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徐福へのインタビュー

作者: マボロショ

秦の始皇帝をあざむいて、たくさんの人と物と共に、日本に移り住んだ男、徐福。

そんな男の霊魂に、インタビューしてみた話です。

はじめまして。…………ようこそ、インタビューのお願いを聞き入れて下さって、ありがとうございます。


私にインタビューしようとか、よく思いついた物だねえ。


お聞きしたいことが、たくさんありますからね。


2000年以上昔の人間に、インタビュー出来るなんて、本気で思っていたの?


あなたは、普通の方ではありません。秦の始皇帝と渡りあえるほどの方士です。

困っている人を助けるための医学、薬学、生物学、心理学、天文学、気象学など、すべてに通じていらっしゃる。そのうえ、時間、空間を、一瞬にして超越出来る、不思議なチカラも、持っていらっしゃる!

あなたの霊魂になら、インタビュー出来るはずだと、お願いしたのです。

お聞き入れ下さって、ありがとうございました。

私は、中国語など、まったく分かりません。

それでも、私の質問したいことが、心に思うだけで、すんなり伝わって、あなたのお考えになっていることが、こんな私にも、ビンビン伝わって来ます。

いわゆる、念力が、お互いに通じている状態なのでしょうか。

言語の壁を越えて対話が出来ることに、深く、感銘しています。……………


以心伝心という言葉は、昔から、あることはあったけどねえ。

言葉に頼らずに、心で心を伝えるという考え方が。


最初に、お尋ねしたいことは、秦の始皇帝について、どういう印象を持っていらっしゃいますか?


うーん、一番、答えにくいことを、いきなり、ぶつけて来るんだねえ。

すごい男だと思っているよ。

いい意味でも、すごいし、悪い意味でも、すごいよ。

あれだけゴタゴタしていた中国を、アッという間に統一してしまった。

あの男のアイディアと度胸なくしては、考えられないね。

今の日本にも、「キングダム」などを見て、彼のすごさを知っている人、憧れている人、ずいぶん多いだろう。………それは、ある意味で、まともな評価じゃないかなあ。


強すぎるくらいに強い、というのは、分かります。……しかし、その反対の、………


もろさ、というか、弱さ、というか、それも、もちろん、あるよ。

私が、そこを突いたと言いたいんだろう。まあ、それも、当たっている面があるよ。

何しろ、権力も、名誉も、何もかも、手に入れたんだよ。

じゃあ、もうほかに、欲しいものは何もないのか。……あるよねえ。……不老不死。

権力と、財力にまかせて、秘薬を手に入れたい。

腕のいい方士なら、それを見つけて来られるだろう。そう思って、私に命令したんだねえ。

そりゃあねえ、老け込むのを少し遅らせるくらいの薬はあるさ。しかしねえ、絶対死なない薬とか、あると思う?

しかし、ここで、そんなものありませんとは、言えないよ。即、死刑になるよ。

オレに逆らうのか、ってもんだよ。

探して来ます、と言うしかないよねえ。

でも、たやすく見つかるはずはない。いろいろ、時間がかかる。手間がかかる。カネがかかる。

ところが、彼は、カネをかけてもいい、手間をかけてもいい、少々なら待つ、と言うんだよ。

はるかな東の海の向こうには、蓬莱山という山があります。そこに行って探せば、見つかるという話です。それには、たくさんの人間を連れて行って、徹底的に探すようにしたいので、たくさんの人間を運ぶため、また、その連中の当座の生活雑貨も運ぶため、大きな船をたくさん用意して頂けますか?

彼にとっては、そんなことは、命令一つで、たやすく用意出来るものです。

それで、日本に来たんです。

薬が見つかるまでは、帰れません。それで、こうなったんです。……………


日本には、あなたがいらっしゃったという伝説が、あちこちにあるんですが、お差し支えなければ、どこに住んだとか、教えて頂けませんか?


長く住んだか、短かったか、違いはありますが、大体、ほぼ、行ったことはあります。

船団には、3000人乗っていましたから、途中で別れて、別々の土地に定着したので、伝説も、あちこちにあるんです。

比較的に、多くの者が定住したのは、佐賀県と、和歌山県でしょうか。

当時、日本は、まだ縄文時代ですよ。

私たちが持ち込んだ水田栽培、石材加工、金属工作、繊維加工などの影響を受けて、弥生時代への転換が、うまく行ったという面もあります。

定住した者が、現地の先住民と結婚したりして、日本人の祖先が形成されて来たんですよ。ヤマタイ国のヒミコなどの話になるのは、400年後ですよ。

大体20年をひとつの世代と言いますから、20世代ですよ。

混血も、だいぶん、範囲が広がっていましたよね。

とにかく、未開の地に、文明開化のチャイニーズのDNAを持った人間が、拡散して行ったということは、間違いありません。


山口県、あるいは、北九州あたりには、朝鮮系の頭蓋骨を持った弥生人も、かなり多くいたらしいのですが、…………


それも、確かに事実でしょう。いろんなことが、同じ時代に、平行して進んで行くということも考えられると思いませんか?

遺伝学的にも、純粋種より、雑種の方が、すぐれた結果を出すことが多いと言いますよねえ。

ほら、スポーツ選手なんかも、混血の、すごい選手がいるじゃないですか。


純粋種の日本人とか、イメージもしにくいですしね。………







徐福の回答は、予想通りでしたか?

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― 新着の感想 ―
[一言]  読ませていただきました。 徐福伝説は日本各地にありますよね。 始皇帝の命を受けて、不老不死の薬を求めはるばる日本へ。 ふふふ〜、もしインタビュー出来たなら、そう答えられるかもしれません…
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