俺の仕事(ロイドサイド)
アンダーヴィレッジに来るのは久々だ。
この荒んだ空気に淀んだ匂いが今は懐かしく感じられる。
王子になってすぐ父上と共にこの国に来たときは、死体が転がりそこかしこで伝染病が流行っている荒廃した国だった。
だが、アルドが君主となって治めるようになり劇的に国が変容していった。
くそ真面目で真摯な性格のアルドが王室に来た頃から、あいつは幼い俺の遊び相手だった。
なんの挨拶もなく消えたあいつをアンダーヴィレッジで紹介されたとき、その姿の変わり様に驚いた。
美しい紳士とでも言えばいいのだろうか。
彼の会得した所作には一つ一つに品があり、またそれが高貴にも映った。
その後、君主だと紹介されて合点がいくほど彼は己を磨き教養を身に着け、地獄から這い上がったのだと嬉しくなったのを覚えている。
俺がアルドに何も言わずにこの国にいることには理由がある。
貴族院からリリア姉さまの動きがおかしいと報告が入った。その行く先はアンダーヴィレッジではないかというタレコミも込みだ。
それも、大賢者を連れて散歩に出かけたという、可笑しな外出理由付きだ。
「抜けてるんだよな。どっかが」
姉上らしい抜け方だと可愛らしくも思えるが、軍師として拝命を受けている以上、看過する気は無い。
リリア・ルルーシュという女を手に入れるという念願を果たした兄上には、しばらく幸せな夢を見ていてほしい。
今までの兄上の人生が不遇の連続だったのを知っているのは、今はこの世で俺だけだ。
父上の封建主義に付き合わされ、ハイム家の名家には覇王という色がついてしまった。
死ぬ間際まで知らない国の王女を兄上に宛がい、政略結婚を強いられ夜這いの講師にレッスンをさせる始末だった。戦争が好きな覇権思想が強い父上の直情的な欲のはけ口はすべて兄上に矛先が向かっていた。
亡くなってから気が付いても遅いのだろうが、兄上には父上から受けた心の傷が深く残っているのを俺は知っている。
平穏を保つためには、須らく自己犠牲が伴う。
兄上の平穏は長くは続かない。リリア姉さまの周りにはリーガルにとっての不穏が付きまとっていて、それは、彼女の周りを鉄壁のように囲む魔法使いたちが物語っている。
だからこそ、今このひと時だけでも兄上が平穏でいられる時間が続くならば、泥濘に手を染める仕事には全て俺が動くと決めていた。 ここに来たのもそれしか動機はない。
漁港が近く、山脈地帯も真裏にあり、資源豊富なこの国は引く手数多の貿易場として繁栄してきた。
生まれも育ちも不問。どんな人間も魔法使いも受け入れる。その門戸の広さで国民を増やし、アンダーヴィレッジは今や一代割拠を築きつつある。
リーガルがこの国の後ろ盾になってから十年。
俺がふらりと抜き視察をしても、目立つ治安の乱れは確認できないほどに平穏だ。
しかし、国に入って数分で遭遇したのは、ハイム家が主君にと選定したアルトゥール家と、よりにもよってローズリー国貴族のエミリオが影のフィクサーとうわされているベルベッタ家のアンダーボス同士の抗争。
この国の重箱の隅に風穴が開き始めていることを証拠づけるには十分すぎる材料だ。
エンツォに連れられて仰々しく囲まれた鉄の格子のような扉の前にたどり着く。
鈍い金属音と共に門が開かれ一歩足を踏み込むと、生ごみの腐敗した匂いとと共に鉛の匂いが鼻を掠める。
「貧民窟の中では比較的治安はいいのですが用心してください」
「この地区の管轄はアルトゥールが?」
「はい。ぼくが‥‥ぼくたちが最初に創った国の始まりの場所です」
エンツォは俯きがちに吐露したが、出迎えるように現れた人影の気配にすぐに視線を厳しくした。
「やぁ。ロイド殿下」
(噂をすれば・・・・か)
貴公子然とする佇まいはスラム化し荒廃した風景では異質にさえ映り、彼の周囲の陰翳はその綺麗な笑みに裏があると思わせる妖しさが漂っていた。
「貴族のお前がこんなところに何の用だ?エミリオ・グランデル」
「きみこそ、アンダーヴィレッジに何の用が?」
「視察だ。エンツォがこの地区を見てほしいと」
「じゃぁ、ぼくも視察ってことで」
眩しいほどの金髪をさらりと梳かし進み出る姿は、ロ―ズリーの花と言われる所以を感じさせる。
兄上に似ているのは認める。顔もいい、性格も難無し、騎士の称号を持ち、魔力も相当なものだ。人を手籠めにする才能も群を抜いているのは見ただけでわかる。
彼がもし本気になれば、多国籍軍を呼び寄せるくらい人徳を築いていることも調査済みだ。
「ぼくのことはだいぶ調べたんだろ?」
「グランデル家が地下組織オスクリタのボスだってことか?」
「おや。まだそんなところか」
「ローズリー国建国当初から暗躍する謎の組織が存在する噂は聞いて居た。ローズリーは代々ポンコツな国王が続いていたし、今回の崩御劇もおかしいと勘繰られても仕方ない有様だったからな。どう考えてもヘンだろ。王室貴族も、大賢者も、宰相も幕僚長も存在する上に心を使役するという特殊な魔力操作によって魔法も武器も創り放題のこの国がたった数日で崩落するなんてありえない」
「その裏には手薬煉を引いている人間がいて、その人物が戦争を好機として崩御を仕掛けたとか?」
「その動機がわからないがね。愛している女が他国の王に娶られ、あまつ溺愛されている状態を近くで見せつけられることになる。どういう趣味か知らないが、変態には違いないだろうな」
「夢と言うものは儚いからね。彼の愛は本物だったから。それを無下にしてあげたくないだけだよ」
エミリオは視線だけでこちらに来いと促してくる。
エンツォに目配せすると彼から首肯が返ってきたのを確認し、踵を返した彼の後を追う。
ざらざらとした砂の中には硝子や人なのか獣なのか武骨な硬さが足裏を隆起させた。
窓の割れた家や外壁が剥がれて朽ちそうな建物が並び立つ中、子供の笑い声や朝から酒を飲む男たちの陽気な声が聞こえた。街並みを眺めながら行き着いた先あったのは、白亜の格子で囲われた一軒の屋敷だった。エミリオが屋敷に向かって笑顔を見せると、鈍い金属音を立てながら門が開かれる。
「いらっしゃい。王子様」
「ここはお前の屋敷か?」
「うん。造っちゃった」
「アルトゥールは了承しているのか?」
「‥‥ここは治外法権なんです。グランデル家がもともと領地としている場所だったので。この屋敷内はリーガルの法に守られています」
「そういうこと」
目を瞬き悪戯っぽく笑いかける。エミリオが向かう先にいたのは見覚えのある男だった。
「シオン・ヴェレダか」
俺が眉間に皺を寄せつつ凝視する姿が楽しいのか、彼は口角をあげつつ笑っている。
「リーガル国の王子様のご登場か」
「お前がなぜここにいるんだ」
「アンダーヴィレッジの調査だよ」
「魔法研究施設室長の仕事はどうなってるんだ?」
「俺たちはリリアのためにしか動かない。お前らの輸出業なんて興味ねーんだよ」
「おまえたちの貢献は彼女の后位に影響するんだぞ?」
「リリアがいなくなったら困るのはもはやお前たちだろ?メロメロになってる王からリリアを取り上げればどうなるかなんて国民でもわかる」
得意げな顔で揶揄るシオン・ヴェレダの顔が憎らしく見えた。女と言うのはつくづく面倒くさいと本気で思う。惚れたら負けとは聞くが兄上の場合は負けすぎだ。
代々不戦連勝を貫いてきた国の王が惚れた腫れたでこんなにも左右されるなんて考えたこともなかった。
「おまえも組織の一員なのか?シオン・ヴェレダ」
「興味ないね。ここは俺たちの保養地なんだ。リーガル国から出てぼーっとしたいときに来てる」
「だが、彼の裏の顔は知っていたと?」
「誰でも仮面の一つや二つ持ち合わせている。それに、エミリオはリリアの為に動いているんだ。咎める理由がない」
「それは王子に向かって言っているのか?それとも、一人の男に向かって言っているのか?」
「友好国の親愛なる友に向かって言っている」
俺が忌憚なく厳しい声で言い放ったことに物怖じもせず、シオンは俺に手を差し伸べた。
「お前とは分かり合えると思う」
「何を以てそう言える?」
「常に周囲に気を配り守るものを探している。敵は須らく消し去り、愛する国や人の為に叡智を尽くす。その生き様が理解できるからだ」
「随分と上から物を言うんだな」
「同等と言ってほしいね。お前に見劣りしないくらい国に尽くしてきたんだからな」
張り合うように強い口調で歯向かってこられるのは久々で、俺の内心は勝手に彼に興味がわき始めていた。抑えられず口角の端がつり上がっていく。
「何の取引かは知らんが、お前が提案した御前試合の談合ならお引き取り願う。公平な試合にしなければお互いの国の名誉が傷つくからな」
「リリアに関してだよ」
シオンは傍視したまま中に入るように促し、従うように中に入った室内はまるで城のような豪奢な造りで思わず息をのむ。
「驚いたかい?城を模して造らせたんだ」
「そうか。それはさぞ悦に浸れるだろうな。こんな屋敷に住んでいたら王にでもなった気分になれそうだ」
「王様か‥‥。いいね、なろうかな」
エミリオはくつくつと肩で笑っているがその目には一切光がない。この男は本気で王位を望んでいるのだと俺の勘が訴えかけていた。
大広間らしき部屋に入ると、豪奢な花瓶の中に生けられた大量のバラの花が華やかに迎え入れた。
室内はすべて無垢な白で統一されていて、真紅の色が不気味なほど鮮やかに映えて見える。
「エンツォはこの城を見たのは初めて?」
「はい。この管轄は入らないようにとアルドに言われていたので」
「アルドはいい子だ。自分の身の程を弁えているし敵と味方どちらとも仲違いしない。引き際も懸命だし、だれに頭を垂れたらいいのかを勘で判断できる。彼こそこの腐った巣窟と化したリーガル国の関所の主に相応しい」
エミリオが指を軽く掬うように空を描くと、食器戸棚の中から人数分のフルートグラスを取りだし同じく宙を浮きながらやって来た酒瓶の栓を抜いた。
しゅわしゅわとした清涼ある音共にグラスに金色の液体が流し込まれていく。
「アンダーヴィレッジで育てた葡萄で醸造したシャンパンだ。最近ミュゲ国に輸出してみたんだけど評判は上々でね」
「‥‥シャンパンの輸出船には何を乗せてる?」
「そんな歪んだ顔で物騒なこと言わないでよ。陛下とそっくりなイケメン顔が台無しだよ?」
「オスクリタは闇魔物や闇魔法などを秘密裏に輸出していると聞いている。それがお前たちの資金源なこともわかってる」
「へぇ。ただのイケメン君じゃないらしい」
透かすように目が細められやがてエミリオの眼の奥から鋭さが顕われた。自ら本性を現し始めたのを好機だと思った俺は、彼の座っている大理石の椅子の前に腰を下ろす。
「リリア王妃の仲間だとしてもこれ以上看過はできない」
「なら、ぼくを処刑したらいい。あられもない姿でさらし首にして国民に報せてやればいい。エミリオ・グランデルは組織のボスをしていた罪を引責するために死んだのだと」
――――出来るものならば。彼の表情から笑みが消えない理由はその自信にあった。
グランデル家は世界各国の要人、それも王家からの信頼が厚い。なぜならば、所謂「闇仕事」を請け負ってきた闇の執行人の異名を持つ名家でもあるからだ。
彼の家の血は数百年前から続く死刑執行人が起源で、貴族や王族のみを専門とする王室処刑執行人を先祖に持っている。史実には【その執行法は、究極の美意識を顕現し、荘厳なる舞台芸術の域に至るかの如く、極めて洗練された至極の一幕を観ているようだった】と在る。
この謂れが現世にまで続いていることを知っているのは、権力や権位ゆえに脛に傷を持つ要人ばかりというのが皮肉だが、これが各国を統べる世界の悪習であり現実だった。
「さぁ。グラスを取って。まずは乾杯といこう」
甘い笑顔に戻ったエミリオが俺にグラスを差し向ける。
とろりとした液状の酒が揺らぐ様から品質の良い葡萄から造られたシャンパンであると察せる。
アンダーヴィレッジの区画で育ったとは思えない品の良い香りが鼻をくすぐった。
「今日という日に乾杯」
4つのグラスが鈴のような杯の音を鳴らす。キンと耳に残る残音と共にメイドがフードトロリーに乗せて運んだ料理をテーブルに並べ始めた。しかし、俺の興味は料理ではなくメイドに向いていた。
「姉上‥‥?」
無言で淡々と料理を運んでいるメイドの顔がリリア姉さまにそっくりだった。
目の色、髪の色、背丈、肉付き。すべてがリリアそのもので、その姿に嫌な予感と背中にヒヤリとした嫌な汗が滴るのを自覚した。そうだ、こいつはリリア姉さまが好きだ。幼いころから愛していて、兄上と張り合うほど未だにその愛を捨てきれていない。
「だからって‥‥」
心の声が勝手に洩れてしまった俺の顔を見ながらエミリオが口端を上げるのを見て確信した。
「姉上を模した女を手元に置いているのか?」
「手元に置くというのは庇護を与えるという事と同意語だ。この場合、飼っているが適語だとおもうよ」
「飼うって‥‥姉上と同じような顔の女を?」
「同じような背格好の女の子を整形したんだ。よくできてるだろ?」
唖然とした顔の俺を愉しむように見眺める。エミリオの隣にいるシオンでさえも区別するような視線を送っているのがわかったことで幾分か自分がまだまともな感覚なことに安堵する。
「‥‥狂ってる」
「深情ゆえに、と付け加えてほしいな」
「王になるって発言もそこから来ているのか?」
「王になってリリアを娶るって?そうだね。ゆくゆくはそうなったら理想かな」
「リーガルに忠誠を誓う貴族がリーガルに戦争を仕掛けると言っているようなものだぞ」
「そうだね。気が向いたら仕掛けてもいいかな」
「エミリオ‥‥お前、そんなことを?」
「シオン。きみは口が悪くて聡い子だけど、悪人にも善人にも甘い所をどうにかしなきゃならないよ。彼女はこれから血の海の中で起きる戦いに赴こうとしているんだ。そのお人好し精神を直さないとリリアは守れない」
長い指でグラスを薫らせながら窓の外を眺めるエミリオの顔には愁いが揺れていた。
この男なりの姉上への愛情が歪なのは間違いないが、その精神は騎士道のようにまっすぐに彼女に向いていることもまた事実だと伝わってくる。
「ローズリーの国の裏で暗躍していたのは認めるよ。今回のぼくの大儀はリリアだけを守ることだった。ほかの連中なんてどうでもよかったし、国王と王妃が死んでも特に困ることはなかった。どっちかっていうと全員早く死んでほしいかなって思ったから、根回ししてリーガルに情報を流してあげた。揺動しただけだよ」
「‥‥俺の元には情報は来ていない。トラウムに話したのか?」
「そんな名前だったかな?」
くすくすと可笑しいものを見るような目で笑うエミリオの横に、困惑した顔のまま座ったシオンは俺に視線を配ると言いたげに噤んでいた唇を開く。
「エミリオとは動機も正義も違う。俺がリリアに関しておまえに要求するのは、彼女の行く先を阻むなという事だ」
「どういう意味だ?」
「アイツは今自分と戦ってる。弱いくせに大魔法使いになると言い出して儀式をしたり、国を建て直すって息巻いたりして周りが見えてない。だからお前に勘繰られて尾行される羽目にまでなってる。あいつがしたいようにさせてやってほしいんだ。気が済むまで自由に国を想わせてやってほしい」
「儀式以来、姉上の魔力が強くなっているのは俺もわかってる。このまま行けば大魔法使いになる日は遠くないはずだ。そんな強大な力を手に入れようとしている女を、国を再建したいと願う女を野放しにしろと?」
「リリアがもし俺たちに何も言わず謀反を興したら、その時は王室魔法使い全員の首を差し出す」
その発言は総意なのかとエミリオの顔を窺うと、先ほどの軽薄な笑みとは違う決意の滲んだ表情が満ちている。シオンと言う男は真面目で熟考するタイプだというのは姉上から飽きるほど聞かされたから、彼の内証と覚悟は相当のものだというのは明白だ。
首ごときで恩赦を貰えるかは兄上のご判断だろうが、両親を殺され兄弟や宰相にも裏切られた女の惨めな行く末をこれ以上悲惨なものにしたくない気持ちもある。
「わかった。だが、どこまで見逃すかは俺が決めるからな」
「ありがとう。ロイド」
シオンが安堵の笑みをこぼすと同時にエミリオは杯を仰いで酒を飲み下した。
俺は何をしにこんな所に来た?リリア姉さまがいるかもしれないと貴族院から聞かされたから来たというのに。俺はやけくそになる頭をすっきりさせたくて、グラスに残っている酒を一気に飲み干した。
「おぉ。良い飲みっぷりだ」
「もういい。俺は行く。これ以上の足止めは不要だ」
「リーガル国迄お送りするよ。ぼくと一緒に帰ろうか、王子様」
「はぁ?一人で帰れるからいい」
「ダメだよ。一人にしたら行くんだろ?アルドの元に」
弧を描く目の奥に炎が見えた。邪魔はさせないという意志の滾った目に思わず俺は気圧される。
「散歩ってリリアが言っただろう?信用しないなんて酷いなぁ」
「‥‥まさか、貴族院にもお前の配下が?」
「さぁ。どうだろうね」
俺と会ったことも偶然ではなく待ち構えていたのだろうか。それとも、この男の術中に入国する前から俺が絡めとられていたのか。エンツォを見ても彼の顔にも困惑の色が滲んでいるのを見て、この国の中枢にいる人間以上の力を蓄えつつあるエミリオと言う男の掌握力に寒気を覚えた。
だが、俺にとっては好都合。頭脳でも魔力でもここまで対等にやり合える敵は久々だったし、それが身内ならばなおさら軍師の腕を試す衝動に駆られる。
そのままこいつらを根絶やしにする理由にもなるし、俺がこいつらを従属させる権利も生まれるからだ。
寄宿舎で学び、母上の病を研究することを矜持としていた俺の中に蠢いている軍師の血が、こいつらを契機に滾る様に沸騰しているのがわかる。
「お仕事は終わりだよ、王子様。さぁ、一緒に帰ろうか」
優しい声音で寝物語でも始めそうな甘ったるいエミリオの声を聞きながら、俺は手酌でシャンパンをグラスに注ぎ入れ、口端から垂れる酒を拭う事もなく一気に飲み下した。




