107 ギルマス登場
「で、場所は?」
「西門から出て半日ほど進んだ所にある、右手の山にある廃坑辺りだそうです」
「期限は?」
「早いほど良いと」
「ふむ……なら明日行ってしまうか。リョー、悪魔は使えるか?」
「大丈夫」
この街に来るまで1回も使わなかったしね。
全てが使用可能になってる。
「では明日にしよう。討伐証明は?」
「ギルドの者が同行するそうです」
「ちっ、それは厄介だな!」
確かに厄介だ。
倒す所を見せないといけないけど、倒すのは悪魔。
見せて良いのか?って事になる。
「ま、問題があるなら悪魔が脅すだろう」
王太子!
その考え方が悪魔的ですよ!!
否定はしないけどさ。
話がまとまったので、アイザックさんはもう一度冒険者ギルドに出向いていった。
翌日。
西門で待っていると、男の人が一人こちらに歩いてきた。
40~50歳くらいで、口ひげがある、白髪交じりのオッサンだ。
筋肉もあり、冒険者と言われても不思議じゃない人。
「おや、ギルドマスター直々ですか?」
「依頼が依頼だし、受けたヤツも怪しいんでな。
若い奴らを行かせて死なれても困る。俺なら自分くらいは守れるし最適だろ?」
「そういう事ですか」
「で、お前のパーティーはそいつらか?
…………本当に大丈夫なのか?」
不安なのは判ります。
明らかに育ちの良さそうな男女と、ヒョロっとしたいかにも戦えなさそうな俺。
この3人が魔法職だとしても前衛がアイザックさん一人となると、どう考えても不安だよね。
「問題ありません。
それよりも約束を守ってくださいよ?」
「『戦い方は口外するな』だろ。分かってるよ。書面にもしたじゃねぇか」
「それでもです。言っておきますが、もし口外した場合、最悪国を敵に回す事にもなりますよ?」
「…………お前ら、何者だ?」
「国と関わりのある者、と言っておきましょう」
書面にまでしたのか。
アイザックさんは優秀だなぁ。
まぁ、約束したギルドマスターが来たんだ。守るだろうね。
なんと言ってもこの街の冒険者ギルドのトップだもん。
全員で馬車に乗り込み、街を出る。
俺の向かい側にはギルドマスター。俺達を値踏みするように見ている。
特に俺が見られてますけど、なんでしょう? 何もしてないですよ?
「……お前ら、魔法を使うのか?」
「私は魔法職よ。兄は剣で戦うわ」
「……こっちのヒョロいのは?」
「え~と、一応魔法?です」
「何で疑問形なんだ?」
「と、特殊なので」
カードで悪魔を呼び出すのは魔法で良いんだろうか?
魔法のカードを使って俺が戦えば良いんだろうけど、勝てる自信が無いしなぁ。
あっ、そうだ。
ラノベでは召喚魔法とかいうじゃないか!
だから魔法職でOKだよね!
「ま、お手並み拝見といこうじゃねぇか。
敵前逃亡は許さねぇからな? しっかり戦ってくれよ? 俺は参戦しないからな?」
「出る間もありませんよ」
「言うじゃねぇか」
王太子、煽らないの!
確かに悪魔に頼れば出る間もないだろうけどさ!
あっ! 使う悪魔を決めとかないと!