第1幕
朝、この僕、天霧日暈がリビングのテレビのスイッチを押してテレビを付けると、朝のニュースとして正義の味方と悪の組織の話を特集として出していた。
『世界に能力者が生まれて数十年。それに伴い、その力を悪用する悪の組織と、その悪の組織を倒す正義の味方がすっかり日常となりました。しかし、その能力者が現れる原因は今の所はさっぱり分かりません。
能力者になる者と言うのは、法則性が無く、遺伝性は確認出来ませんでした。また、なる時期と言うのも個人差があり、生まれてすぐに能力者になるケースもあれば、死ぬ間際に発現すると言うケースもありました。今の所、全く持って法則性は存在しません。
悪の組織が暗躍する理由は様々ですが、それに対して正義の味方が皆さんの平和を守っているので心配はありません。
皆様は日々を安全に過ごしつつ、正義の味方へのご協力をお願い申します』
それを見て、僕は気持ち悪くなってテレビの電源を切った。
「あー……。いつも通りでホッとしたよ」
僕はそう言いつつ、教科書を鞄に入れて家を出た。
玄関の扉の鍵を閉めて、青空を見ていた。青空を見ると、空を物凄い勢いで飛び去る、スケボーに乗る少年の姿が見えた。
「うむ……。普通の光景だな」
能力者とは、簡単に言ってしまえばちょっと特殊な力を持った者達の事である。常人より高い聴力を持つと言った微妙な力を持った者から、台風クラスの暴風を作り出すと言った天災を引き起こすほどの力を持った者と、能力者と言っても千差万別である。
そして多くの能力者と言う者は、悪事に手を染めるか、その悪事を成敗するかのどちらかである。正義でも悪でもない人間と言うのは少ないらしいけれども、居るには居るらしい。そしてほぼ毎日のように、正義と悪は戦い続けている。
毎日のように悪の組織と言うのが人々を襲うのだけれども、それを毎日のように正義の味方が倒している。それが本当に毎日のように行われてしまっているのだから、それを見ている傍観者側の僕達のような人間からすると慣れるしかない。
しかも、僕の周りはほとんどその能力者である。僕が通う私立戦駒学園の生徒のほとんどは、その能力者である。
僕の幼馴染は正義の味方である。
僕の友達は悪の総帥だし、僕の家族は僕以外は全員能力者である。
そんな中、ただ1人僕だけが能力者ではない。
「はぁー……」
今日も今日とて、僕の周りの人々は正義に、悪に自身の力を使っているみたいである。僕はその周りの中に、自分が入っていない事に若干の寂しさを感じながら、今日も1人、学園へと向かうのであった。




