怪盗淑女のクリスマス
「う~さっむ!」
ちっくしょーなんでクリスマスなのに俺はこんなことしてるんだー!!
本当だったら今頃合コンに行ってたはずなのに......
それもこれも
「あんっの怪盗淑女のせいだー!!!!」
ことの起こりは昼、所に戻った時の事だった
「ん?何だ?これ..」
俺のデスクの上に一枚の封筒が置いてあった
開けて読んでみると......
『ヘルメスの加護を持つ私が
あなた方の大切なものを戴きましょう
光の祭りが開催されたこの日、
最初に狙うは満つの塔
波に揺られ光を奪いましょう
怪盗淑女アイリーン』
「な?!怪盗淑女?!」
ザワッ!
俺の一言でそこに居た全員に緊張が走った
そりゃあそうだ、よりにもよって今日!
クリスマス当日に予告状を贈るなんて......
そんなの..そんなの..
「合コンに間にあうわけねーじゃねーかアアアア~!!」
ドゴン!
「朝から何を騒いでるんですか」
「文月先輩..今六法全書で叩きました..?」
「如月君がそう感じるならそうなのでは?」(にっこり)
「オレノキノセイデシタ」
だからその本を投げる体制はとらないでください
「で?何を騒いでたんですか?
ついに渡里さんに見放されたとか..」
「何でそうなるんすか?!
これですよこれ!」
「封筒..ですね..
まさかついに不幸のてがm..」
「そこはふつーにラブレターとかにしてくださいっす!
ってそうじゃなくて、
これ怪盗淑女の予告状っす」
「ホウ..」
ひっ!
せ、先輩の雰囲気が!!
あれ?此処室内だよな?
何でブリザードが見えるんだ?!
「フフフ、怪盗淑女...
これは私への挑戦状ですかネエ......」
(((ひいいいいいい)))
うわあ...うわあ...
そういえば先輩此処一ヶ月休みなしで今日書類提出したら休暇って言ってたっけ......
でも怪盗淑女の担当だから当然それはなしで...
((何てことしてくれんだ怪盗淑女おおおお!!))
うん、たぶん今この部署の人間の心がかつて無いほど一つになってる気がする
「さて、皆さん
大胆にも如月君のデスクに予告状が届きました」
「あれ?なんじゃろうルビが違う様な気がするのう......」
「冬じぃそこは気にしちゃダメッス」
「はいそこうるさいですよ
それでは暗号の解読に移りたいと思います」
「三行目は簡単じゃな
『光の祭りが開催されたこの日』
これはずばり今日じゃ!」
「なんでっすか?」
「昔のローマ帝国であったミトラス教の祭りの一つで12月25日に開催されてた祭りなんじゃ」
「さすが亀の甲より年の功」
「ふふんワシ凄いじゃろ~?」
......相変わらずかわいい爺さんだな~
この爺さんは冬じぃこと朔旦冬至さん、
この部署の一番の古株だ
もう少ししたら定年で
夢は奥さん(すっごく上品なお婆さん)と田舎でゆっくりすることだそうだ
そしていろんな事を知っている、博識ってやつだ
「はいはい、じゃれあいはそこまでですよ
次の『あなた方の大切なものを戴きましょう』ですが何か心当たりはあります?
いつもと違って美術品の名前ではないようですし......
彼女にしては曖昧な表現ですね」
「静坊の机にあったんだからターゲットが静坊だと考えられんかのう?」
「だとしてもあなた方って書いてる時点で俺だけがターゲットってわけでもなさそーっすね」
「うむむそうじゃった」
「とりあえずこれは保留にしましょう
続いての『最初に狙うは満つの塔
波に揺られ光を奪いましょう』ですが
この最初、と言う文字が引っかかりますね」
「まさかの連続犯行予告..とかじゃあ..ないっすよね...な~んて......」
し~ん
「静坊ワシとうとうボケたかも知れん会議室に居るはずなのに極寒の雪の仲に居る様な気がするんじゃ」
「安心してくれ冬じぃ俺もそんな気がしてきた」
「あれかの?怪盗淑女はドエムかの?それとも不運の星の下に生まれたとか......」
「タイミングがすっごく悪いのは同感っす」
「お二方」
「「は、はいいいいい!」」
「とっとと解決しますよ..?」(にっこり)
め、めが..目が笑ってね~!!
「さて解読を続けましょうか」
「う、うむ、しかし満つの塔一体何なのかのう..」
「満つ、みつ、みっつ...
ま、まさかな~」
「如何したんです?」
「い、いやあその~本当にこれだったらなんかがっくり来ました」
「言ってみてください、もしかしたら..ということもありますし」
「読みかたなんすけどね?
ほら満つってみつるじゃなくってみつとも読めなくは無いでしょう?
でそれちょっとアクセント変えたら三つって数字になるような......
で、それに当てはまる塔って一つなんですよね~」
「?!東京タワーですか!」
「確かにそう考えると納得は出来るのう
たしか東京タワーは、平成3年に完成して、高さは333m
さらに開所イベントは3月3日で、展望台にある展望スペースはClub333と名付けられておる
工費は30億円で、決算期は3月31日
平成3年3月3日には、完成33周年と3にちなんだ数なっておったのう」
「見事に3ばっかっすね......」
「それに東京タワーなら次に書いてある『波に揺られ』が説明できますね」
「あ!電波!」
「確かに波といえば波ですね
しかし光を奪う、とは一体..」
「東京タワーのイルミネーションの事だったりして..」
「そんな安易なわけ無いでしょう」
「タワー以外の建物のブラックアウトとかかも知れんのう」
「「「......」」」
(((どっちもやりそうだ......)))
ぴぴぴぴぴ
「あ、すんません俺っす」
ぴっ
「如何した?渡里」
『しっずかちゃ~んあっそびましょ~』
「ちゃん付けヤメロ、後遊ばん」
『え~』
「仕事があんだよ」
『残念...あ!じゃあ夜の11時ごろちょっと時間出来る?』
「何でだ?」
『今日ね~東京タワーで11時からイベントがあって
自分の好きなメッセージを書き込んでそれをライトアップしてくれるんだって~』
「?!それマジか?!」
『え?う、うん、ホームページからアクセスして書き込んだらいいらしいよ?』
「悪い、きるな!」
『え?っチョ』
っぴ
「先輩!怪盗淑女の狙いが分かりゃした
11時からあるタワーのライトアップっす!!」
「なんじゃと?!」
「どうやら本日限定のイベントのようで、今渡里に聞いたっす」
「そんなものどうやって守れと......」
「とりあえず私服警官が周りを見回るってのは如何じゃ?
あやつの事じゃ現場には現れるじゃろうて」
「それしかなさそうですね......
では申請してきます」
「じゃあ俺先に行ってくるっす!」
「わしゃあここで留守番しておるの~」
「あ!ずリーっす!!」
「とっしょりに寒さはきついんじゃ
ワシに死ねというんか静坊~」(めそめそ)
「う?!」
反側だ~!!
と、まあこんな感じで俺は今此処(東京タワー周辺)にいる
寒いし周りはカップルばっかだし虚しいし......
あ、なんだろう怪盗淑女に対する怒りがふつふつと..
「如月君そろそろです警戒を怠らないように」
「はい!」
は~さてどうなる事やら......
っふ
「?!」
停電?!
「先輩..」
「どうやらこの付近のみの停電らしいです今朔旦さんが確認してます」
「さっすが冬じぃ、仕事が速い!」
っぱ
「なにあれ~?」
「今怪盗淑女って書いてなかったか?」
「嘘~本物~?」
「せ、先輩...」
「..どうやらまんまとやられたみたいですね」
タワーのイルミネーションがついたと思ったらメッセージが流れた
書いてあったことは......
《メリークリスマス!
確かにあなた方の【時間】を戴きました!
怪盗淑女アイリーン》
「フッザケンナ~!!!!」
「まさかこのような結果になるとは思いませんでした......」
「やっぱりあいつ捕まえたら〆る!マジ〆る!!」
「ハア、帰りましょう、此処にいても無駄です
今回は完敗ですね」
「チックショ~!
あ!でもまた何かを盗むらしいですからその時は絶対に一泡吹かせてやりましょう!」
「それまで力を蓄えておきましょう
...次は絶対逃がしませんよ?」
あ~怪盗淑女、今だけお前に同情する
先輩のイヤガラセは凄いぞ~
「温かいコーヒーは如何ですか~
新商品ですので無料で~す!」
「あ!先輩あれ貰いましょう!
冷えた体には温かいコーヒーっす!」
「そうですね戴きましょうか」
「すんませーんそれくださーぃ!」
「どうぞ~」
「サンキュ~」
「有難うございます」
「イエイエ、お疲れ様です
如月刑事に文月刑事?」
「なっ!」
「どちら様ですか?」
「いやですわ、まだ分かりませんの?」
「その喋り方は!怪盗淑女!!」
「大当たりですわ!ご褒美にクリスマスケーキでもいかが?」
「おちょくんな!」
「何故此方に?貴女の目的は達成した筈では..?」
「あら文月刑事ご機嫌が悪いようですが大丈夫ですの?」
「麗しい貴方に会えて腸が煮えくり返ってるだけなのであしからず」
先輩、結構キテたんすね......
「あらあらこれいじょう此処に居たら本気を出したあなたに捕まえられそうですわね?
其方の某有名店のクリスマスケーキは私からのプレゼントですわ
それと予告状の一番最初の文句を忘れてるようなのでお伝えしに参りましたの」
「一番最初の文句?」
なんだっけ?
「『ヘルメスの加護を持つ私が』の件ですか」
「え?あれって泥棒な私がって意味じゃなかったんすか?
ヘルメスってドロボーの神さまっすよね?」
「うふふ、同時に嘘つきの神様ですのよ?だから予告状の仲に一つ嘘が書いてありますの
聡明な文月刑事ならもうお分かりですわよね?」
「そういうことですか」
「え?え?なんなんすか?」
「私たちも引っかかってたあの最初と言う文字ですよ
恐らくそれが彼女の言う嘘でしょう」
「当たりですわ!
さてさてもう12時近いので帰らせていただきますわ
夜遅くに外に居るなんて端のうございますもの」
「そりゃねーんじゃねーの?クリスマス何だパーテイーと洒落こもーぜ?」
「今ならご馳走もあるかもしれませんね?」
「まあ素敵なお誘い有難うございますわ!
ですが申し訳ありません私エスコートは一人のほうが望ましいんですの」
「逃がすか!全員でソイツを取り押さえろ!」
「御免あそばせ?粗野な男性は嫌いですの」
ボンッ
「しまっ」
煙球か!油断した!
《メリークリスマス、今宵は楽しゅうございましたわ
いずれまた》
「あ~~~!!」
「また逃げられましたね...ッチ!」
「はい..って今先輩舌打ちしました?!」
「如月君がそう感じるならそうなのでは?」(にっこり)
「オレノキノセイデシタ」
「さて、帰って報告書でも書きますか」
「何のために俺らきたんっすかね」
「彼女の暇つぶしのためでしょうね
次の予告の時には覚悟してもらいましょう」(にっこり)
......オレハナニモミナカッタ
ジャアクナエガオナンテミナカッタ!
こうして俺のクリスマスが終わったのだった......
やっぱり出てきましたね怪盗淑女......
何故でしょう書く予定はなかったはずなのですが手が勝手に......
因みにイベントの件は想像ですあしからず
感想お待ちしております(ペコリ)