106 討伐依頼内容
「え~と……。
ま、まあ、受けてしまったのはしょうがないじゃないか!
それよりも前向きに検討した方が良くない?」
「…………そうだな。そうしよう」
「で、その『最近この辺りに現れたゴブルトというモンスター討伐』だったっけ?
それについて聞きたいんだけど、ゴブルトってどんなモンスター?」
済んだ事をいつまでもグチグチ言ってても事態は改善しないからね。
こういう時は話題を変えるに限る。
「俺は知らないな。ザックは?」
王太子は知らないようだ。
姫様も首を傾げているし、有名なモンスターじゃないのか?
「私も知りませんでした。なので詳しく聞いてきました」
「聞いただけ? 写真、いや、姿絵とか無いの?」
「特徴的なので見れば分かるそうです。
ゴブルトはゴブリンとコボルトの間のようなモンスターだそうです。姿はコボルトに近いのだとか。
しかし手がゴブリンっぽいので区別がつくらしいですね」
へ~、そんなの居るのか。
コボルトってアレだよな。狼人間みたいなヤツ。
で、ゴブリンはアレだろ? ラノベとかでザコ扱いが多いヤツ。狩りまくる話もあったっけ?
「音や匂いに敏感で動きが早く(コボルト要素)、そのくせに武器や防具を使うという(ゴブリン要素)厄介なモンスターだそ
うです。
武器や防具は、最初は棍棒程度だったそうですが、返り討ちにあった冒険者の物を使うようになっているそうです」
うわ~。剣持ってて盾で防御してるの?
ラノベ的には、そういうのは人間側の特権じゃないの?
「しかもコボルトっぽく群れで行動するらしく、個ではなく群で行動するのだとか」
軍隊みたいになってるじゃん!
しかもモンスターだから、人間よりも膂力があるとかでしょ?!
「その群れはコボルトも率いているという話もありました」
突撃歩兵部隊まで居た!
こりゃ本当に厄介なモンスターだわ。
確かに強いモンスターを狩れる冒険者に頼もうとするのも理解できる。
「おいおい、そんなのを俺達だけで退治するのか?!」
王太子のナイスツッコミ!
それは確かに俺も思った。
ラノベでもよくある展開だけど、強いモンスター相手に個人や1パーティーだけで行くのはどうかと思う。
そりゃ報酬の分配とか揉める可能性はあるけど、随時戦力の投入って戦術としてはダメじゃないか?
現に今、武器を奪われてパワーアップしてるしさ。
「他の冒険者の参入を私が断りました」
「「「はぁ?!」」」
まさかの裏切り行為?!
なんで断るよ?!
「なぜ断った?!」
「グラン、落ち着いてください。少し考えれば判ります」
「はぁ? ………………あっ、理解出来た。確かにその考えは正しいな」
「……なるほどね。理解したわ」
俺以外の理解が早い。
「お、おお。そうだね。た、正しいね……」
「リョー、理解してないだろ」
「そそそそそんな事は無いお?」
「だったら言ってみろ」
「アレだろ。ほら……そう! 王太子ってバレるからだろ!」
「違うわ!」
「じゃあ、えっと……アレがソレするから、いい感じでアレして上手く修める為にアレするんだ」
「アレアレうるさいわ! 違う!」
違うのか……。
じゃあ分かりません!!
「自分の事だと判らないのか。
簡単な話だ。お前が悪魔を召喚して、あっという間に退治して終わりだからだ!
それをなるべく見られない方が良いだろ?」
納得! 確かにその通りだ!
悪魔なら瞬殺しても不思議じゃないし、実際出来そう。
でもその風景を見られたら、逆に問題になりそう。
強すぎるキャラはラノベでも厄介事を引きつける要素になるしね。
うん。少人数、大事。
特に自分の事だし。超大事。