表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/78

七、結婚詐欺師に賭博の駆けひきなんて、十年早いんじゃなくて? 四

 ちなみに道化はどんな数にも模様にもあてはめることができる。


「はい」

「一はどうなる?」


 多くの場合、数字の一はカードの中では十三よりも強く最強とされている。


「一般と同じ、一番強い数字です」

「俺のカードは仲間が見てもいいんだな?」

「はい」

「交換はどっちが先?」

「あなたからです」

「手札のカードの組み合わせで、一部が相手より強くて残りが弱かったら?」

「それも、こちらの勝ちです」

「たしかに、ちょっと不利だな。でも承知したぜ」

「では、始めます」


 レメンは箱の封印を破ってカードをだした。たしか占い師だったということで、手際よく混ぜていく。そうしてから、まず自分、次にヤンブルの順番で一枚ずつ交互にカードを配った。残りは山札としてテーブルに置かれる。


 『五枚札』は、とにかく二枚以上同じ数のカードがそろうか続き番号になれいい。もちろん、そろった枚数や数が多いほど強い。


 ヤンブルの手札は、私達からは簡単に目にできた。三が二枚に八、九、十二が一枚ずつ。『一双』成立……同じ数字が二枚一組になっている。役としては最低だ。数もそれに近い。


「二枚交換だ」


 ヤンブルは九と十二を捨て、レメンは山札から二枚渡した。むろん、レメンからは中身が見えないよう伏せてだす。


 新しくきたのは四と八だった。これで、三と八の『二双』。『一双』の一つうえの役。ビリから二番目の役ながら、『一双』を別とすれば一番狙いやすくもあった。


 カードは、サイコロと少しだけ似た部分がある。一から十三までの数字をどれか無作為に一つ引くなら、七がもっともでやすい。だからヤンブルは七に一番近い八を残し、役の強さを一つあげた。


 それで、レメンは……。


「私は交換なしです」


 無表情に彼女は伝えた。


「そりゃすげえな。じゃあ勝負だ。俺は二双。三と八」


 ヤンブルは自分の手札をテーブルにさらした。


「私も二双です」


 レメンもまた手札をだした。


「四と七。規定により私の勝ちです」


 レメンの四の一双は、ヤンブルの三の一双を上回っている。


「うわっ、しまった。ルーレットじゃ勝ったし、少しは参考に……」


 ヤンブルの言葉が終わる前に、私の全身にびっしりと霜がついた。比喩ではない。物理的に霜がついて、つき刺されるように冷たく痛い。そのくせ衣服はなんともない。


『残り十三』

「おい、どうした!」


 ただならぬ冷気とあっては、リバーガでなくともすぐに感づく。


「わ、わかりません……急に……」


 歯の根も合わなくなり、喋るのも難しい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ