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第32話 悪役アビロス、クラスメイトと交流する

 目の前にいる良く知った人物。


 ラビア先生。


 なんと俺たちSクラスの担任として現れた。


 いや? どういうこと?

 ラビア先生は学園には絡まないはず。というか原作ストーリー本編にはほとんど登場しない。

 主人公の回想シーンで語られる程度だ。


「よ~~し! 改めて自己紹介といこう! ワタシはラビア・イーボン! 一応騎士団長をやっていたぞ」


 その一言で教室内がざわめく。

 まあ、騎士団長ってぶっちゃけ国内最高ランクの人しかなれない。


「はい、先生! なぜ元騎士団長の方が学園の担任なのでしょうか?」


 そ、そうだ! 名もなき生徒A君。君の言う通りだ! 

 さすがにこれは無理があるぞ。


「クフフ。これはな国王陛下の意向でもあるんだ」

「ええ? 国王陛下……!?」

「そうだ! 近年魔物の活発化が次々に報告されている。平時であれば勉強のみに打ち込むのもいいだろう。だが、幸か不幸か君らはこの時代に生まれた。優秀なひな鳥をみっちり鍛えて欲しいというのが陛下からの依頼だ!」

「えと……先生。でも勉学もやるんですよね?」

「もちろんだ! 座学は別の教員が教えてくれる。しっかり励め! だが……ワタシの授業は基本的にしごきまわす! これでもかというほどにな! たっぷり学園の土をなめさせてやるから覚悟しろ!」


 いや、ラビア先生……ここ一応格式高い学校なんです。そんなド根性野球マンガみたいなノリじゃないんですけど。



 しかし魔物の活発化か。これは大きな厄災や魔王復活などのビックイベントの予兆である。

 今後起こるであろうイベントを考えると、国王の判断はあながち間違っているとも言えない。


「さて、ワタシのことはこのぐらいでいいだろう! 初日に他の授業はない……が、ワタシの授業はある!」


 ラビア先生がパーンと手を叩いて、周りを見渡す。


「―――よし! おまえたち、とりあえずグループを作れ! 人数は何人でもいい! ただし1人はダメだ!」


 突如としてはじまった班決めみたいなイベント。

 わけがわからんが、みな困惑しつつもグループを作り始めた。


 俺は―――



 よし! モブグループに入るぞ!



 目指すはクラスで5番手6番手といった、目立たない下位グループだ!


 お! ちょうどさっき話しかけてきた2人組がこっちを見ているではなないか!

 ウルネラとナリサだったか。


 平民だから俺の事知らんだろうし、変な子たちじゃなさそうだし。

 それに俺が視線をむけると、ニコリと微笑んでくれたぞ。ナリサなんか手まで振ってくれてる。


 やったぜ! 俺の平穏の場所ぉおおお!



 ――――――ガツッ!!



 には行けなかった……


 俺の腕をがっちりと誰かが掴んだからだ。


 しかも両腕……かなり強めに。


「どこへ行ことしているのですか? アビロス」

「アビ~~当然一緒のチームだよな~~」



 聖女さまと王女さまでした……



 いや、まあステラと一緒は嬉しいけど。チームは別でもいいかと思うんだよ。

 なにかあっても、近くにはいるんだしさ。


 なぜゆえに悪役アビロスが、メインヒロイン2人とチームを組むんだ。

 2人にはもっと組むべきキャラがいっぱいいると思うぞ。このSクラスには。


「ずっと守ってくれるんじゃないんですか? なら同じチームですね」

「ハ~ハッハ、わたしは強い奴としか組まないからな! だから同じチームだ!」


 2人とも目力が強すぎる……


「わかったよ。俺たちでチームを組もう。ステラ、マリーナ」


「ええ! もちろんです! アビロス!」

「ハ~ハッハ、当然だアビ!」


「あ、あの……アビロス君……わたしもいいかな?」

「アビロっち……ウルもいい?」


 おお、ナリサにウルネラも来てくれた。

 いいな。こう貴族に平民とか関係なくチーム作るのいいな。


「ああ、もちろんだ」

「ええ、私も賛成ですよ。《《チームとして》》仲良くしましょう!」


 なぜかステラに掴まれた腕の締め付けが強くなる。いや、痛いですよ聖女さま。


「ま、まあとにかくこの5人でいいだろう」

「「「「アビロスチーム!」」」」


 全員が頷き合意する。ここにアビロスチームが誕生した。


 ―――って、なぜか俺がリーダぽくなっている!?


 いや、なんで? と項垂れていると、

 うしろでハァハァと荒い息がする。


「ああぁああ~~ステラ。やっと会えたね。迎えに来たよ~~さぁこっちへおいで~~ハァハァ……」



 なんか変な奴きた。



「ステラ? 知り合いか?」

「いえ、存じ上げません。アビロス」


 ステラが俺の腕を引き寄せて密着してきた。いやいや……タユンポヨン当たってますけど!


「またぁ~~クレスだよ~~。あ、なるほど~僕に会えたのが嬉しくて恥じらいを見せてるんだね~やっぱり僕のステラはかわいいなぁ~ハァハァ」


 なんだこいつ? ハァハァと、ヤバい奴か? クレス……クレス……


 あ! 思い出したぞ!


 クレス。ゲーム原作サブキャラの1人だ。

 おれもゲームプレイで仲間にしたことがある。


 しかし……こんなキャラだったか?


 ゲーム原作と全然違う。こんな気持ち悪い印象はないからな。だからすぐに気付かなかったんだ。

 それにゲームではハァハァ言ってないし。


「結構です。どこのどなたか知りませんけど、私はアビロスのチームに入ってますから」

「アビロスチームだって? そんな冗談言って……ハァハァ……」

「ちょっ! 近づかないで!」


 クレスが空気を読まずにステラにグイグイと接近する。

 こいつ、人の話を聞かん奴だな。


「おい、クレス。ステラが嫌がっている。さっさとこの場から離れるんだ」


「アビロスか……ふ~ん。君のようなクソ貴族がなんでステラの近くにいるんだろうね? そうか! なにかクスリ使ったな! ステラの意思を奪うなんて、やっぱり君は酷い奴だね~ハァハァ」


 何言ってるんだ?

 クスリをやっているのはおまえだろ、クレス。


「―――よし! チーム分けはすんだな! では集合!」


 ラビア先生の声がスパーンと教室に響いた。


 クレスは渋々引き上げていく。ハァハァ言いながら……



「さて―――まずはおまえたちの実力をみせてもらおう! チーム対抗戦だ! 対戦組み合わせはワタシが決めめる!」


 チーム対抗戦か……ざっと教室を見渡すと、チームは6~7程度できている。

 ゲームでも見知った顔がそこそこいる。さすがSクラスだ。


 さて、どのチームと戦うことになるか。


「では初戦は、アビロスチーム対―――」


 おお、さっそく出番か。


「クレスチーム、メリンダチーム、マノンチーム!」


 ―――!?


 ハハッ、1チーム対3チームかよ。しかも各チーム人数もバラバラ。

 より実戦形式ってわけだ。ラビア先生らしいな。


 たしかに本番じゃ、戦う人数もチーム構成もバラバラだ。均等な戦いなんてそうは起きない。


 まあいいか。Sクラスの生徒とやれば、俺の実力がどのぐらいかわかるだろう。



 ―――さて、やりますか。悪役アビロスの学園生活開始だ!


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