1 確かに生きたくないほど絶望していた
流産や不倫の話から始まります。
苦手な方は読まれないようご注意下さい。
異世界シーンは2から始まります。
もう…生きていても仕方ない…。
頭の中は絶望しか無かった。
25歳で結婚してもうすぐ4年。
30歳までには…と焦りが強くなっていた中やっと出来たお腹の子が安定期を目前に流れてしまったのだ。
旦那は会社の若い子に夢中だった。
半月近く前、SNSに残された知らない人の「イイネ」を辿った先にあったのは半裸のまま笑顔で写る旦那と見知らぬ若い女性だった。
彼女の投稿を遡って見てみると旦那とはどうやら2年ほどの付き合いらしい。
旦那がいきなり「出張の多い部署に異動になった」と言ってきた時期と被っている。
月に一度子作りに協力してもらうため、毎日必死で旦那の機嫌をとり何とか排卵日のみしてもらってきた妊活。
子供は欲しいと言っていたが「仕事でしんどいんだよ」といつも言われていた。
だから疲れてるのに悪いなってずっと思ってた。
でもそりゃ協力的なわけないよね。
不倫してたんだもん。
SNSを見てから数日は信じられなくて様子を見ていた…が、ついに耐えきれず問い詰めてしまった日だった。
「お前と別れるつもりはないけどお前、魅力が薄いんだよ!今はまだ刺激とかも欲しかったんだ。男のサガなんだし仕方ないだろ!」
キツい物言いで、反省も謝罪も無い所か こちらの魅力のせいにしてきた態度に涙が溢れた途端だった。
ショックとストレスに耐えられなかったのか痛みと出血を伴い赤ちゃんはお腹の中からいなくなってしまったのだ…。
それから一週間。
体は回復してきたけど精神は病んでいくばかりだった。
当日翌日は心配してくれた旦那だったが3日目には携帯から視線が離れなくなり、5日目には出張という名のお泊まりデートに行ってしまってまだ戻っていない。
安定期に入ったら赤ちゃんの物を買いに行こうとウキウキしながら読んでいた雑誌や育児書が目に入っては涙が溢れるか感情が色を無くすかなのに捨てられず、せめて片付けようとフローリングにへたりこみながら段ボールに詰めた時に浮かんだのだ。
「もう…生きていても仕方がない…」
こんな時、本来なら支えてくれるであろう両親も既にいない。
物心付く前に離婚していたので元々母のみだったが病で他界している。
父は記憶に無いし、生死すら分からない。
赤ちゃんがやっと授かった時、どれだけ嬉しかった事か。
母の死期が宣告されて慌てて結婚の話を進めたなぁ。
そういえば交際中も浮気めいた事されて大喧嘩したなぁ。
……。
走馬灯のように色々と浮かんでは消えた。
まるで半生を逆再生しているみたい。
目の前が真っ暗な中、ぼんやりそう思った。
見えている走馬灯は小学生となり、幼児となり、赤ちゃんとなり…今度は目の前が真っ白になった。
眩しい…っ!
思わず目を瞑る。
え?絶望で真っ暗に感じたり真っ白に感じたりしてたんじゃないの?!
ハッと目を開けるとそこはいつものフローリングでなく、石畳の上だった。




