シーン3|報道特番「岐路に立つ日本 ~核と平和のはざまで~」
シーン3|報道特番「岐路に立つ日本 ~核と平和のはざまで~」
生放送日時:令和7年7月1日 夜21:00|放送局:JNTV(全国民放ネット)
出演者:
司会:桐谷 尚樹(JNTV報道局キャスター)
政府代表:高田 洋一(内閣官房副長官・安全保障担当)
識者1:仁科 澄代(東京大学 法学部教授/国際法・軍縮政策)
識者2:三上 剛士(防衛シンクタンク理事/元航空幕僚監部)
識者3:斎藤 芽衣(市民団体「こどもと平和」代表/反核活動家)
特別解説:五條 潤一(国際政治ジャーナリスト)
【オープニング】
桐谷(司会):
「北東アジアの軍事情勢が緊迫する中、日本の安全保障をめぐる議論が再燃しています。核兵器は、我が国にとって“最後の切り札”か、それとも“絶対に超えてはならない一線”なのか――。今夜は各界の知見をもとに、冷静かつ真摯に議論を交わします。」
【第1セグメント:現状分析】
五條:
「視聴者の皆さん、抑止とは“攻撃させない力”のことです。北朝鮮はすでに移動式の核搭載弾道弾を持っており、日本は完全にその射程内にあります。ここで問われるのは、“信じられる盾”が果たして機能しているかです。」
三上(軍事専門家):
「現場の感覚で言えば、“盾”はあります。SM-3やPAC-3、迎撃網は整っていますが、数には限界がある。核弾頭10発ならともかく、100発となれば全てを撃ち落とすことは不可能です。」
仁科(法学者):
「ただし、核の先制攻撃を“察知して破壊する”というのは、国際法的には予防攻撃(preemptive strike)に当たります。これは国連憲章51条の自衛権とは峻別され、非常にグレーな行為になります。」
【第2セグメント:市民社会の懸念】
斎藤(市民活動家):
「私は福島で被曝した友人を持っています。だからこそ言いたい。核に“安全”や“限定”などありえません。“必要最小限の核”など、神話です。」
桐谷(司会):
「それでも、現実には“核による威圧”が各国の外交手段に使われているのも事実です。高田副長官、政府としてはどうお考えでしょうか?」
高田(副長官):
「我が国の立場は一貫しています。“非核三原則の堅持”、これが前提です。しかし同時に、国民の生命と暮らしを守るため、あらゆる選択肢を排除しないという姿勢で安全保障戦略を見直しています。」
斎藤:
「“排除しない”というのは、“やるかもしれない”と同義です。それは核武装論と何が違うのですか?」
高田:
「市民の不安は当然です。しかし、日本が選ぶべきは“報復可能性のアピール”であって、実際の配備ではありません。これは戦略的コミュニケーション(Strategic Communication)の領域です。」
【第3セグメント:核を持たずに守る方法】
仁科:
「抑止には“手段としての核”と“意志の誇示”という2面があります。日本が選ぶべきは、“核兵器の運用能力は理論上持ちうる”という曖昧戦略です。イスラエルがかつて採った“核の曖昧戦略(Nuclear Ambiguity)”が一つのモデルになります。」
五條:
「ただ、その情報のコントロールが非常に繊細です。“漏らすこと”と“言い過ぎないこと”の境界線を、政府・軍・メディアが一体で管理しなければ、逆に核拡散を招きます。」
三上:
「現実には、“潜在的核保有国”として日本はすでにG7で唯一、核兵器を数年以内に完成させうる能力を持っているとされている。だがあえてそれを封印することで、周辺諸国に“透明な抑止”を示す。それが今の平和的情報戦の本質です。」
【クロージング】
桐谷:
「“核を持つか否か”という二元論を超えて、“持たずして抑止する”という戦略的選択。今日の議論を通して、視聴者の皆さんが自らの意見を深めてくださることを願っています。」
【放送終了後|政府内ブリーフメモ(極秘)】
「本番組において、“潜在的抑止力”に関する言及は予定通り国民に浸透し始めている。今後は“核の実証は不要”という枠組みを強調し、“核技術=平和利用”という言説への誘導を進めるべき。」