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日陰ヒーローな掃除係  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第13幕

 ――――――――霞ヶ丘いちかさんによって誘拐、及び監禁されてしまった日の翌朝。僕はと言うと、家でコーヒーをゆっくりと飲みながら昨日の事を想い出していた。 


「なんともまぁ、昨日は大変な一日だったな」


 【平行線(ホライゾン)】と言う組織、いや団体を纏め上げていた霞ヶ丘いちかさん。彼女は薬膳寺毒人と闇影暗黒と言う2名の能力者を使って、赤石このは、西成恵、それに僕の姉と妹である雪風姉さんと陽炎を攻撃した。あまつさえ、僕も利用しようとしていた。その目的は、雪風姉さんと陽炎の2人を、昔の『【正義】でも【悪】でもない、圧倒的な力を持つ者』の姿にするためと言う事だった。

 あの時は、このはと恵があんまりにも強く激しく攻撃するから庇ったけれども、いつまた、いちかさんが前みたいになるかは分からない。

 勿論、心配ではある。しかし、それ以上に見ていられなかった。


 僕は別に女の子が苛められている姿を見て喜ぶ変態ではないため、いちかさんが甚振られているのがあまりにも不憫に見えたからだ。―――――とは言っても、いちかさんは2人に対して暴行されても仕方がないくらいの罪を犯したと言っても過言ではない、しかしそれでもやりすぎは問題だ。


「まぁ、これで彼女が考えを改めてくれれば、僕としては嬉しい限りではあるけれども……」


 そう上手く行くかは分からない。ただ、あの時は彼女が罪を悔い改めてくれると信じた。


「おや、兄さん。今日は少し遅いんですね」


 と、コーヒーを飲んでいると、階段から降りて来た陽炎がそう話しかけてくる。いつも僕達は時間が合わない。何故ならば、雪風姉さんと陽炎の2人は学校の用事で早めに家を出る事が多く、僕もまた恵やこのはの正義と悪の対決の後始末、つまりは掃除をして出る事があるため、なかなか朝は会えないのである。と言うよりかは、時間が合わないと言った方が正しいだろう。


「まぁ、な。今日はあの監禁事件の後で、恵やこのはも、落ち着くと言う事になったらしい。だから、後始末の僕も今日はゆっくりとした朝を迎える事が出来ると言う事だ」


 昨日の監禁事件の後、恵とこのはの2人は大変な騒ぎだったらしい。【思考天秤】と言う能力を持っている霞ヶ丘いちかさんの力によって、正義とも悪ともどちらにも属さない第三の集団が出来上がっており、それの対処に追われて今日は戦う気分にはなれないとの事だった。だから、僕もこうしてゆっくりと出来るのだが。


「あぁ……昨日の、第三者集団の団体の排除、ですね。雪風姉さんと共に、私も出て疲れましたよ。全く……」


「そうなのか……って、えっ?」


 あれ? 陽炎と雪風姉さんの2人が、どうして第三者集団の団体の排除に参加してたんだ? 可笑しいだろ、雪風姉さんと陽炎はもう……。


「どうして、姉さんと陽炎の2人が団体排除に貢献して……」


「……そう言えばまだ言ってませんでしたね。私と姉さんは、このはさんと兄さんによってあの組織を崩壊させた後、正義と悪の両方の行き過ぎを止めるためのストッパー役になったんですよ。勿論、昨日の兄さんの誘拐事件に関しても、もう少し遅かったら乗り込んで行って、昔のように暴れていたでしょうね」


「…………」


 いちかさん、ごめんなさいね。

 もしかしたら、あの時に僕が恵とこのはさんを止めなければ、あなたの望んでいた雪風姉さんと陽炎の姿が見えたかもしれないな。


 僕はそう思いつつ、もう1杯コーヒーを口にした。


 そのコーヒーは、昨日の事件で付けられた傷に染みて、いつもよりちょっと苦かった。

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