011 レベルとランク
アンドロマリウスの説得?により、少しは落ち着いたようだ。
「それで、審査はどうです? 合格ですか?」
「合格に決まってるだろ! どうすんだよ、これ……」
「心配しないでもこの街や人に向けて使ったりしませんって」
「そんなん当たり前だ! 使われても対処なんか出来ねぇし……。
あ~、ラビュー、登録してやれ。俺は疲れたから帰る……」
「ちょ、ちょっと! 丸投げですか?! 協力してくださいよ!!」
「頑張れ。俺は帰って寝る」
「ヒドい!!」
ゴメンね?
でも登録はお願いします。
肩を落としたラビューさんと共にギルド内に戻る。
戻る前にグラシアに待っててと言ったら「いやー」と言われた。
「羽の生えた犬を連れて歩けないんだよ」と言うと、羽を収納しやがった。
しまえるのかよ……。
中に戻るとラビューさんが受付に座ったので、俺はそこに向かう。
「はぁ……。じゃあこれを書いてください」
「これは?」
「登録証に記載する為の物です。ウソは書かないでくださいね。
後で変更するのが大変ですから。書きたくない所は空白で結構です」
「ウソ書いても変更で済むんですか?」
「本来なら罰則があり、下手すれば登録抹消ですけど。
リョウスケさんの場合、登録抹消なんか出来る訳無いじゃないですか!
なので変更するだけです」
「そ、そうですか。判りました」
渡されたのは目が粗いけど紙だ。
そして木炭?に布を巻いた鉛筆みたいなもの。
この世界の筆記用具はこんなのなんだ。羽ペンにインクをつけて書くのかと思ってた。
「書きました。これで良いですか?」
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名前:リョウスケ
年齢:29
特技:召喚術・魔法
備考:魔法で収納が出来る
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他にも項目はあったが書かなかった。
だって出身地とかだよ? 書ける訳ないじゃん。
「はい、確認しました。
では次に、こちらの水晶に触れてください」
「これは?」
「貴方の魔力を測定する物です。魔力量で色が変わります」
へ~、そうなんだ。
そう言えば神が言ってたな。ステータスなんか無いって。
俺が触れると、淡い緑色になった。
ラビューさんはそれを見て、色見本と見比べている。
数値で出るんじゃないんだね。
後、ラノベでよくあるパターンで、もしかしたら割れたり眩しい程輝くんじゃないかと密かに期待したんだけどな。
「魔力はおよそ8000ですね。なのでレベルは20です」
「へ~、俺ってレベル20なんですね」
「それも知らなかったんですか……」
「はい! 知りませんでした!」
「はぁ……。では登録しますね」
「お願いします」
少し待って渡されたのは首から掛けるネックレスみたいなもの。アメリカ兵士のドッグタグみたいな感じ。
色は緑色。これにさっき書いた事とレベルが金属を凹ませて書いてある。
「緑色なのは、レベルの色ですか?」
「違います。緑色なのはBランクという意味です」
「B?! あぁ、Aが最下位でその次のBですね?」
「違いますよ。最下位はGです。最高がSなので、その2つ下です」
「初期登録からB?! そんな事あるんですか?!」
「たまにありますよ? 例えばずっと道場で訓練していて、卒業になったから登録に来た人とか居ますからね。
そういう人は最初から強いのが判っているので、低ランクから始まりません」
「でもまだギルドに貢献してませんよ? それに人となりも判らないのに大丈夫ですか?」
「そういうのを調べるのも審査なんです。 人となりは……問題しかないですけど、問題ありません」
うわ~、暗に問題児って言われた。
自覚はあるけど。
しかし、そういう所も審査してるのか。
じゃあ、俺強いヒャッハー、とかは高ランクにはなれないんだろうね。
「あっ、登録してしまいましたが、ギルドの説明をするのを忘れていました!
今からでも大丈夫ですか?」
本当だ。規約とか全然聞いてないぞ。
普通は聞いて納得してから登録するものだよな。
「まぁ、良いですよ。お願いします」
「判りました」