100 総裁クラスのカード
悪魔カード最高峰、総裁クラス。
全部で7枚ある内、3枚は封入されていた。
しかし手に入る確率は脅威の0.00005%!
当時子供の俺に、大人買いする財力も無く、そしてバカみたいな運も無く、当たり前だが手に入らなかった。
そして残りの4枚。
1つは、定期購読者全員にプレゼントという企画物だった。
しかしこれが実は難題。
人気が無かった時から発売していた月刊雑誌の、創刊号~36号に載っていた応募券を全て集めて応募しなくてはならない。
この事実が判明した時は、ネットオークションに創刊号が出ては高値が付いた。
中には応募券が切り離されていた物もあり、大荒れしてたわ。
2つ目は、大会参加者に配られるカードの中に含まれていた。
これは大会限定でしか手に入らない物。
優勝しなくても入手可能だから、各地の予選大会には多くの重複者が出た。
後から判ったのだが、1大会で1枚しか無かったらしい。
なので、大会は36回まで開催されたので、36枚しか無いカードと言える。
3つ目は、タイアップ物。
何故か色々な所とタイアップしており、そこに出た文字を合わせてキーワードを応募するという物。
これがまた鬼畜。
どこどことタイアップしてま~すという告知も無く、突然現れるのだ。
最悪だったのは、子供は見ない洋画のエンドロール。
そこのスペシャルサンクスに書かれていた。
だが、これは発見した人がネットに書き込む事によって、達成した人は多かったらしい。
ただし、何名に当選とか書かれていなかったので、総数は不明。
最後の1枚。
これが鬼畜中の鬼畜。
タイアップで出た文字。
実はこれがアナグラム。並べ替えるとある言葉が浮かんでくるってヤツだったんだ。
出てきた言葉はネットのURL。
そのサイトに行くと、今度は暗号が出てくる。
それを解読すると、次のURLが出てくる。
これを繰り返し最後まで到達すると、そこにはカウンターが設置されている。
それが100になると締め切られ、応募出来なくなる。
厄介なのは不定期で復活する事。
最後にたどり着いたアドレスは削除され別の場所になる、ブックマークも許さない徹底さ。勿論途中の暗号も変わる。
最悪なのは、100人は当たってるだろ?と錯覚させる所。応募は出来ても抽選なのだ!
渡す気が無いと思っても不思議じゃないシステム。
長々と喋ったが、とにかくレアなのだ!
さて、入手出来たのは何のカードだろうか?
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・アミ(天蠍宮)
姿:炎を纏った人間(男)
能力:生物の生命力を吸い取る、裏切りなどの悪意を敵陣に引き起こす、生命力を対価にあらゆる知識を授ける、性欲増大
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はい、ぶっ壊れ性能です。
多分だけど、この地域が発展したのは『生命力を対価にあらゆる知識を授ける』ってのが漏れてたからだと思う。
問題は対価である生命力だけど。……皆元気そうだね。
しかし、領主さんと王太子との会話で謎が解けた。
どうやらこの地域は作物の出来が良くないらしい。
その代わり色々な物が発見発明されるので、それらを売って作物を入手しているらしい。
つまり吸い取っていたのは作物の生命力だと思う。
しかし、このカードを持って行ってしまって良いのだろうか?
作物は出来るようになるだろうけど、閃きとか発明とか減るのではないだろうか?
もう持って来ちゃったけどね?
隠すのもアレなので、素直に領主さんと王太子には話した。
「判りました。では作物を作るようにしましょう」
「そうだな、それしかない」
「えっ?! そんなに簡単に受け入れられるの?!」
「困ると抗議しても意味がありませんし、元には戻りません。
ならば嘆くよりも先を見据えて行動した方が建設的ですので」
「元々はカードの恩恵なだけだ。自然と同じ。無くなるからと恨むような事じゃない。
それに、逆に作物が出来るようになるのだろう? 何もかも無くなる災害より全然良い」
受け入れ早いな!
しかも達観しすぎじゃね?!
祝、100話!
こんな内容ですみません…。