礼儀作法の教師
やっと十話です!
二桁です\(^o^)/
早くもっと話を進めらせるように
頑張りますのでよろしくお願いします。
あの後、アリアスは家に帰った。明日から女官として出仕してくれるらしい。玻優は自室で休憩しているところである。なんだか疲れたなあ、と玻優は思った。なんだかんだで、ここに来て2日目なのだ。なのに昨日は祖父に会って、今日は会ったばかりの令嬢に襲われる、全く休みなしだ。
部屋がノックされた。玻優がどうぞ、と返事をして入ってきたのはミシェラだった。そういえば今日教師が来るとか行っていたような。
「殿下。お疲れですか?お疲れならば教師の方には帰っていただきますが...」
ミシェラは玻優を心配そうに見ながら聞く。
「大丈夫よ。お呼びしてください。」
ミシェラが教師を呼びに部屋を出た。ミシェラと入れ違いにエントとジークリヒトが入ってきたのだが、二人が入ってきたとたん、玻優は二人を睨みつける。
「あー、殿下。可愛い顔が台無しにございますよ。ほら、笑って笑って。」
エントは笑みを浮かべながら言うが、玻優は睨みつけ続ける。
「なーにが、笑って笑ってよ!!エント・シュライツ、私、貴方の頼み事のせいで死にそうになったのよ?」
「大丈夫ですよ。危なくなったら二人で助けるつもりでしたから、なっ?ジーク。」
エントはははは、と笑いながらジークリヒトの肩を叩いた。ジークリヒトは困った顔をしている。
「申し訳ありません。殿下。」
ジークリヒトは素直に謝罪したが、玻優はふくれっ面のままだ。
「それに、殿下には指輪の守護がありますし、滅多なことにはならないかなと思ってたんですよー。いや、怖い思いをさせてしまって申し訳ないです。」
エントはなおも弁明を繰り返す。玻優はため息をついた。こいつには何を言っても無駄だと思ったのかもしれない、と玻優は悟ったのだ。エントの性格は二番目の従兄にそっくりだ。いつも笑っていて飄々として、人を騙すのが得意という、困り者の従兄に。
「もういいわ。なんとかなったのだし。」
「アリアスがついたってことは殿下のためにもなりますよ。アリアスの実家は名家だし、アリアスだって女官として優秀だ。だから怖い思いをしただけのことはありますよ。」
「馬鹿も休み休みになさいっ!この放蕩馬鹿阿呆息子が!!アルシェラーサさまを危ない目に合わせるなんてどういうことなの!」
いつの間にかドアの前に女性が立っている。
女性はリフェミアと同じくらいの歳で、凛とした雰囲気の美女だ。彼女の後ろではミシェラが立っている。彼女を見たエントはげっ、と顔をしかめた。
「は、母上。何故王宮に」
「殿下方に頼まれたのよ。アルシェラーサ様に礼儀作法を教えてくれ、とね。もちろん、お受けしたわよ。」
それを聞いたエントは青ざめる。エントの隣ではジークリヒトが素知らぬ顔をしていたが、美女はジークリヒトのことも睨んだ。
「ジーク!貴方もなに素知らぬ顔をしているのかしら?エントを止められなかった時点で貴方も同罪ですからね!」
美女に言われたジークリヒトは複雑そうな表情を浮かべた。美女は二人に言うだけ言うとアルシェラーサを見つめて慈しむように微笑んだ。
「お初お目にかかりますわ。アルシェラーサ様。エミリア・フェナード・シュライツにございます。」
「初めまして。アルシェラーサ・ラピュネ・ターシャリエッカ・シエラシアです。母からエミリア様のお話を伺いました。確か母の従姉で親友なんですよね?」
「ええ。アルシェラーサ様は母君に目元がそっくりですわ。今日からアルシェラーサ様に礼儀作法をお教えさせていただくのでよろしくお願いしますね。」
エミリアはそう言うとドレスの裾を摘まんで膝を折った。
「ご指導お願いします。」
「では、早速指導させていただきますわね。」
エミリアは微笑んで言った。
第十話は如何だったでしょうか?
楽しんでいただけたなら幸いです!
次回も早く投稿できるように頑張りますね!




