【国会・安全保障特別委員会】
【国会・安全保障特別委員会|第47号会議録(非公開部分含)】
日時:令和7年6月25日|場所:国会第二委員室(極秘)
出席者(抜粋)
委員長:田嶋誠司(立民)
答弁者:防衛大臣・園田誠二(自由民主党)
質疑者:芦原隆政(日本維新の会・元防衛大学校講師)
参考人:三輪郁夫(元統幕議長・内閣参与)
芦原隆政(維新):
「端的に問います。我が国の領域において、現在“核抑止力”は実効性をもって機能しているとお考えですか?」
園田防衛相:
「我が国の防衛政策の基盤は日米安全保障条約にあります。米国のいわゆる“核の傘”の下で、非核三原則を堅持しつつ、ミサイル防衛システムによる多層的な抑止体制を構築しています。」
芦原:
「その“傘”が実際に開く保証は、どこにあるのですか? 核攻撃を受けた日本のために、米国がロサンゼルスを核報復の対象にさらすと本気で信じているのですか?」
三輪参与(参考人):
「私見を申し上げます。米国は冷戦以降、“選択的関与”へと戦略を変化させており、同盟国のために自国民をリスクに晒す“自殺的決断”を取るとは限らないというのが現実的な戦略論の前提です。これはヘンリー・キッシンジャーや元CIA長官も公然と述べているところです。」
田嶋委員長(立民):
「それでは質問を進めてください、芦原委員。」
芦原:
「ならば逆説的に問います。仮に我が国が核抑止力を“内製化”するとなった場合、技術的、戦略的、そして外交的な障害は何ですか?」
園田防衛相:
「まず第一に、技術的には不可能ではありません。三菱重工が製造するH3ロケットの打ち上げ能力、また臨界前実験の経験などを見れば、起爆装置や核弾頭の設計までは理論上可能です。しかし再突入体や高精度な誘導制御、戦略原潜に搭載するSLBMの開発は、膨大な時間とコストを要します。」
芦原:
「現実的には、“核配備”の選択肢として、米国との“ニュークリア・シェアリング”はどう評価されますか?」
三輪参与:
「これはNATOにおけるパーシングIIの戦略と同様です。平時は米軍が核を管理し、有事には日本側が指揮系統の一部を担う。理論上、NPTに違反しないが、極めて政治的な綱渡りです。」
芦原:
「それでも、敵が発射態勢に入った段階で、日本が独自に先制的に爆撃を実施する能力はありません。これは“抑止”ではなく、“座して死を待つ”態勢ではありませんか?」
園田:
「現状、日本の迎撃能力はSM-3ブロックIIAやPAC-3 MSEを中核に据えており、迎撃成功率は限定的とはいえ一定の水準に達しています。ただし、飽和攻撃に対しては、完全防衛は困難というのが事実です。」
芦原:
「米韓の軍事協定が“ニュークリア・ブラックメール”に屈した歴史をご存知ですね。北朝鮮がソウルを“火の海”とする恫喝により、米国が核施設空爆を三度にわたり断念した事実がある。」
三輪参与:
「はい。これは1994年・2006年・2017年の三度、国家安全保障会議のレベルで検討され、いずれも韓国側の都市リスクを理由に断念されました。つまり、同盟国の抑止は地政学的に制約されるのです。」
芦原:
「最後に問います。日本の“専守防衛”が意味するものは何ですか? 自国民を核の前に差し出す道徳観なのか、それとも戦略的選択の結果なのか。」
園田:
「専守防衛とは、あくまで憲法第九条の下における戦略的枠組みです。敵の攻撃の意図と能力を峻別し、実力で対抗しつつも、先制攻撃は行わないということです。だが、敵が“発射準備段階”に入ったと判断された場合には、自衛の範囲で対処することは排除しておりません。」
田嶋委員長:
「以上をもって、本日の審議を終了します。なお、本会議の議事録は機密指定とし、外部には一切公開されないことを確認いたします。」