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米田 守
キノコを食べても、俺と大学生(米田 守)は無事だった。
これでしばらくは生きていける。そう安堵した。
「ところで、僕の能力なんですが……」
大学生が女性の声で話しかけてくる。
「うん。わかってる。『変身』だな」
お姉さんの死体を数分間、もみもみしていた大学生が、お姉さんに変身するのを見ていた俺は、そう答えた。
「どうやら対象に数分間さわり続ける必要があるみたいですね」
「そうだね」
「この能力、役に立つんでしょうか」
「うーん、変身したら、死んだ人の能力とか使えないかな。『鑑定』とか」
「なるほど」
試してみたところ、俺の能力が鑑定できた。
俺の能力は『無毒化』だった。おそらく、数分間さわり続けることで毒が消えるのだろう。
「これは、なんというか……」
「今さら、遅いというか……」
「僕たちには無毒なのになあ、このキノコ。むしゃむしゃ」
大学生がキノコを口にする。
毒耐性のない、オタクの体に変身したままで。
米田 守が死んだ。




