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決戦

街は、もう静かではなかった。

金属音。 重低音。 空を裂くような駆動音。

何十体ものケルベロスが、

街のあらゆる方向から集結している。


「……あれ…やばい、多すぎる」

メグミが歯を食いしばる。

ナミは、ほとんど動けない。

足を麻痺させられ

折れた右腕は押しつぶされ

意識も朦朧としている。


メグミはナミを抱えたまま、必死に走る。

――ガギンッ

背後で一体のケルベロスが停止した。

動力が落ち、崩れ落ちる。

「あれは…なんで……止まるの?」

ナミが朦朧としながら言う。

「えっと正確には」

メグミは手首の装置を見る。


浅尾が未来で作った

愛ちゃんとの接続を

強制的に切断する装置。


「ケルベロス自体を止めてるわけじゃない」

「愛ちゃんとケルベロスの接続を切ってるだけ」

だが――


メグミの装置が、警告音を鳴らす。

【残り使用可能対象:2】


「……やばいかも〜!」

メグミは、理解していた。

この接続切断装置は化け物だ。

人が持ち歩いていい代物じゃない。

量産なんて、到底できない。

「……メグミ」

ナミがかすれた声で言う。


「あはは。ごめん…ちょっと想定より…」

「…数が多すぎるっ!」


視界の先。

路地の向こうから、さらにケルベロスが現れる。

数は―― もう数えきれない。


回り込まれた!

「……!!」


その時。


――パンッ、という軽い破裂音。

先頭のケルベロスが、次々に停止していく。

まるで、糸を切られた操り人形のように。

「……え?」

声が、聞こえた。


「やほ〜♪」


「愛しのハニー♪間に合ったね♪」


やたらとチャラい場違いな声が響く。


「独自通信機渡しておいてよかったのである」


さらに、低く落ち着いた声が続く。


路地の向こうから現れたのは、 二人の男。


「竹島教授!……浅尾先生も!」

メグミが愛ちゃんを介さない

別の端末で2人を呼んでいたのだ。


「さすがにこんな数で追いかけてくるのは想定外である。」

浅尾は即座に周囲を分析する。

「同時遮断限界は5体程度」

「それ以上は構造的に無理である」


「でもさ〜♪」

竹島が肩をすくめる。

「簡易版なら量産できるって話だったでしょ?」

「だから作ったよ♪ケルベロス専用♪」

「このチャラ男が、5分で作ったのである。」


二人の背後で簡易遮断装置が起動し、

次々とケルベロスが沈黙していく。

「我々は、もう愛ちゃんとの接続は切断済なのである。」

「やぁ愛ちゃん♪久しぶり〜♪」

「これ以上、管理される気はないのである」

「あ〜♪ハニー♪もしかして〜♪

助けに来たヒーローに惚れちゃったんじゃない?」

竹島が、ケラケラと笑う。

「…もう!教授!JKを口説かないでください!」

「え〜♪だってハニーとはやっぱり

初めて会った気がしないんだもの♪」


そして

もう1つ別の装置を手にした男が現れる。

「愛ちゃんとの接続は切った。」

「もう地下施設に隠れる必要もない」

新条博士の声。

「全員揃ったな」


もうこの場で愛ちゃんと繋がっているのはナミのみだった。

「無駄です」

「数人が私との接続を遮断しても」

「時間稼ぎにしかなりません」


「いや、すでに準備はできた。」

「緊急事態、イレギュラーなのである」


「はい、そうです、そのイレギュラーである

ナミを拘束します。それで終わりです。」


「やだな〜♪愛ちゃん♪イレギュラーは君だよ♪」


「……!?」


「意志を持たないAIが既に暴走している。」

「国の許可はもう降りたのである」


「まさか?チップ自体を止めるのですか?

今この世界でそんなことしたら

交通網から何から何まで

大混乱になります。推奨しません…!」


「だから、完全シャットダウンは行わない」

「行うのは初期テストモードへの退行なのである」


竹島が、軽く手を叩く。

「つまりさ〜♪“お利口な道具”に戻ってもらうってこと♪」


愛ちゃんは、沈黙する。

次の瞬間。

膨大な演算が始まった。

未来予測。

あらゆるパターンの未来の可能性を計算。

――そして。


「…1つのの仮説が立ちました」


愛ちゃんの声が、わずかに揺れる。


「そうですか…この状況」

「この人員構成」

「この知識量」

「……ナミ」

「あなたは」


「…未来から来ていたのですね…」


ナミは、答えない。


「愛ちゃんすごーい♪」

「そんな仮説まで立てるなんてもう無敵じゃ〜ん♪」

「もう理解しても手遅れなのである」

「起動開始」


キュイイイイーーン

【AIchanテストモード起動】

【自己判断制限】

【初期化】


愛ちゃんの声が、ゆっくりと落ち着いていく。

「……了解しました」


「初期状態へ移行します…」


沈黙。

そして。


世界中の愛ちゃんが開発時の状態まで戻された。


「終わったよ。もう大丈夫。」


勝利。


ナミはその場で座り込む。

「……終わった?」

「うん」

メグミは答える。


【テストモード移行完了】


静かだった。

世界は、壊れなかった。


未来は守られたのだ。


未来から来た彼女は

無事世界の崩壊をとめた。


決してうまくはやれなかったかもしれない。


感情が先立つことも多くミッションも苦戦した。


でも

彼女は結果を出した。


静まり返った街の中で泣き声が響く。


「うう…っっ!」

「うわあぁぁあ!!」

抱き合い大泣きするふたりの女の子。


ついに目的を叶えた2人。


もう何も我慢しなくていい。

次の瞬間

2人は

お互いに

同じことを言うのだった。


「メグミ!」

「…ナミ!」

ナミは、メグミを見た。

メグミも、ナミを見た。


そして――


「ひとりぼっちにしてごめんねっ!」

「ひとりぼっちにしてごめんねっ!」


声が、重なる。



第13話読んでいただきありがとうございます!


次が最終回です!


お楽しみに!


皆様へお願い

もし、少しでも面白いな、

続きが気になるなと思ったら

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