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勇者パーティを追放された万能勇者、魔王のもとで働く事を決意する~おかしな魔王とおかしな部下と管理職~  作者: 龍央


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第34話 勇者、戦慄する



 休日二日目。

 今日は昨日のように訓練をしたりせず、のんびりして休む予定……だった。

 過去形なのは、もちろんのんびり出来ていないからだ。


「……さぁ、ここだ」

「魔王が王城にいなくて良いのか?」

「城の中は息が詰まるからな。だから私は別の場所に家を建てて、そこに住んでいるのだ。もちろん、家族も一緒にな」

「自由だな……」


 俺は今、アルベーリの住んでいると言う家の前にいる。

 一国の王が、城以外の場所に住んでいて良いのか疑問だが、それでこの国は今の所何も無いんだ、細かい事は気にしない事にした。


「また私……こんな扱いで……」

「今回も逃げ出そうとするからだろ? 一応、俺の部下なんだ……一蓮托生と行こうじゃないか。ほらっ」

「きゃん! ……もうちょっと丁寧に扱って下さい。レディに対して失礼ですよ?」


 丁寧に扱うのは、ネジの緩んでないまともなレディが相手の時だけだな。

 フランのように丈夫で、目を離したら何をするかわからないようなレディの扱いは、これで十分だ。

 俺は、フランが縛られている縄の先を引っ張ったまま、アルベーリの邸宅へと入った。


「……予想と違って立派だな」 

「どんな想像をしていたんだ?」

「筋肉だるまの石像が飾られてたりとか?」

「……飾ってあった石像は妻に粉砕された……」


 その時の事を思い出して落ち込むアルベーリ。

 というか、飾ってあったのか……筋肉が好きでもそれは悪趣味過ぎるだろう。


「ようこそいらっしゃいました。夫がいつもお世話になっております……」


 邸宅に入ると、すぐ絶世の美女と言っても過言ではない女性が、丁寧にお辞儀をして出迎えてくれた。

 ……この人がアルベーリの妻だと……?

 世の中が不公平な事を実感した瞬間だった。


「ベアトリーセ、出迎えご苦労」

「王妃様にあたりましては、お日柄も良く、ご機嫌麗しく!」


 アルベーリは普通に話しているが、何故かフランが異常に緊張して何を言ってるのかよくわからない。

 どうしたって言うんだ?


「あらあら、フランツィーツちゃん、可愛い飾りを付けて楽しそうね……」

「いえいえいえいえ! これは飾りでは無く、無実の私を捕らえる邪悪な物なのです。決して楽しい物ではござらんですます!」

「何を言ってるんだお前は……?」


 フランの緊張の仕方が尋常じゃない。

 フランの名前を間違えてるのに、こいつが突っ込みもしないなんて……。

 出迎えてくれた女性の方は、王妃と呼ぶのに相応しく、見目麗しく朗らかな笑顔を浮かべているだけで、別段緊張するところは無いはずだ。

 ……おや、あの角は……?


「ベアトリーセ、客をもてなすのだ」

「あ”?」


 アルベーリが、命令口調で王妃様……奥さんに言った瞬間、周囲の空気が変わった。

 あれ……今日ってこんなに寒かったっけ?


「さっきから偉そうですわねぇ、アルベーリ? どうして貴方が妾に命令出来ると思っているのかしらぁ?」

「す、すまなかった! 我が調子に乗っていた! 久方ぶりに友人を招待したからつい、良い所を見せようと思ってしまったのだ!」


 朗らかにしていた先程とは打って変わり、アルベーリを睨みつけて片手で服を掴んで持ち上げた。

 アルベーリの方は、その手から逃げる事も出来ず謝るばかりだ。

 ちなみにフランの方は、縄に縛られたままブルブル震えながら怯えていた。

 ……フランが緊張していた理由がわかった……これは下手な事を言えないな。


「……おっと。……あらあら、私ったら。失礼しました、お客様の前で……」

「いえ……気にしていません。本日はお招きに預り、ありがとうございます」


 俺の事を思い出した奥様は、アルベーリを放して朗らかな表情に戻る。

 アルベーリとフランを見ていてもそうだったが、魔王国の魔族にまともな者はいないのか?

 決して怖かったわけではない……。




別の作品も、連載投稿しておりますので、ページ下部のリンクよりお願い致します。


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