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サモンズキング  作者: 保育園生の絵日記
異世界からの少女
25/25

22 彼と彼女と一匹とetc

久々投稿、この次の小話が書きたくなってきたのでここまで投稿しちゃえというやっつけ投稿、そろそろ書き溜めて投稿頻度を一定化していきたいけど、言うは易く行うは難しと言う言葉もありますし誰も待ってはいないだろうけど気長に待っていただければと思います。

 ドラゴンとの戦いから一晩明け、星魔は布団の中で唯々うずくまっていた、昨日の出来事が何だったのか、正直自分の頭の中で整理がついていない、自分が呼び出したかったのはあんな怪物ではない・・・いや、はじめはああいった非現実的な生き物たちを呼び出し・・・この錆びれた変わり映えのしない日常を唯々変えたかったのだろう。

 形而上のブキーマンのような存在であるドラゴンというただの人間様の偶像に。

 昨日のあのドラゴンたちを見て、自分が本当にしたかったことが今ではわからなくなってきている。

 ヴィスカの血塗られた姿が今でも脳内を駆け巡り非日常(げんじつ)を呼び起こす。

 

 「王子! 王子!」


 扉がノックされるのと同時にヴィスカの声が部屋中に響き渡る。


 「そろそろ学校へ行く準備をしないと遅れてしまいますよ!」


 「す、すまない今日は体調がすぐれないから休む! 母上にそう伝えてくれ!」


 「わ、わかりました」


 タッタッタと階段を下りる音が聞こえてくる。

 先ほどの返答の時に自分の身体が小刻みに震えていた、気のせいではないだろう、本能的に星魔はヴィスカを恐れているのだ。

 こちらの世界に不慣れなヴィスカではなく、ドラゴンを軽く両断してしまうようなあの少女を・・・


 昨日、ヴィスカが地面すれすれで大剣をドラゴンに突き立てたとき星魔は確かに見たのだ。


 彼女が今までにない笑顔で、ドラゴンを見上げる姿を。


 あれは戦闘を楽しんでいた。


 ヴィスカと言う存在がこの世界で初めて生を受け、彼女の存在理由を証明したかのような、彼女が彼女たるゆえん、その深淵を垣間見た。そう思わずにはいられなかった。


 一方その頃1階では。


 「そう星ちゃんお休みするの」


 「みたいです、ですので私も着替えてまいりますね」


 「あら、折角着替えたんだから学校に行ってきなさい、ヴィスカちゃんは学生なのだから、本分を疎かにしちゃいけないわ、何があっても自分が健康なら学校に行きなさい、なぁに私がいるんだから星ちゃんは大丈夫よ、はいお弁当持って、ささ行った行った」


 理恵はヴィスカにお弁当を渡し、背中を押して玄関まで押しやった。


 「わ、わかりました行ってきます」


 「気を付けてね」


 ヴィスカは首を縦に振るだけで何も言わず家を出て、庭から星魔の部屋のほうを見上げると少しカーテンが揺れたような気がした。



 気が付けばもう10時を回っていた、そろそろ起きるかと身体を起こす星魔、だが頭の中には昨日の映像がフィルムを張り付けられているかのように何度もリフレインしてならない。


 「あら、やっと起きてきたのね」


 リビングで優雅にコーヒーをんでいた理恵が出迎えてくれた。


 「おはよう」


 「おそよう」


 「ヴィスカは?」


 「学校に行ったわ」


 「そう」


 毎度のことながら朝のローテンションゆえか・・・今日はそれ以外の理由もあるだろうことは理恵も察しがついた。


 「昨日は凄かったわね」

 何がとは言わない。


 「見てたの?」


 「そりゃあれだけの大きな声がすぐそこでしてれば嫌でも気づくわよ」

 理恵と星魔は庭を見る、昨日のことなどまるで嘘かのように、あたり一帯に綺麗な芝生が太陽の元起立していた。


 「あれがヴィスカの本当の姿なのかな?」


 「本当の姿・・・か・・・確かに昨日のヴィスカちゃんは凄かったわ、ドラゴンを2つに割いて、2体相手にまるで行動の先の先を読むかのように立ち回って、一切ひるむことなく戦ってたわね。まぁ素人目からしたらだけどね」

 理恵はなおもコーヒーの熱さを紛らわせるためにフーフーと息をかけながら落ち着いた様子で言葉を吐いていた。


 「でも。あれが本当の姿じゃないのだとしたら、どれが本当の姿なのかしらね。」


 星魔の頭の中には、ペットボトルをはじき出してしまった時のヴィスカの反省の顔、体調を崩し茜のベットの上で、理恵に弱音を吐いている姿がよぎる。


 だが最後に出てくるのは赤く染まったヴィスカの笑顔だった。


 「はぁ」

 理恵は嘆息を漏らした。


 「働かざる者食うべからず」


 「ん?」


 「聞こえなかった? 働かざる者食うべからず! お買い物袋持って! これはメモ! これはお金! 今日学校に行ってないんだから、買い物行ってきて!」

 朝ヴィスカを学校へ追いやった時のように星魔の尻を叩き玄関から外へ追いやった。


 星魔の経験上こうなったら買い物を済ませるまで家には入れてくれないとわかり、黙って買い物に出かける星魔なのであった。


 「ちょっとは気晴らしになればいいのだけれど」


◇◇◇


 買い物を終えて家へと帰る道中どこからともなく星魔へ声がかけられた。

 「失礼します」という声と共に頭に何か重力がかかる。


 「ブードか」


 「えぇ、どうされたのですかなこんな時間にこんな場所で、学校とやらは?」


 「サボっていたら働かざる者食うべからずと言われ母上に家から追い出されたのだ」


 「ふむふむ、なるほど・・・いい言葉ですな」


 「まぁ先人たちの叡智の結晶だからな、で、こんなところでどうしたんだ」


 「いえいえ今朝ヴィスカだけが1人で学校とやらに行く姿が見えましたのでね、星魔様はどうしたものかと、思っていましたら出掛ける様子が見えましたので失礼ながら護衛もかねて後をつけさせていただいたのですが、どうやら学校とやらには行かれないご様子でしたので」


 「まぁ先ほども言った通りサボりだ」


 「時には気分転換も必要でしょうとも、うんうん」


 「ところでブードは姉上の元にいなくても大丈夫なのか? 主は姉上なのであろう?」


 「そちらは修也に任せれば問題ないでしょう、あやつもなかなか筋の通ったふき・・・ではなく者ですので」


 「どうやってそんな古い歌を仕入れているんだ・・・」


 「こちらの世界でも顔が通っているのでね私も」

 にこやか?カラスの顔からでは窺い知れないがさも言ってやったと言わんばかりのしたり顔のブード。


 「ところでブード昨日の夜お前はどこで何をしていたんだ?」


 「昨晩のことですか、それならばいつもの森で寝ていましたが?」


 「嘘を言え! 昨日お前は姉上の部屋で寝ていたではないのか!」


 「星魔様も人が悪い、知っていたなら試すような真似をなさらずとも・・・昨晩は確かに茜様の部屋にいましたよ、途中森へと入り、ずっと見ていました」

 それ以上ブードは続きを言わなかった、いや何を見ていたのかと、聞く必要はなかったのだ。


 「昨日のあれは我が呼びこしてしまったのだ・・・ヴィスカにすこしでも元気になって貰おうと・・・」


 「いえ、あれは異世界のものがこの私目を調査するために送り込んだ偵察隊のようなものでしょう、星魔様は関係ないと言えば語弊がありますが、星魔様が起因となってあの場に現れた者たちではございませんよ?」


 「え?・・・」


 「まさか、あやつらを自分で呼び出したとでも?」


 「違うのか?」


 「違いますね」


 「な、なんだ・・・」


 「彼らの襲来は私目も予期せぬ出来事でした、ですがヴィスカの力があれで把握できましたし、星魔様たちにとっても良き判断材料になったのではございませんか?」


 「あ、あぁまぁ確かに」


 「なんだかはっきりいたしませんね? 彼女のあの勇猛果敢さをみやれば今後安泰は約束されたも同然でしょう? まぁあんな奴ら所詮は雑魚の類なのですが」


 「あれが、雑魚!?」


 「えぇ・・・生まれたても同然のまだ数十年しか生きていないようなドラゴン相手に人間であるヴィスカが負けるはずがございませんとも!」

 ブードはまるで自分のことのようかに胸を張る。


 「ああいったやつらはまた現れるのだろうか?」


 「あやつらが1匹たりとも残らず帰ってこないともなれば、送り込んだ者たちはどうお考えになると思いますか?」


 「・・・」


 「まぁご察しの通りでございます」

 星魔は返すことができなかった。

 その答えは火を見るより明らかで、聞いた後で後悔する、聞かずとも薄々感づいていたことなのだ、人の悩みなど、解決方法は最初から自分の中では分かっていて、それでも答え合わせがしたいために他人に意見を求める、だがその答えが自分の前に踊りでてきてしまうと途端にしり込みをしてしまいそうになる。


 「そうか」


 「ええ、ですのでどうでしょうか?前助言させていただいた時のようにこちらに他の招かれざる客を招いてしまうというのは? そうすれば敵の大侵略を防ぎ戦力を徐々に削ぎ落せるのではないでしょうか? ヴィスカと私だけでは大勢は捌き切れぬやもしれません、ですのでもう一度考えてみてほしいのでございます、どうやら今はあまり気が進まぬようなので無理にとは言いませんが」


 「怖くはないのか?」


 「なるほどそういうことでございましたか、まぁそうでございますね・・・ヴィスカはどうか分かりませんが死と言うもののことでしたら、私目は楽しみですらあります、無駄に生きたこの数千年、生きたこの先と死のその先の両方を考えるときがございます、この先何がこの世界で起きるのか、もし死んでしまえばその先には何が待っているのか、死の先を告げるものがいないということはそれほどなにか極上の楽しみが死の先に待っているのやもしれませんし、苦しみが待っていてもそれはそれで面白いではございませんか、誰も知らないその先を探求するのが生きるということなのであるとすれば死もそれと同様でございます」


 ブードは一呼吸おいてまた喋りだす。


 「ですが今この時の楽しみを失わないように目の前にいるものを倒すただそれだけでございます」


 その後ブードも星魔も口を開くことはなかった、唯々この家へと続く長い道のりを見据えるだけで。


◇◇◇


 ヴィスカがいつも通りの時間に帰ってきた、理恵は買い物に出かけている、出迎えたのは星魔だけだった。

 

 「ただいま帰りました」


 「お帰り」

 靴を脱ぎながらも今日あった出来事を単調に話すヴィスカに戸惑いながらも話し終えるまで待ち、話が終わったところで星魔が切り出した。


 「昨日のことなんだが」


 「はい」


 星魔の神妙な面持ちはヴィスカに身構えさえた。


 「怪我はないか?」

 当たり障りのないと言っては語弊があるが、そんな言葉からしか話を切り出せないかったのは恐怖と言う言葉がまだ心の地べたを這い蹲っているからだろう。


 「はい、あの者たちに遅れは取りませんでしたので」

 昨日はろくに話もせずに各々の部屋に戻った、星魔は自分がどうやって部屋に戻ったかは朧気で自分自身よく覚えていないのだ。


 「そうか・・・」


 「お、王子は大丈夫でしたか?」


 「あ、あぁ俺は大丈夫だ」


 「よ、良かった」

 ヴィスカの胸がなでおろされたのが分かった。

 一番大変だったのは自分だったというのに・・・


 「昨日は本当にすまなかった、助けてくれたというのに・・・」


 「私が初めて魔物の血を見たときは失神していました、初めて見た血を直視できなかったのです。その点王子は凄いと思います」

 ヴィスカは今日使ったお弁当箱をキッチンに置いて、振り向いた。


 「なんにせよ王子にお怪我がなくて本当によかったです、こうして2人でこの場に無事にいられることまずはそれを賞賛すべきです、一度の戦闘で5人や10人命を落とすことなどざらにありますから」

 ヴィスカは笑顔で平然と言うがその死地を幾度となく潜り抜け、今こうしてこの場にいられるその重大さが星魔にのしかかる。


 「ヴィスカはその怖くないのか?」

 先ほどブードにした質問、ブードはどちらでもいいとまで言っていた、生きるも死ぬも変わりはないとだがヴィスカは?まだ自分よりも人生を歩んできてはないこの少女は、死と言うものにああも勇猛果敢に立ち向かって行ける根拠が知りたかった。


 「死を恐れるですか・・・剣を持った以上はその感情は捨てねばならない、そう教えられました、一瞬の死への恐怖が判断を鈍らせ、行動を制限するその恐怖こそが死への近道だと、実際のところ死と言うものが何なのか私には分かりません、王子もそうでしょう? 今この場に立っているということは誰もまだ死を体験できずにこの地に縋り付いている、わからない物を恐れることは私にはできません、ですので死と言うものに恐れをなすことはありません」

 

 「そうか」

 ヴィスカの剣士としての意思にこれ以上口を挟むのは冒涜ですらある、そう思ったら星魔は口を開けなかった。


 「そうです、それにおちおち死んでなどいられないのです! 私はこの地でも向こうの地でもまだまだやりたいことは山ほどあるのです! こちらでおっきなパフェが食べたいんですから!」

 ハニカムヴィスカの笑顔に星魔はまた少し恐怖した、昨日見せたあの笑顔とこの笑顔は全くの別物で、同じものなのだから。


◇◇◇

 

 余談のようななにか


 それはとあるお昼休み、昼食を食べ終えると何かを思い出したように星魔が席を立ちあがる、なんの声も発さない星魔の挙動にヴィスカは一瞬の遅れを取ったがすぐさま立ち上がり。

 

 「王子どちらへ?」


 「ん? ああ少し野暮用でな」


 「ご一緒しても?」


 「っふ、好きにするがよい、しかし、他言してはならぬぞ、ことは国家機密にも匹敵する内容なのだ」

 ヴィスカは無言で頷く。


 「時間までには帰ってきなさいよー」

 もうお昼休みも後10分程度、次の授業が始まることを見据え、雰囲気ブレイカーYUKOが声をかけた。

 それに手を上げるだけで返す星魔だった。


 星魔の向かった先は中庭を一望できる一階の上履き専用の中庭通路、そこには2階に設けられているバルコニーを支える支柱が等間隔で備え付けられており、ここで星魔は度々9と4ぶんの・・・閑話休題、星魔がその柱に背を預けた、これをすると背中に白い粉が付くからやめてとよく理恵から怒られるのだが、やめられない止まらない・・・まるで本当に白い粉を吸っているときのような高揚感・・・


 そろそろ本題に入ろう。

 その柱に背中を預けると星魔は近くにいるヴィスカのことなどまるで眼中にないかのように独り言をぶつぶつと喋り始める。


 「久しぶりだな」

 周りにはヴィスカしかいないのにも関わらず久しぶりだなとはどういった了見か、ヴィスカは辺りを見渡すも人っ子一人いない。


 ヴィスカが声を出そうと思ったその時だった。


 「ああ」

 何処からともなく返答の声が帰って来る。


 「その後の調子は?」


 「我が問いかけに応え、1人の少女と、1匹従者が現れた」


 「噂には聞いていたがまさか本当だったとは・・・なんでも異世界からその魂を呼び起こしたのち、その魂と肉体を調律させたのだとか」


 「そんなたいそうなことではない、ただ我の呼び出しに共振しただけのこと・・・」


 「たいそうなことではない・・・か。さすがだな」


 「世辞はいい、それより頼む」


 「ああ、一人の少女。世界への思いを叫び、その願い叶わず、だが神の思し召しにより小さな願い受け入れられたもう、その裏で苦難する別の少女もまた。」

 明らかに柱の向かい側から聞こえるその声にいてもたってもいられずに会話に入れていないヴィスカが柱の向かい側へと顔をぴょこりと出すとそこには星魔と同じ制服を着た一人の少年が星魔と同じように柱に重心を乗せ立っていた。


 「っむ!?」


 「どうした!?」


 顔を覗かれたことで思わず声を出してしまうその少年に星魔が心配の声を上げ。


 「あ、いや」

 と言いながらヴィスカにこくりと首を折り軽く挨拶をする。


 それに倣いヴィスカも同じくこくり。


 「すまないそろそろ時間のようだ」


 少年はそのまま何処かへと消え去ってしまった。


 「王子、先ほどの方は?」


 「ああ、やつの得体は我にもわからん、だが裏社会ではこう呼ばれている、禁忌に触れた者(タブー)とな」


 「タブー・・・」


 「彼にはあまり興味を持たない方がいい、世界の終末を見る羽目にはなりたくないだろう?」


 「は、はい・・・」


 「我々も行くとしよう」


 ヴィスカはタブーが去った軌跡を後ろ髪惹かれながら星魔について行くのであった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

ちょっとくどいとこがあるけど、それが俺ということで。

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