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サモンズキング  作者: 保育園生の絵日記
異世界からの少女
19/25

17 転校生

 「よし、今日からここがヴィスカが通う1年1組だ、まぁ学校に来る時は星魔と来るだろうから場所は後々覚えるだろ、じゃぁ先に入るからちょっとここで待っててくれ呼ぶから」


 星魔、優子が通う教室1年1組へと辿り着きいよいよ転校の挨拶だ。


 「で、なんでお前がここに居るんだ修也」


 1年1組の教室に入ったはずなのだが1年4組に通っている修也が窓側最前列から4番目、教室の位置からするとちょうど中間あたりに鎮座していた。


 「っく、ばれたか・・・」


 「当たり前だ、お前だけ金髪でなんで逆にバレないと思った」


 そう、召王学園にはこれといって校則はなく、服装や髪型は指導されないのがこの学校の特色だ。

 なのでどちらかと言うと珍しい部類に入るのだが1年1組には髪を派手に染める生徒が少ない、いや居ないのだ、だから普段担任として来ている礼一からすると金色の髪は一目瞭然なのだ。


 「席が1つ空いてたからいいかなーって」


 不貞腐れながら言う修也。


 「そこは夜見愛(よるみあい)さんの席だろ、さっさと自分のクラスに戻れ」


 「へーい」


 まだ尚不貞腐れながら修也は星魔に手を振り、教室前方の扉から出て行く。


 「「あっ」」


 そこに待機していたヴィスカと鉢合わせる修也。


 「やっぱり転入して来たね、思ったより早かったけどこれからよろしく」

 修也はヴィスカの応答を待たずまた手を振りながらそそくさと自分の教室へと戻っていった。

 それと同時に礼一がクラス内で転校生がいますといい扉を開けヴィスカを手招いた、開いた扉からは大きなざわめきが波となって押し寄せた。

 少し気合を入れ一歩を踏み出すヴィスカ、それと同時に二派目のざわめきがヴィスカの身体全体を纏った。

 

 「はーい皆静かに!」

 クラスの波が一斉に静まる。

 礼一はヴィスカに耳打ちで「自己紹介できる?名前言うだけでいいから」


 ヴィスカはこくりと頷き息を深く吸った。

 その時クラスの奥の方にいた星魔と目が合い、星魔は親指を立てて頑張れと合図を送る。


 「私、サモンズ近衛兵副団長」とまで言いかけて礼一はヴィスカの口を塞いだ。

 ごめんごめんはなしてなかったね、この世界じゃ異世界なんて知られていないんだ、だから名前だけでいいからとまたも耳打ち、その時クラスがまたざわめきを孕んだ。


 召王家に連なる礼一、茜、星魔の3人には少なからずファンなるものが存在する、それは各クラスに星団のごとく無数にちりばめられ、皆息を潜めている。それなのに今日転校してきたばかりの少女にあれだけ接近しているとなると生徒たちの雲行きが変わり、ヴィスカと言う一等星を覆い隠そうとする、だがそんなことはつい知れずこの男が立ち上がった。


 ざわめきを自分の手で制し、教壇に赴く一人の少年、その行動を止めるか止めまいか迷いあぐねている頃にはもはや手遅れで、この教室で頭に手を当てている人物が2人。ため息も2つ。


 「皆の者、このものはアリーシャ・ヴィスカ! 先日我の家に住まうことになった! 外界からはるばるの越境! この地の作法などが不得手なのだ、皆、はやくヴィスカがこの地になれるように協力してやってほしい!」


 外界を海外と判断し作法が不得手となれば外国人というワードが皆の頭の中で帰結し、その上召王家に住んでいるともなれば、それはもはや召王ファミリーも同然、その吉報? にクラス中が沸いた。


 星魔はうんうんと頷くとヴィスカに声をかけ、自分の座る席窓際最高峰のさらに奥1つ突き出た席へと案内した。


 なにはともあれ事の収集がつき安堵した礼一。


 「まぁそういうことだ、海外から来てはいるが日本人学校に通っていたため日本語は多少話せるが日本人としての作法はまだまだ勉強中なので多少の無礼はあるかもしれないが、みんな仲良くしてやってくれ、あ、あと大事なことなのでこれだけは忘れないうちに伝えておく、今日はチャイムの点検が入るので1時限目の予鈴はならないので各自注意するように、では時間が押しているので朝のHRはこれで終わり、チャイムならないからなー」


 最後の念押しをして礼一は去っていった。

 その後は窓際最後尾にクラス中から生徒たちが波のように押し寄せていた。

 それはみな転校生と言うより、召王ファミリーへの関心意欲態度があふれ出しているともいえる。

 召王家は楽しいかや、どんな会話をするのか、どんなものを食べたや、間取りはどんな感じなのか。

 行き過ぎた質問も多い中ヴィスカはできるだけ丁寧に答えた、その中で魔物の多さについて触れることがあったが、皆星魔の普段や言動を見聞きしているため別段不思議に思うことはなかった。


 1時限目は現代文、日本語は読めるものの何が書いてあるのかさっぱり見当のつかないヴィスカにとって教科書は白雪姫の毒林檎ぐらいの役割しか果たせないでいた、そのまま1時限目をウトウトしながら船をこいでいると、どこからともなくチャイムの音が響き始めた、ヴィスカの寝ぼけた頭はすぐさま早鐘による警報と勘違いして飛び起きたものの、周りは皆最後尾にいるヴィスカに気付かず礼をしていた。


 「王子! 王子!」


 「おお、どうした」


 突然呼び出されて何事かと困惑する星魔に対して、ヴィスカは慌てた様子で星魔に問う。


 「さ、先程の早鐘のような音はいったい!? これから何が起きると言うのですか!?」


 「逆だ」


 「逆?」


 「ああ、終わったのだ、ワンタイムゲームがな」


 星魔の横の席、ヴィスカからして斜め前の席では優子が、呆れた様子で。

 

 「授業が1日6時限あるとして1時限ごとにああやって音で始まりと終わりを教えてくれるのよ」

 

 「な、なるほど」


 首を傾げ分かったのか分かっていないのかはっきりとしないヴィスカだが、そのうち慣れて行くだろうと思い優子はそれ以上は何も言わなかった。


 「そして、そのインターバルは10分間もあるのだ、行くぞヴィスカ!」


 「はっ!」


 何処にとは聞かないヴィスカだが聞いても分からないだろう、ただ黙々と星魔の後ろについて行くのだった。


 廊下を出てまず目についたのは、植物園。

 それは本当の意味での植物園などではなく、廊下に広がる色とりどりの髪色。

 何度も言うがこの学校には校則がなく髪色も自由だ。


 「うわぁ」

 ヴィスカの口から漏れる感嘆の声、その小さな声さえ星魔は聞き逃さなかった。


 「ん、どうした?」

 

 「皆さん綺麗な髪をしていらっしゃいますね」

 ヴィスカは自分の髪のことなど気にかけずいつぞやのお出かけの時のように四方八方を見ていた。


 だが逆にヴィスカに注がれる目線も多く存在していた。


 星魔と歩くあの少女は一体。

 この情報が馬車馬の如く駆け回り、とある人物の耳まで届くのに一体どれだけの時間がかかるのだろうか? それは未知だ。


 前を歩いていた星魔が突然止まりヴィスカに声をかけた。

 

 「何が飲みたい?」


 大きな長方形の箱に手のひらサイズの円柱が無数に並べられその足元には淡く光るものが無数に並べられ、ヴィスカの目線には棒状の穴と、ぺら一枚が入るかどうかと言うほどの隙間、そして1番下には大きな口が1つ。そう、自動販売機だ。

 星魔が財布から出した紙を自販機の中へと入れると、奇怪な音を出しながらその紙を飲み込んでしまうそれを見ていたヴィスカはこれは一体何なのかと質問しようとしたのだが、寸ででやめてしまう、星魔が困った顔でこちらを見ているからだ。応答に困ったヴィスカは。


 「王子と同じもので」


 そういった途端星魔が淡く光る何かを押したと同時に今度は勢いよくガシャン! と唸りを上げる長方形の箱、そのまま星魔が下にある口に手を入れ何かを取り出し、プシュッ! 切れのいい音を出しながら「そっと持つんだぞ」と言いながら歪な形の円柱の黒い液体入りの赤いラッピングの巻かれた物をヴィスカに手渡した。

 その後星魔はヴィスカと同じものを買い、ヴィスカに飲み方を見せるように口につけた、それに倣ってヴィスカも口につけると、その黒い液体はどんどん口の中へ侵食していき、途端苦みと同時に痺れを訴え始めた。

 毒! それからは見事なまでの噴水がヴィスカの口から噴出したかと思えば、自分の手に持っていた歪な形の円柱を床へ置き、今にも星魔が同じものを飲もうかと言う瞬間、星魔が手に持っていた歪な形の円柱を、弾き飛ばした。

 

 宙へ浮く物体がスローモーションで見え、自販機の横に空いていた窓から外へと飛翔し、やがて地面へと不時着、トクトクトク・・・シュワ―、夢が儚く散ったかのような虚しい音が星魔たちのいる廊下へと響いた。


 「あぁ・・・」


 「王子! 危ないところでした! これは毒の類ではありませんか! 口にしていなくてよかったです!」


 ヴィスカは胸をなでおろし、一仕事を終えた後の誉高そうなドヤ顔をして見せていた。


 「これは、そういう飲み物なんだ・・・」


 「へ?」


 それはヴィスカにとって新天地だったことは間違いない、今まで口にして来たものの中で痺れを訴えるものは体験し得なかった、それを星魔が口にしようとしたならば止めるのが自分の役目そう思うのが当たり前であった・・・だが今回ばかりは失敗してしまった。


 申し訳なさそうにしょぼくれるヴィスカを横に外に出て、ペットボトルをダストシュートし、新たにオレンジジュースを買ってまたキャップを外しそれをヴィスカに渡す星魔。


 「ヴィスカに脈打つ鼓動はまだ早かったようだな」

 どうやら炭酸のことを言いたいらしい。


 そのままヴィスカが地面へと置いた炭酸飲料を手に取り。


 「貰ってもいいか?」

 ヴィスカは何も言わずにコクリと頷いた。


 初の間接キスも星魔にとっては意識するものですらなかった。


 チャイムが鳴る前に教室へと赴く2人だがヴィスカは相変わらずしょぼくれていた。


 「どうしたの?」


 優子が星魔に耳打ちをし、事の経緯を話すと、まぁこればっかりは仕方がないだろうと、お互いそんなものを渡されるとは思わないし、そんな反応をされるとは私も思わないと、この世界に慣れていないが故の出来事だ、時間と慣れが解決してくれると優子はそう思い。

 ヴィスカが大事そうに手に持っていたオレンジジュースを見て。


 「美味しい?」


 ヴィスカを元気付けようと少し話でもして気を紛らわせてあげようと思ったのだがヴィスカの心に刺さった棘は思いの外奥深くに浸透していたらしく、またこくりとだけ頷きを返すだけだった。


 2、3、4限目が終わるたびに他の生徒たちがヴィスカの元へ訪れたのだが、皆も雰囲気を察し、あまり長居はしなかった、それは優子の根回しのおかげだろう、皆も自己紹介のこともあり転校初日ゆえ気を使っていた。


 この人物が来るまでは。


 お昼の時間が来るや否や、ヴィスカの棘を吹き飛ばす北風かのようなはたまた太陽のような1人北風と太陽をそつなくこなしてしまえそうな茜が教室にいきなりやってきたのだった!


 「やっぱりいた!」


 第一声北風の突風のような声はクラス中を震撼させるかのように轟き、土足で他人の家に上がり込むようにずかずかと教室内へ入り込んで来たかと思えば。


 「うぅ・・・」


 ヴィスカを徐に抱きしめて。


 「優子ちゃんヴィスカ借りてくわね!」


 星魔には確認を取らず目線だけで合図を送り、星魔は何も言わずコクリと頷いた。

 どうせ何かを言っても聞きようがないことは目に見えていた。

 優子は言外に時間になったら迎えに来てと言われているのを察した。


 優子は茜を手で招き1時限目後のことを茜に話すと、茜は「そう」とだけ言い残し、椅子に座っているヴィスカの手を取り、「食堂行こっか」太陽のような笑顔でヴィスカを先導しようかと言う時に、「ほら、ヴィスカちゃんと一緒にご飯食べたい人は私に付いてきなさい!」それはまるで戦へ出かける将軍かのように皆を引き連れ教室を後にした。


 「ヴィスカは大丈夫だろうか?」


 「心配なら一緒について行けばよかったじゃない」


 教室にほぼ取り残された状態の星魔と優子は落ち着いた面持ちで会話していた。


 「俺といたんじゃ気を使って飯も不味くなるだろ」


 「じゃぁ私にも気を使ってくれるとありがたいんだけど」


 隣に座る優子は今からお弁当を開けてお昼にしようかというところだった。


 「え、俺邪魔!?」


 「冗談よ」


 優子のツツジのような笑顔に今はただただ救われる星魔だった。

このあたりから急ぎで書いていますので会話が雑なところが・・・今までも雑でしたね・・・

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