第一夜 過疎で滅びる町、という夢を見たんだ
筆者が、ある休日の朝に見た夢に加筆して細かい描写や展開を補ったものです。
所詮夢なので整合性や物語性は皆無です。
お祭りのあと、人ごみをさけて近道をしようと、いつもは通らない路地裏に入る。
そこに並んでいる居酒屋やスナックは入口が閉まり電気が消え、取り外された看板の跡や、傾きかけたまま残った看板がかつては営業していた店だったことを無言で語っている。
もはや客を迎えることのなくなった入り口は、板を打ち付けられたり、スプレーで落書きされたベニヤ板でふさがれ、入居者募集や管理会社の電話番号のかかれた貼り紙は色あせていた。
元は白かったタイルに流れる茶色い錆びの跡や、もはや明かりの灯ることはないプラスチックの看板に流れる埃と雨の跡は泣いているようだった。
路地を足早に抜ける途中、曲がり角にあった二階建のひび割れたコンクリートの建物にふと目が止まる。
張り出した二階の下が狭い廊下になり、飲食店のドアが並ぶアパートのような構造の建物。その紫の看板に電気が付いている。何軒かの店はまだ営業しているのだろう。
エコーを異常に効かせて音量が不安定でへたくそなカラオケの声がうわんうわんと響きながら漏れていた。
それ以外の店は開け放たれたドアからカウンターの椅子、積み上げられたゴミや朽ちかけた調度品などが覗いていたり、ベニヤ板で入口が塞がれていたりした。
建物の一番手前の角に水量の少ない水がちょろちょろと流れる風呂があった。
大きく扉が開かれ、道路から丸見えで、黒い御影石っぽい壁や床には温泉成分の結晶、いわゆる湯の花だろうか、流れた痕に白くこびりついていたり、洗い場にはマーブル模様で吹きつけたように石鹸カスが白くこびりついており、鏡は大きく茶色く錆びており、とても入りたいと思う雰囲気ではなかった。
浴槽にお湯が流れ込んでいるから、誰かが使っているんだろうけれども、一体、どんな人が使っているんだろうか。
後で聞いたらそこで働く水商売の女たちが一日の疲れを癒すために使っているとのことだった。
そういえば錆びた手すりの付いた二階の窓からは、狭い通りを覆うように洗濯物が突き出していた。
彼女らは、この朽ちかけた町とともに朽ちていくのだろう。
つま先に、何か硬いものがカランと当たった。
拾い上げると、それは歯の折れた櫛だった。
軒を連ねていた店が櫛の歯が一本一本折れるように消えて行き、なじみの客が櫛の歯が欠けたように消えて行き、この町の住人も櫛の歯が抜け落ちるように消えていくのだろう。
メモがあと2本分あるので、シリーズ化するかもしれません^^
夢日記を書くと、記憶の整理が正常に行われず、現実と夢が混同して発狂するといわれておりますが、大丈夫かな^^