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第4話 草の露白し ─アマヅラミコ─

草露白くさのつゆしろし

 ──草に降りたつゆが陽の光で白く見えるころ。





 射干玉ぬばたまの緑の黒髪、深淵しんえんのような暗い瞳を持つその神はアマヅラミコと言った。

 甘味料となる植物は神の体の一部だと形容されることは有名な話である。アマヅラというのはつたからとれる蜜の一種であり、神の血液と呼ばれるものだった。


 つまりところ、アマヅラミコとは人間のはじまりだった。


 神々の中で最も人の形をしていたアマヅラミコは、地上へ降りることが趣味だった。朝起きてすぐに地上に降り、鳥や獣たちとたわむれて、暗くなれば夜の神を罵倒ばとうする。いわゆる、わがままな神であった。


 そんな彼にも転機てんきが訪れる。

 神々を取り仕切るおさから、とあるめいを授かったのだ。


──神々を喜ばせられる新たな種を生み出すこと。


 アマヅラミコを喜ばせるものは常に地上の生命体らであった。その思考から、彼は自身に似た生き物を生み出すことにする。

 のちにヒト、と名付けられたそれは、アマヅラミコと似た容姿を持っていた。しかし一つだけ、違う点がある。


 アマヅラミコのようなまだらの肌を持っていないということ。


 アマヅラミコはひどなげいた。仲間を作ったつもりであったのだが、違うものを生み出してしまったのだ。

 だがその単色の肌は他の神々からは好評であり、それはアマヅラミコの怒りを買った。


 それゆえ今の人間たちは神のように万能ではなくなってしまった。

 そしてたまに彼の気まぐれで生み出された白いまだらの肌を持つ人間は、天子として彼の機嫌を再びそこねないよう丁寧に扱わなくてはいけないのだ──




鴉鷺あろ記 創始の神 天蔓アマヅラ御子ミコ

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