の相談者に備えなくちゃ!


ちなみに、神様が来た事を誰も覚えていなかった。

それどころか、違う記憶を植え付けられているよう。

それがまたアホな話になってて、相談者は「川から流れてきた桃から生まれたけど、成人して何をすれば良いか」という質問。

どう考えても、それは桃太郎だろ!

それに対して、俺は「団子を持ってモンスター退治に行きなさい。道中で出会った獣を仲間にして』と答えたらしい。

納得して帰ったそうだが、この一連の流れを誰も疑問に思ってない。

それどころか、見事な回答だったと褒めてくれる。

ツッコミどころ満載だと思うんだが。


この世界は桃から子供が生まれるのか? 成人した大人の男が自分のやりたい事も判らないか?

何で団子を持ってモンスター退治に行かなきゃいけない? 獣を仲間にする必要性は?


神様が適当に誤魔化したんだろうけど、もうちょっとマシなエピソードがあっただろう?

昔話で言うなら、例えば…………あれ? 碌なのが無いな。

グリム童話は酷い話ばかりだし、日本の昔話の太郎系もヤバい。

……桃太郎で良かったとしておこう。




午後になり、いよいよ最初の相談者が来る時がやってきた。

この相談だけは納得してもらわないといけない!

頑張ろう!


「午後の一人目はモサ・ダクフ、17歳、服飾店の一人娘、です。

 出身地・所在地共にこの街です」


おっ、初の女性だね。

女性の悩みを俺が解決出来るかな? しかも年齢的に思春期っぽいし。

いざとなれば、姫様に助言をもらおう。


「失礼します!」


入ってきたのは髪をポニーテールにした女の子。

顔は……個人的な意見だが、学校のクラスで女子の順位をつけたら2~3位くらいになりそうな感じ。

美人と言うよりもかわいいって言う方が合ってるかな?

あっ、俺はロリコンじゃないからね?

俺のストライクゾーンは、俺の年齢±3歳くらいまでだから。

そういえば昔、友人に「そんな事言ってるから彼女が出来ないんだよ!」と言われたな……。


おっと。俺の事じゃなく、相談にのらないと。


「あっ、座って座って。それでどんな相談かな?」

「は、はい……あの…………」

「大丈夫。ここで話した事は外には漏れないし、誰も言いふらしたりしない。約束するよ」

「はい…………」


それでもやっぱり恥ずかしいのかな?


どうしたものか。

話してくれないと解決出来ないぞ?

そうするとカードも手に入らない訳で。

非常に困る訳で。


この部屋に居る人数を減らすか?

いや、それは反対されるだろうな。防衛的に。

う~ん。入り口に居る男性だけでも退去させるか? 結構威圧的だからねぇ。

王太子も出てもらって、姫様と俺だけになるってのはどうだ?

それなら話しやすくなるんじゃない?

防衛は、手に罠カードを持ってればいつでも稼働可能なので大丈夫なのでは?

悪魔を召喚する訳じゃないから、感知もされないと思うんだ。希望的観測だけど。


俺が色々と考えていると、女の子は覚悟を決めた顔になった(俺の想像)。


「……やっぱり話します!」

「う、うん。話してみて。どうぞ」

「あのですね……わたし……私……」

「うんうん」

「私…………有名になりたいんです!」

「うんうん…………ん? 何?」

「何でも良いんです! 有名になりたいんです!」

「あ、はい。そうですか。え~と、親の仕事を継いで、それで大成するってのは?」

「それだけは無しでお願いします!!」


なかなかの無茶振りが来た。

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