前口述 ヒーローとは
『ヒーロー』。
多くの者を導き、また助ける英雄的存在。
全ての悪を滅ぼす正義。
人間の運命を変える力を持つ者。
大げさに言ってしまったら、『ヒーロー』とはそのような、本当に周囲に影響を与える事が出来る存在である。
世界の全てを変える事などたった1人には出来そうにはないし、それでも例え小さな範囲だとしても変革をもたらす事が出来ればそれは『ヒーロー』と呼ばれるのではないだろうか。
そう言う意味で言えば、『ヒーロー』になるために必要となって来るのはいったい何なんだろうか? それは何かを変えようとする”意思”、そしてその変えるために必要になって来る”力”を持っている事である。
たった1人を救う事が出来る『ヒーロー』と、世界を救う事が出来る『ヒーロー』は本質的には大きな違いは無い。どちらも『ヒーロー』として何かを変革出来た者達なのだから。
しかし世界とは多くの者を救った者が褒め称えられる。
誰にも共感されるやり方で人を救った者が尊敬される。
誰にも見られる場所で戦った者こそ見て貰える。
人は同じだとは言うけれども、きっと全部が同じとは言えない。
何事も大きな成果を残した者が、誰にも褒められるやり方を取った者が、称賛され、褒め称えられる。
しかし、多くの人間を救う『ヒーロー』が居るのだとして、その『ヒーロー』の影に埋もれるようにして、しかしそれでも自身の正義を貫き続けた者が居る事を君達は知るべきだとは思う。
彼の方法が本当に正しかったかどうかは分からない。
けれども、そんな彼の事を――――――――天霧日暈の事を語ろうと思う。
彼の物語を、そう日陰者と呼ばれつつも頑張り続けていた、『ヒーロー』の後処理係と言われた彼の物語を語って行こう。




