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第52話 悪役アビロス、買い物(デート?)に行く

「アビロス、これなんかどうでしょう?」

「アビロスさま、寝袋はどれがいいのでしょうか?」

「アビロス君……種類がいっぱいあってわからないよ」

「ご主人様~~これあったかいです~~」


 各々感想を述べてくるステラ、エリス、ナリサ、ララの美少女4人。

 今日は学園の休日である。そして俺たちは野外演習の装備を揃えるために、王都のショッピングモールに来ていいた。


 さすが王都だ。様々な店舗が立ち並んでいる。


 俺たちが入ったのは、野外活動用品を取り扱っている専門店である。ようはアウトドア用品店だ。


「アビロス君、カップはどれにしたらいいのかな?」

「そうだな、ナリサ。持ち歩きに適した頑丈さと軽さ、あとは耐火性を考えると……このシリーズがいいぞ」

「そうなんだ、じゃあこれにするね。色はどれにしようかな~」


 色か……ナリサに似合う色っていうと。

 俺は彼女に視線を移した。


「えっと、アビロス君そんなに見つめられても……」

「ああ、悪い。これなんてどうだ? ナリサの綺麗な髪色と一緒だぞ」


 俺はオレンジのカップをナリサに手渡す。


「き、き、綺麗って……わたしの髪、綺麗なんだ……」

「いや、全体的に綺麗だけどな」

「ふぇぇ! ぜ、ぜ、ぜ、全体的なんだ」


 いや、誰がどう見ても美少女だろうが。なにをいまさら。


「ふぅうう~~、アビロス君、わたしちょっと外に出て冷やしてくるね」


 冷やす? よくわからんが暑かったのか。



「アビロス、ちょっといいですか?」


 おっと、お次は聖女さまか。ステラが俺を手招きしている。


「まな板を買いたいのですが、種類が多すぎて」


 なるほど、現地での食事は重要だ。

 現場は想像以上に過酷だからな、そんな中で食事は数少ない楽しみのひとつでもある。


「ふむ、これがいいだろう。軽量かつ頑丈で折りたためる。さらに魔力である程度の洗浄ができるぞ」

「なるほど、洗浄は頭になかったですね。さすがアビロス。助かります」

「ハハッ、ステラの料理がまた食べられるのか。楽しみだな」

「ええ? アビロス、私の料理好きなんですか?」

「ああ、ステラの料理は美味しいからな。毎日でも食べたいぐらいだ」

「え、ええっ! ま、毎日って……それってもう夫婦……いえ、なんでもありません、ちょっと外に出て冷静にならないと、わたし聖女なんだから」


 顔を真っ赤にしてカクカクした動きで去って行くステラ。

 また冷やすのか? なんだナリサと言い暑がりなのか?



 よし、2人の装備は大体揃ったな。あとはエリスか。

 たしか寝袋のコーナーにいたような。

 お、いたいた。エリスはどの寝袋にするか迷っているようだ。


「エリス、気に入った寝袋は見つかったか?」

「あ、アビロスさま……これ2人用みたいなんですけど……」

「どれどれ、なるほど。エリス、これはどうやら添い寝が出来るように作られたものだな」


 子供が小さい場合などに使用するのだろう。


「ふぇぇ! そ、そ、添い寝ですか!?」

「ハハッ、エリスも将来使うことになるかもな」


 将来エリスが子供を産めばあり得るんじゃないか? まあ王族がそもそも野営をするのか知らんけど。


「はうぅ……! しょ、将来使う!? それって……あ、アビロスさまと……ちょ、ちょっと体を冷やしてきます」


 エリスがブツブツ言いながら、顔を真っ赤にして出て行った。

 おいおい、大丈夫か。みんな外に出るじゃないの。この店暑いのか?


「ご主人様~~これも買うです~」


 俺が首を傾げていると、ララが色々かごに入れて持って来た。


 ちなみにララは野外演習には行かない。学園の生徒ではないからな。

 だが学園イベント以外にも、この先野営の機会はあるだろう。


 ララとはラビア先生に鍛えられていた頃、ちょくちょく野営をしていた。

 だから基本セットは持っているのだが、5年間使い倒しているので、そろそろガタがきている。

 なので、今回ララの分も揃えておくことにしたのだ。



「ところでララは暑くならないのか?」

「なんでです? このお店、涼しくて気持ちいいです~~」



 そうか、まあ個人の体感温度は違うだろうしな。

 会計を済ませた俺は、外の暑がり美少女たちの元へ向かうのであった。




 ◇◇◇




 そのあとは、彼女たちの買い物に付き合った。洋服見たり、アクセサリーみたりと。

 しかし、買い物って、滅茶苦茶時間かかるんだな……知らんかった。良く考えたら俺は前世でも女子とショッピングなんてしたことなんか無いから、そんな知識は皆無だ。

 みんな楽しそうだったので、構わないけどね。



「さて、すこし休憩しましょうか。あそこにカフェがありますし」


 ステラの提案で俺たちはお茶することにした。


 ポップな感じの気取らない明るい店だな。看板にでっかい♡がついているのだけ若干気になるけど、まあいいだろう。


 店に入った俺たちは、それぞれに注文を終える。

 俺はホットコーヒーにした。他のみんなはジュースにしたようだ。暑がってからな。


「今日はアビロスのおかげで、色々買うことがきました」

「はい、アビロスさまには沢山教えて頂きました」

「うん、すっごく楽しかったよ。アビロス君ありがとう」

「ご主人様はララの分まで買ってくれたです~嬉しいです~~」


「ハハッ、そうか。楽しんでくれたのならなによりだよ。これで装備も揃ったし、野外演習をみんなで乗り切ろう」


「お待たせしました~~」


 タイミングよく、店員さんがドリンクを運んで来たくれた。


「あら? 変わったコースターですね」

「フフ~~裏面をご覧くださいね~~」

「裏ですか? なんでしょう……【アタリ】と書いてあります?」


「おめでとうございます~~~」


 店員さんがステラに何かを手渡した。ストローぽいな。


「あ、あの。これは?」

「はい、ラブラブストローで~~す」

「え? ラブ……それはどういう……」

「このストロー飲み口が2つありますよね~~」



 おい……これはまさか……



「ええ? なぜでしょう?」

「ふふ~~向かいに座っている彼と一緒に~~一つのドリンクを~~チューチューしながら飲むんです♡」


 マジかよ……こんなプチイベント原作にあったか?



「―――ええぇえ!! 二人でチューチューしながら飲むのですか!? アビロスと!!」



 いや、声デカいよ聖女さま。



「はい~~異性と使用してもらいます~~二人の距離をつめて~~チューチューするんです♡」

「ふ、ふ、ふたりで……ち、ち、チューチュー……」


 おい、ステラ。大丈夫か……?



「メニューに♡マークのついているお飲み物は~全てこのクジがついておりますよ~」


「「―――ってことは!わたくしも!」わたしも!」


 エリスとナリサがシュバッ!とコースターの裏を見る。

 ガックリと項垂れる2人。


「はい~~お二人には普通のストローですね~~」


 残念そうに普通のストローを受け取る2人。


 いや……ぜったい普通の方がいいだろ……


 なるほど、この店はこういうのが売りの店なんだな。

 良く見れば店内はカップルまみれじゃないか。


「では、ごゆっくりお楽しみくださ~~い」


 店員さんに渡されたラブストローを手にしたステラが、こちらに視線を向ける。


「そ、そ、そ、そうですか! でしたら仕方ありませんね! アビロス!」


 え? なにが?


「は、はやくこっちに来てください。アビロス」

「いや……しかしステラ、いいのか?」

「はやくっ! 私、の、の、喉が渇いて仕方ないんです!」

「わ、わかった……」

「こ、これは仕方がないから仕方ないんですからねっ!」


 本当に大丈夫か? セリフが崩壊しているぞ。


「あわわ……アビロス君、見ないから早く終わらしてね」

「アビロスさま、わたくしも目をつぶりますから。は、は、ハレンチすぎます~~」

「ご主人さまと、ステラさま~~2人とも顔が真っ赤です~~」


「―――さあ、アビロス!」


 チューチューとドリンクを飲む、悪役と聖女。顔引っ付きそうなぐらい近い……


 ―――いや、なにこれ?


 世間一般ではこれをおいしいと言うのだろうか?



 取り合えず、死ぬほど恥ずかしかった。


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