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日陰ヒーローな掃除係  作者: アッキ@瓶の蓋。


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第11幕

 火炎を操る正義の味方の能力者、赤石(あかいし)このは。

 精神支配の悪の総統の能力者、西成恵(にしなりめぐみ)

 ―――――――2人は正義でも悪でも無い謎の組織、【平行線(ホライズン)】の薬膳寺毒人(やくぜんじどくひと)闇影暗黒(やみかげあんこく)に襲われてしまっていた。その2人を襲うように指示したのは、霞ヶ丘(かすみがおか)いちか。しかし、闇影暗黒に襲われたその時は赤石このはは、この騒動を起こしたのはこの辺りの悪の総統である西成恵の仕業だと考えていた。しかし、恵は違った事が分かり、その時には天霧日暈(あまぎりひがさ)が誘拐されている事を知るのであった。


 そして2人で調べ上げた【平行線】のリーダー、霞ヶ丘いちかの居場所へと向かったのである。それがここまでの赤石このはと西成恵の状況の整理である。


「まぁ、そのような2人も今になったら、このような状況になっているんですけれども……ね」


 いちかはそう言って、このはと恵の2人をじっと見つめていた。このはは何本もの箒で身体を絡め取られていて、恵は眼を雑巾で防がれている。そして2人とも手と足を動かけないように、梱包用のテープで動けないように縛られていた。


「流石、掃除用具のプロである天霧日暈さんな事はありますね。掃除用具を使わせれば、能力者だろうとしても勝てるとは流石ですね」


「……」


 と、いちかはそう言いながら隣に居た、このはと恵の2人を捕まえてこの現状を引き起こした天霧日暈(・・・・)に声をかける。


 【思考天秤】の霞ヶ丘いちか。彼女の能力は思考を傾ける(・・・)能力。

 例えば、有名人が人気を持っているのを見て、ほとんどの人にとっては「あぁ、凄いなぁ」と言う気持ちがいっぱいだと思う。けれども、心の片隅には「羨ましくて妬ましい」と言う気持ちがある。凄いと思う気持ちに比べたら、遥かに小さな妬みの声。いちかはそんな気持ちの大小をコントロールする事が出来る。どんなに小さな気持ちだとしても、彼女の手にかかればそれだけしか考えられない人間の出来上がりだ。それが、いちかの能力である。


 いちかはこの能力を使って、薬膳寺毒人や闇影暗黒と言った【平行線】のメンバー、そして天霧日暈を自分が扱いやすいように操ったのである。


「【思考天秤】の最終形態の能力、【熱中操作】。相手の気持ちを一点に集中させて熱中させる。今の日暈君は正義も悪でも無い、その一点に熱中している。これを使って日暈君を、雪風と陽炎の2人を正義や悪でもない組織の人に、憧れの2人にするつもりでしたが……。ま、さ、か、このはと恵の2人さえもやってくれるとは嬉しい誤算、ですね」


 と、いちかはそう言いながら、日暈の方を見ていた。


「さぁ、日暈君。ここからが君の本当のお仕事。雪風さんと陽炎の2人を、私が憧れていたあの頃に早い所、してくださいよね」


「えぇ、やらせていただきます。全ては正義でも悪でもない、その理念のために……」


 日暈はそう言いながら、外に出ようとする。そんな彼の前では、波のような炎が現れていた。そして彼はいきなり重みが増したかのようにその場に座り込んでいた。いちかは慌てて、吊るされていた2人を睨み付けていた。


「このはと、恵の2人ですか。もう能力は使えなくてダメと思っていたんですが、どうにもまだ使えていたようですね」


「正義の味方を舐めないで欲しいわ……」


「悪の総統も同じく……ね」


 このはと恵の2人は、じっといちかを見つめていた。


「だけれども、今の正義でも悪でもない意思に『熱中』してしまっている、彼には効果はありませんよ。虚仮(こけ)の一念と称されるくらい、熱中している彼に、多少の攻撃は……」


 いちかはそう、誇らしげに言っていた。そう言いながらその証である、自身の能力である洗脳した日暈を見ていた。しかし、そこに居たのは……


「あれ、どうして……こんな場所に……」


 洗脳が解けた天霧日暈の姿であった。それを見て、いちかは驚きの眼差しで日暈を見ていた。


(――――私の『熱中』が解けるなんて……。西成恵の精神操作能力と比べたら、私の洗脳は弱い。まぁ、最初から分かっていた事ですがね)


 西成恵の能力、それは精神系に置いて最強と言っても良い能力である。彼女の能力、それは精神を元から変化する事が出来る能力である。彼女の手にかかれば、彼女に都合の良い人間を好きなように作る事が出来る。霞ヶ丘いちかのような、精神を傾けるだけの人間とは比べ物にならない精神能力なのである。


「とは言っても、恵さんはまだ捕まっていますし、【熱中操作】はまだまだ使えます。―――――――さて、もう一度日暈君には【熱中】していただきます」


 いちかは天霧日暈にもう一度、【思考天秤】の【熱中操作】を行おうとして、日暈の方を見る。しかし、日暈が居たはずの場所に彼の姿は既に無かった。


「なっ―――――――!? い、いつの間に……」


「あなたが熱中している内に、私達を助けていたのよ」

「熱中が得意なあなたが、熱中し始めたら意味は無いわよ」


 そこには日暈によって拘束を解かれた、赤石このはと西成恵の姿があった。

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