〜第2話〜オーティズとの対話
「あのお、【魔子宮】の水から、この世に関する知識についてはだいたい教わったんですけど、実際に他の方とお話しするのは初めてなので、礼儀のなっていないところがあるかもしれませんので、その際はご指摘お願いいたします」
禍々しい顔はぺこりと頭を下げた。
「……」
「オーティズさんのことも魔子宮の水から教わっています。とても魔力が強くて頭のいい方ということで、そんな方が僕について下さるなんて、なんか僕の方が緊張しますね」
「……」
「あ、コーヒーでも飲みますか?それとも紅茶の方が?」
「……」
「あっ、オーティズさん大丈夫ですか?さっきから黙ってしまって……。お腹の調子でも悪いんですか」
「レオン様っ!!」
オーティズは叫んだ。
「っ!?どうしたんですか急に大声を出して」
「レオン様、あなたは魔子宮の水から見せられたのですよね、下賤なる人間どもや下級魔族どもが八つ裂きにされる姿を。それを見て何も感じられなかったのですか」
オーティズは問い詰めた。
何なのだこれは。邪気があるのは表面上の顔ばかり。出てくるセリフの柔らかさと優しさに、ギャップで吐きそうになる。
レロンの遺伝子を受け継ぎ、レロンから残虐性の英才教育を受けていたはずのレオン。
彼はその真偽を確かめたかった。
「……もちろん感じました」
レオンは静かに言った。
「……あんな痛くて嫌なこと、絶対僕は嫌だと思いました」
オーティズは肩の力が抜けていくのを感じた。
「やられるのも、もちろんやるのもね」
「……」
「だから、僕が王になったら、ああいうことが決して起きないようにします」
「レオン様ッ!!あなたは『魔王』なのですよ」
叫ぶオーティズに、レオンは目を丸くして言った。
「ごめんオーティズさん。『王』と『魔王』の違い、よくわからないんです。これから少しづつ覚えていくのでよろしくお願いします。あっ、さっきも言いましたが呼び捨てでいいですよ」
レオンは、にっこりとしながら言った。