「文章を書く」って人生で切っても切り離せないものじゃないですか?
自分なりの「文章を書く」という事に対する意見や経験談です。
突然ですが、「感想文」と聞いて、皆さんは初めに何を思い浮かべますか?
私は「読書感想文」です。
そう、あの小学校の夏休みで必ず出される宿題です。私は小学校でしか書いた記憶がないのですが、今はどうなのでしょうか?(ただの私の記憶違いと言う可能性もありますが……)
私は大嫌いでした。けど、宿題ですからやらなければなりません。
で、まず手始めに「何の本について書くか?」という問題が生じますよね?
だから「推薦図書」なる物が存在するのだと思いますが、私はそれらに手を出した事は無かったと思います。
昔から本を読むのは好きだったので、「本を読む」という行為自体は苦ではありませんでした。ですから図書館に行き、面白そうで、尚且つ感想を書き易そうな本を選んでいました。
書き易いのは、ノンフィクション物ですね。人と犬との交流物などは、自分も犬を飼っていたので、特に犬への感情移入もあり書き易かったと思います。
ですから、「本を読む」という行為自体が嫌いな人にとっては、読書感想文は正に地獄の宿題だったのではないかと思います。
学生の皆様、心中お察し致します。
ですが、これは皆様のお父様やお母様も通って来た茨の道なのでございます。
読書感想文以外にも、「感想を書く」行為って様々な場面であると思います。
学生の方は、身近なところで言えば、国語や道徳の時間であったり部活の日誌であったり。また、例えば「〇〇講演会」みたいな、よくわからないけれど、偉い人が体育館で話した内容を感想として提出させられたり……。
割と、感想を書くって色々なシチュエーションであったりすると思うんですね。
学生の皆様、「大人になったら、こんなしち面倒くさい事しなくて済むんだろうな~」なんて思っていたりしませんか?
私は思っていました!(笑)
けど、もしそうだとすれば大間違いです!!
大人になっても「感想文」は書かされるのです!!
社会人の読者の皆様は、もうお分かりだと思います。
色々な場面で感想って書かされるんですよ。
まず、手始めに入社してから研修中に感想文。研修後に本配属となった部署でも感想文。入社して数年~何十年と経ったベテラン社員でさえも研修はあるんです!そこで、再び感想文……。
全国展開されているような大きな会社であれば、パート勤務でさえもしっかりとした研修がある場合もあります。そこでも、もちろん感想を書かされます。
また、主婦の方でもブログを書いている方もいるでしょうし、お子さんのいらっしゃる方は先生とのやり取りや、時には、お世話になった方への御礼状をしたためる等という事もあると思います。
「文章を書く」って、生きていく上で切っても切り離せないと思うんです。
そこで、特に学生の小説書きさんへのちょっとしたアドバイスにでもなればと思い、今回エッセイをしたためようと思ったわけです。これがアドバイスになるかどうかは、当然読者様の捉え方によりますし、全く力になれない可能性もありますが、少しでも小説を書く人の為になればと思い筆を執りました。
前書きが長くなってしまいましたが、ここからが私が本当に書きたかった事なのです。
現在、大学に通っている学生さん、また大学に行っていたという社会人の皆様は「ゼミ」という存在をご存知かと思います。
ゼミについて知らない方のために簡単に説明しますと、大学にはそれぞれの専門に特化した教授がいます。それら教授の専門知識を吸収するために、3年生になると必ずどこかのゼミに入らなければならないのです。そして、大学卒業資格を得る為、必死に「卒業論文」をしたためる訳です。
私も、地方の小さな4年制大学へ通っていました。
そこでのゼミの教授が、本当に良い先生で「恩師」とも言える先生でした。
その先生は、私達生徒へしょっちゅう「感想文」を書かせるというスタイルの授業を行っていたのです。
皆様は、NHKで放送されていた「プロジェクトX」という番組をご存知でしょうか?中島みゆきさんがOPを務めていて「風の中のすばる~」って始まる、あの番組です。確かもう10年くらい前に終了してしまったと思うので、若い読者様は知らないかもしれませんね。
今でいう、テレビ東京の「ガイアの夜明け」みたいな番組です。
NHKというと敬遠される方もいると思います。私も、その一人でした。
けれど、この「プロジェクトX」という番組。見始めると、止まらなくなってしまうのです!
基本的に、企業の開発チームや社長さん、職人さんなどに焦点を当て、その方々の「どん底人生からの脱却、そして現在の成功への道筋を紹介する」みたいな番組でした。
それについて感想文を書かせるというのが、その先生の「やり方」でした。先生は、いつもビデオテープにそれを録画されていたのです。
先生は常々「文章を書くというのは、必ずこれからも必要となる能力だ。だから私は感想を書かせる」と言っていたのです。
そして、いつも渡されるのは、毎回決まってA3サイズでびっしりと罫線で埋まった用紙。うろ覚えですが、20~30行くらいはあったと思います。
始めは感想を書くのが難しく、A3サイズの半分くらいしか埋まらなかったのです。
けれど、それを続けていくうちに、番組を観ている最中でも「これは重要だから感想に書こう」、「ここの部分は感想として書き易そうだな」と、自然と「感想を書く」という行為が身についていたのです!!
それに、未だに覚えていて印象的だったのが、同じゼミ生だった友人の一言でした。
「私、こういうの全部埋めないと気が済まないんだよね」
そう言って彼女は、毎回びっしりと紙を文字で埋め尽くしていました。私もそれを見習い、それ以来ずっと感想を書く時は、どんなに書く欄が多くとも必ず文字で埋めるようにしています。
「どんな些細な事でもいいから、とにかく埋めよう」
そんな気持ちで、半分意地のように感想文というものを書いていました。
けれども、紙一面を文字で埋める。
それは、何故かものすごい達成感を得られるのです!
そんな私も就職というものを果たし、社会人となり、当然そこでも感想文を書いたわけです。
その時、私は既に「感想を書く」という行為が当たり前となっていました。けれど、周りの同期入社の者たちは、それが普通ではなかったのです。
その後も感想や文章を書く事があった時は、スラスラと自分の感じた通りに筆を進めていました。そして、いつも自分の中で「必ず全て埋める」という約束は守っていました。
そうしたらですね、いつの間にか私は同期や同僚から、「文章を書くのが上手い人」になっていたのです。特に、文章を書く事が苦手な方からみれば、尊敬のような眼差しまで向けられました。
ですが、自分では全く意識していなかったですし、ただ大学時代にしていた事を引き続きやっていただけでしたので、「そんな事ないです!」と謙遜するばかり……。
ですが、周囲の人たちから見れば、「感想欄にびっしりと文字を埋める」――それだけで、すごい人というレッテルが貼られたわけなのです。
私は、いつの間にか「文章を書く」という事を、自分では全く意図せずとも、自然と得意にしていたようなのです。
「年の功」とはよく言ったもので、人生の先輩方の言葉は、時として本当に大きな意味を持っています。
あの教授のゼミを受けていなかったら、もっと拙い文章となっていたでしょう。
ですから、特に学生の皆様(一部の社会人の皆様も含め)は、これからも「感想を書く」という事は何度でもあると思います。
そんな時、どんな些細な感想でも、「紙一面にびっしり文字を埋める」――そんな事から始めてみるだけでも、筆力向上に繋がる可能性はあるのではないかと思います。
それにですね、小説を書くようになってからですが、感想を書く事と、とても似てるなと思ったんです。
私の感想の書き方ですが……
どんな内容を中心にして書こうか?→自分にとって、あの部分が印象に残ったから、特にそこに焦点を絞ろう→その部分を中心にして、更に感想(書きたい事)を派生させていく
上記の作業を繰り返して感想欄を埋めていました。
これを小説と置き換えてみます。
どんな内容(世界観、キャラ、物語のベースとなる事件など)を中心にして書こうか?→自分にとって、あの部分が印象に残ったから(読者に物語に入り込んでもらう印象的な部分を作る)、特にそこに焦点を絞ろう(特に力を入れるところをしっかり描く。バトルシーン、情景描写、心理描写、キャラ同士の関係性など)→その部分を中心にして、更に感想を派生させていく(物語に深みを与えたり、読者を惹き付けるために次を読みたくなる"風呂敷"を広げていく)
「小説を書く」という事もまた、この繰り返しのような気がするんです。
どうでしょうか?
何となくですが、似てるような気がしませんか?
もちろん、「全然関係ないね!」と思われる作者さんや読者さんもいると思います。
それに、小説を執筆されている作者様方は、このような単純な事は既に実行されている方もいると思います。
ただ、もし日常の些細な「文章を書く」事があった時、「この紙にびっしり文字を埋めよう」と意識を変えるだけでも、小説を書く練習になるのでは?と思いエッセイを書きました。
少しでも、小説を書かれる方々のお力になれることを願いつつ……。
8/29 誤りがあったので、訂正致しました。
A5→A3