表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
瞳洸(どうこう)  作者: 内山潤
第5章 調査
69/232

69. 施設探し

 夕方だがまだ明るい。しかし、2日間の調査活動で、暑さもあり、百合華はだいぶへばっていた。明日の仕事に響いてしまったら、課長桑山に「仕事には巻き込まない」と宣言したことが嘘になってしまう。


 百合華はハンバーグ屋の竹内が描いてくれた最後の地図を見た。これはだいぶ大雑把な地図だ。竹内の後輩が【施設】と呼んだ場所の地図である。


 わかるのは、その【施設】たるものの場所が、五谷(ごたに)市の隣、綾谷(あやたに)市にあるということ、五谷と綾谷の境目周辺にあるということ、方角で言えば、今居る不動産から東方向へほぼまっすぐ行けば目的地に着きそうだ。

 しかしこれでは迷子になりそうだ。


 百合華はスマホを取り出し、【綾谷】【施設】と検索したが、何十という数の検索結果が出てきた。施設と言っても、介護施設、教育施設、障害者施設、スポーツ施設…キリが無い程出てくる。

 もう少し絞らなければならない。穂積怜と蓮が発見されたということは、子どもが利用する施設だ。すると、【児童発達支援施設】などが検索結果に出てきた。少し近づいた気がする。

 みどりの言葉を思い出していた。全神経をみどりが発した言葉に集中させる。

【児童相談所】、そうだ!【綾谷】【児童相談所】で検索をかけた。しかし何かが違う。


 児童相談所は、


 ————〘名〙 児童福祉法により都道府県が設置する児童福祉のための機関。児童に関するすべての相談を受け、調査・判定を行ない、保護の必要な児童を児童福祉施設に入所させ、または状況に応じて一時保護するなどの業務を担当する。〔児童福祉法(1947)〕


 と書いてある。

 また、別のページを開いてみると、


 ————児童福祉法に定める児童福祉業務を行う第一線機関。児童の健康,性格,進学等諸問題に関する診断や指導,児童の一時保護のほか児童福祉法に定める各種措置を行う


 とある。

 児童相談所は行政機関なのだ…施設ではない。

 児童相談所という第一のフィルターを通して、そこから対処が考えられる。五谷や綾谷がある神河(かみかわ)県で言えば、県が総括しているのが児童相談所、困った児童が真っ先に保護される場所である。


 では施設と言えば…先ほど開いていたページをもう一度見た。


【児童福祉施設】の中の中に【児童養護施設】というものが含まれるらしい。


 これかも知れない…

 百合華は、【綾谷市】【児童養護施設】で検索をした。すると7件の【児童養護施設】がヒットした。

 画面を地図に変更して、五谷と綾谷の境界周辺にある施設を探した。


 —————あった。


【児童養護施設】にじのゆめ


 電話番号も住所も載っている。おまけにホームページもあった。ホームページを開くと…そこにあったのは、クリーム色した、丸みを帯びた建物。

 竹内の後輩が見た時よりは年月が経っているが、一見新しい建物に見える。

 ここだ…間違いない。


 百合華は迷った。

 児童養護施設だ。個人情報は最優先だろう。何かインタビューしても返してくれる可能性はほぼゼロに近い。見学も、そう簡単にはさせてもらえないだろう。例え取材と称しても。


 ホームページを閲覧していると、毎年10月に地域の人たちとのお祭りをしていることがあった。だが10月はまだ先だ。

 今は8月…何かイベントは無いかな……と見てみると、地域の大きな病院と合同で夕涼み会をしていることがわかった。予定は8月の25日、日曜日。

 まだあと2週間あるけど、これに参加してみよう。

 百合華はメモに【8/25(日)】お祭りと記入した。


 百合華は車を発車させ、帰路に着いた。帰りに【児童養護施設】にじのゆめを少し見て帰る予定だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ