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瞳洸(どうこう)  作者: 内山潤
第2章 平日
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08. 画面

「え?百合華?どうしたの?」


夢子が異変に気づいた。


「スマホ!」


「スマホがどうしたの?」ハンカチで少し濡れた服を拭いながら夢子が聞いた。


「スマホ、オリオンに置いてきちゃった…やばい。」


「別にいいじゃん、近々どうせ行くんだし。取っといてくれるよ。」


「だめ…ダメダメダメ……、絶対ダメ!」


 百合華は激しく首を振った。


「どうしたの?何がダメなの。」


 さすがに心配になってきた夢子が聞く。


「実はあのスマホ……ロック画面の待ち受けが穂積怜なの…」


「ええええええええええええええええええええええ…!」


 夢子は場所を忘れて大声を出した。

 女子会メンバーで穂積怜を目の保養にしていたのは確かだが、スマホのロック画面に設定する程の者がメンバーにいたとは……。夢子は百合華の告白に若干引いた。


「ち、ちがうの。盗撮とかじゃなくて、その…ある日、彼がね、カウンターの向こうで、こっちに背中を向けた瞬間があって、他にお客さんとかいなくて、その後ろ姿が…なんて言うか、穂積怜にスポットライトが当たってるみたいで、凄く絵になってね…。つい、机の下で何枚か写真を…。」


 顔から火が出そうな説明だったが、夢子に【ストーカー】認定されたくなくて百合華は必死に説明した。

 そして穂積怜がもし待ち受け写真を見ていたら…一巻の終わりだ。気持ち悪い女と思われるに違いない。


「……そうなの。百合華、あんた結構やるわね。じゃあ、ロック画面見られたらアウトってわけか。でもロック画面ってそうそう見なくない?お客さんの忘れ物って気づいたらなおさら、余計なことせずいじらずに、大切に保管しておくんじゃない?」


 夢子がフォローを入れる。


「で、でも、もし何かの拍子で穂積怜が待ち受けを…アクシデントで見ちゃったら…返してもらいに行く時、私…どうしたらいいの……」


 涙目になる百合華に夢子は「じゃあ今から一緒に取りに行こうか?」と声をかけた。


「ありがとう夢子…でもこういうのは自分の責任だと思ってるから。私、ダッシュでオリオンに戻る。まだ気づかれてないかも知れないし。夢子!私頑張るから、また報告するから、先帰ってて!」


 夢子の返事を聞く前に、百合華は猛ダッシュでバー・オリオンへ向かっていた。雨は強くなってきている。百合華は傘のことなど忘れているようだ。


 時計を見ると24時30分。1時閉店のバー・オリオンはもう閉店支度をしているところだろう…。


 夢子はこういう時に人の意見を聞かない百合華の性格をよく知っている。百合華の後を追っても、それは百合華の意志を尊重しないことになってしまうのだ。やれやれ。夢子は仕方なく、各駅停車の電車に乗り込んだ。

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