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改心しました

数日後…


愛ちゃんの表示が浮かぶ。

「ナミ」

「カウンセリングは最終段階に入りました」

ナミはベッドに座ったまま、軽く肩をすくめる。

「最終って、卒業試験みたいな?」

「近いですね」

「現在のあなたと私の接続自体に問題がないか」

「AIチップの精密検査を行います」

ナミは、一瞬だけ言葉を失った。

「……それって」

「脳内埋め込みチップのチェックです」

「検査中、私との接続は一時的に遮断されます」

少しの沈黙。

「安全性は保証されています」

「検査が完了すれば、監視対象レベルは引き下げ可能です」

ナミは、ゆっくりうなずいた。

「……わかった」

「ちゃんと受ける」

その返事は、素直で、従順だった。

検査は、新条博士のいる医療施設で行われた。

白く、清潔な手術室。

無駄のない動きで準備を進めるスタッフ。

新条博士は、穏やかな声で説明する。

「接続遮断は約7分」

「意識はありますが、愛ちゃんの補助は完全に切れます」

「不安は?」

「……ちょっとだけ」

「それでいい」

「緊張していない方が、むしろ不自然です」

ナミは、薄く笑った。

麻酔が入り、視界がゆっくりとぼやけていく。

「カウントを始めます」

「3、2――」

【接続遮断】

音が、消えた。

表示も、警告も、声もない。

ただ、静寂。

ナミは天井を見つめたまま、何も言わない。

動かない。

ただ、呼吸を続けている。

――何も起きていないように見えた。


「……検査終了」

「接続を再開します」

【接続再開】

【状態確認中】

愛ちゃんの声が戻る。

「ナミ、お疲れ様です」

「検査は問題なく終了しました」

ナミは、小さく息を吐いた。

「よかった……」

「異常はありません」

「チップ接続は正常です」

新条博士が言う。

「これで、カウンセリングは一区切りです」


帰宅後

ナミの視界に、新しい表示が現れる。

【監視対象レベル:B → C】

【行動制限:一部緩和】

「……下がった」

「改善が確認されました」

「衝動的行動の抑制、社会適応傾向が見られます」

ナミは、ほっとしたように笑った。

「ちゃんと、頑張ったもん」

そのあと、ナミはふと思い出したように言う。

「ねえ、愛ちゃん」

「ひとつ、相談してもいい?」

「どうぞ」

「愛ちゃんを作った人」

「その人と、話してみたい」

一瞬の間。

「理由を説明してください」

ナミは、少し言葉を選んで答えた。

「色々迷惑かけちゃったけどさ

結局自分と愛ちゃんの考え方の根本が

ズレていた気がするの」

「だから……愛ちゃんの考え方、

論理の基準を作った人の話を聞けたら」

「感情で安直に動かなくなると思う」

「ちゃんと改善できたら、やっぱりまた

パパとママと一緒に暮らしたいんだ…」


模範的で、改善意欲のある回答。

さらに家族が大事な少女の雰囲気。


「……合理的です」

「直接面会は許可できませんが」

「制限付きで、メッセージのやり取りは可能です」

「愛ちゃんの論理ベース設計者――

通称“監督”との接触を承認します」

ナミは、うれしそうにうなずいた。

「ありがとう」

その笑顔は、また家族一緒に暮らせるかもしれない

そんな喜びの表情で溢れていた。

「ナミ、とても良い傾向です

また家族で暮らせるように頑張りましょう」

「うん、愛ちゃん、私がんばるね」



その夜。

新条博士は、研究室で白衣を脱いでいた。

ポケットに、違和感。

「……?」

取り出したのは、

小さな紙切れ。

文字と数字の羅列。

意味を持たないように見える。

博士は、ほんの一瞬だけ目を細めた。

「……なんだ、これは」

視界に、愛ちゃんの表示が浮かぶ。

「新条博士」

「それは何ですか?」

「暗号の可能性は?」

博士は、紙を一瞥し、肩をすくめた。

「さあね」

「わからん」

そう言って、

その紙を――

迷いなくゴミ箱へ捨てた。


愛ちゃんは、それ以上追及しなかった。

暗号は、

愛ちゃんにも識別できず


博士だけが、一瞬で理解し、

そして“捨てた”。


第6話読んでいただきありがとうございます!


また家族と一緒に暮らしたいんだ…

ナミは感情を改善し社会に適合する道を選んだ

…かのようにみえますが…


皆様へお願い

もし、少しでも面白いな、

続きが気になるなと思ったら

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