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酒のつまみに

六甲おろし

掲載日:2026/04/23

日曜の夕方、娘がピアノに向かって何やら弾いている。


同じフレーズを何度も繰り返しているので、多分、課題曲の練習でもしているのだろう。

そう思いながら、私は挽きたての珈琲を飲んでいた。


しばらくすると、娘は突然ピアノを弾くのをやめて、楽譜をめくりだした。


何をするんだろう。

そう思いながら珈琲を飲み続けていると、突然、


タンタタタンタタターン

タタタンタンタタータターン


と弾きだした。


私はそのまま黙って珈琲を飲んでいると、娘はすぐに弾くのを止めて、またページをめくりだした。


今度は何を弾くんだ。

そう思いながら見ていると、娘が


ターンタタタターンタターン


とピアノを弾き始めた瞬間、


「六甲おろしに 颯爽と 蒼天翔ける 日輪の 青春の覇気 美しく 輝く我が名ぞ 阪神タイガース

オウ オウ オウオウ 阪神タイガース フレ フレフレフレ~」


と、私が勝手に謳いだす。


一番が終わると、娘はまた楽譜をめくりだした。

何事かと思いながら見ていると、


タンタタタンタタターン(闘魂こめて~)

タタタンタンタタータターン(大空へ~)


と弾きだした。


私はまた黙って珈琲を飲んでいる。


すると娘は突然ピアノを止めて、


「お父さん! 阪神ファンでしょ!」


とすごい顔で問うので、


「違うよ~~~! 俺はどこファンでもないもん~~!

さっきのは『闘魂こめて~大空へ~』だろ?」


娘は不服そうに、また


ターンタタタターンタターン


とピアノを弾き始めた。


「六甲おろしに 颯爽と 蒼天翔ける 日輪の 青春の覇気 美しく 輝く我が名ぞ 阪神タイガース

オウ オウ オウオウ 阪神タイガース フレ フレフレフレ~」


と私が一番を歌い終わると、娘はすぐに


タンタタタンタタターン(闘魂こめて~)

タタタンタンタタータターン(大空へ~)


と弾きだした。


私はまた黙って聞いていると、


「やっぱり阪神ファンじゃないか!!!」


と言いながら、娘はピアノを弾き始めた。


「六甲おろしに 颯爽と 蒼天翔ける 日輪の 青春の覇気 美しく 輝く我が名ぞ 阪神タイガース

オウ オウ オウオウ 阪神タイガース フレ フレフレフレ~」


そんな平穏な日曜の夕方……。




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