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悪意の極意  作者: メイズ
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Revealing Personal Anecdote1〈潰してみようか〉

revealing(リヴィーリング:①暴露的な 暴き立てる 明らかにする ②露出部分が多い 体型を露にする


anecdoteアネクドート):①逸話 奇談 秘話 ②私見 個人の感想


今回はロシアンブラックジョークの『アネクドート』的な感じではなくて、英語的な意味で使ってみました。

 上から地上を見渡せば、人なんてホントありんこ同然ですね。


 地べたをせかせか歩いているのでしょうが、そうそう距離を進んでいるように見えませんね。クスクスッ‥‥‥


 ここまでは地上の喧騒はほとんど届きません。


 タワマン上階に住み、不労所得で生きる僕のような勝ち組からすれば、あのように毎日くるくる働いている一般人は素晴らしいかけがえのない存在です。そうやって汗水垂らして我々の富を作り出してくれているのですから。彼らの仕事内容は複雑ではありませんが煩雑ですからね、数もあるので彼らの全体仕事量は相当ですよ。


 しかしながら、社会の主役は僕のような小数の資本家の存在だ。我々こそが世界の金融を動かし経済を回しているのだ。


 僕は、生まれながらにただ、デスクに向かって座っているだけでも利益を得るに至る選ばれた人間です。


 ですから、僕の妻として選ばれた女性や、僕の一人娘として生まれた彼女は、大変な幸せ者と言えるでしょう。


 ええ、彼女たちは今、レセプションに出かけていますよ。なんでも新作のブランドバッグのお披露目があるとかで。女性はいくつバッグや靴やドレスを持っていても飽き足りないようですね。ふふふ‥‥



 僕の存在価値はそれだけではありません。


 あちこちの企業に名前だけ役員に名を連ね、頼まれたら人脈を駆使して各所に繋いで口利きして調整して差し上げる。それだけでも一般人100人が、セコセコ1年働く以上の貢献を会社に果たしているのですから、そのことで同等の報酬を得ることは当たり前のことなのです。


 そろそろ暮れなずんで来ましたね。秋の日暮れは急で、いつの間にか街のネオンが存在を醸しています。もっと闇が増した頃の高みからの夜景は、まるで地上に広がる星空です。素晴らしき人類繁栄の証ですよ。


 僕は高みからこうして地上を見下ろすことが大好きなのです。



 ああ‥‥ですが、気がかりがありまして。一般人が無駄に数が増えすぎるのも考えものですよね。その分無駄にエネルギーを浪費し、社会に負担(コスト)がかかりますし。


 世界でも人口爆発は憂慮されている問題です。このままでは貧乏人は食料入手も危うくなるのですから、近いうちにフードファイター、大食い自慢なるものは、時代遅れのエンタメとして非難の的にされるでしょうねぇ。



 はぁ‥‥静かだ。家族もお出かけで僕は退屈です・・・



 ならば僕は、家族が家にいない1人だからこそ出来ることをしてみてはどうでしょうか?



 あ、そうだ! 『ありんこ』を1つ2つ潰してみましょうか? これも微力ですが社会貢献ですね。


 増えすぎたありんこは減らした方がいい。


 ベランダから何か落とせばどれか1つくらいは潰せるのでは無いでしょうか?



 ええと‥‥何か適当な物は‥‥‥?


 僕はそれなりの一族の一員です。捜査機関上層部に圧をかけられますし、虫けらどもが騒ごうが、迂闊にこちらに手を出せるわけがありませんから、どうということもないのですが‥‥


 しかしながら僕の仕業だと誰かに疑われてしまっては何かと面倒だし‥‥えっと‥‥‥ああ、あれがいい。



 冷凍庫の中に板氷(ばんぴょう)があったはず。プレート状の長方形の氷のブロック。先日クルーザーで釣り予定があったからクーラーボックス用に買っておいたけど、結局天気が悪くて流れたからそのまま残ってる。


 ミステリー小説でもよくありますよね。凶器にツララを使うとか。砕けたり溶けてしまえば指紋も道具の証拠も残りませんし。


 思い立ったが吉日と昔から言われてますしね。



 わあー、こりゃ冷たい。



 せーの。




 ***





 ──さて? ふふ。地上はどうなっているのでしょうか。気になりますが、ここから顔を出して覗くわけにも。


 誰かに姿を見られては厄介です。今のうちにシャワーでも浴びていましょうか。出た頃にはオーダーしておいた夕食も玄関前に届いているでしょう。




 *****



 もう9時か。



 それにしても。


 今夜は、僕の妻と娘の帰りがいやに遅いですね。


 遅れそうな時には、我が家の絶対君主である僕に、必ずお伺いの連絡してくるはずなのに────






                                 オワリ

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