人を想う涙・5《邂逅・2》
「死ぬな。俺達が守りたかった世界がどうなったのか、しっかり見届けてからこっちに来い。そう、遺書に書いたんだ」
我慢できず、ジルの涙腺が決壊した。
どこが呪いなものか。彼女に死んでほしくない。だから理由を見つけて生の世に縛り付けた。
どこが悪いのだ。
泣きじゃくる彼に、男性はしばらく呆気にとられたのか、一言も話さなかった。
やがて、苦笑を隠しきれなかったような表情で、ぽつりと漏らした。
「やはり、優しいな」
「どこが……ですか!」
「初めて出会ったばかりの者のために泣いてくれる。見ていると、救われたような気になってしまう」
寂しげな笑みを見せる彼は、改めて、ジルに頭を下げる。
「ありがとう」
「そんな!」
「ありがとう。俺や妻、そして他の仲間達の為に泣いてくれて」
ふと、風が強く二人に吹きつけた。辺りがざわざわと騒ぎだした。
そして、男性の輪郭がおぼろ気なものになってきた。
「頼む」
その中、彼は必死に話す。
「こいつは根なし草だ。あっちへフラフラ、こっちへフラフラさ迷いやがる。しかし、もしお前の元に姿を現したら、その時はまた、こいつを受け入れてやってくれないか」
「はい」
「恩に着る」
男性が嬉しそうに眼を細めた。そして、何かを思い付いたように、服をあさる。
「何かの縁だ」
男性が何かを投げた。受け取ったジルは、しげしげとそれを見つめる。
古びた金貨だ。異国の文字が刻まれている。
「大したものじゃない。だが、一種のお守りにはなると思う。持っていてくれ」
ジルが頷いたのを見て、男性はジュンの額に、自分の額を合わせた。
「ごめんな。俺はお前とは会えない。会うべきじゃないんだ。だから、お前の分からないところで見てる。じゃあな」
それだけ言った彼は、本当に消えて逝ってしまった。
今回も短いですが、次回はちょっと長くなるかもです(汗




