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瞳洸(どうこう)  作者: 内山潤
第2章 平日
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06. 瞳の色

 穂積怜は、バーテンダーという客商売に就いているいうのに、客にニコリとも微笑まない。頭も下げない。言葉もかけない。


 完全に向いてない職に就いているのではないか……と百合華は強く思うのだが、彼の作るカクテルは皆が声を揃えて美味しいと言う。


 シェイカーを降る穂積怜は、心を込めてカクテルを作っているようにはとても見えないのだが、それが美味しいのだから不思議だ。

 無駄な動きが1つも無く、白くて長い指の一本一本が、オーダーしたリキュールの究極のスパイスになっているのかも知れない。


 普段、編集部女子会メンバーはカウンターから少し離れた(と言っても数メートルだが)茶色い丸テーブル席でそれぞれが向き合う形で呑み、話す。


穂積怜は背が高いので、遠くからでもよく目立つ。180はゆうに超えているだろう。細長い白い腕に、長くカールした睫毛、耳にかかるウェービーな黒い髪、そして日本ではそうそう見ることの無い不思議な色の瞳。


 穂積怜とバーで出会った数ヶ月前の当初は「カラコンかな?」などと百合華たちは思っていたのだが、至近距離でみるとどうも違うようだ。


 青やグレーではない、何という色なんだろう。



 会計は基本的に陽気な店長が担当しているらしい。「今日もべっぴんさんお揃いで嬉しい限りです」などとリップサービスを忘れずに軽快に会計を済ませる。


 どうやら会話を含むコミュニケーションは、この店長の仕事のようだ。


 バーの前で少し立ち話をした後、女子会メンバーとはバーの前で別れた。



 家が同じ方向の百合華と夢子は駅に向かって歩いていた。


 家といっても、2人とも住んでいるのは市内の1LDKのアパートだ。


お互いの家は徒歩10分ほどの場所にある。どうせ近いんだから、と、ルームシェアをする話も出ているが、夢子は猫を飼っているのでペット可のアパートを探さなければならない。焦らずに探そう、という話になり、2人はいまだ別々のアパートに住んでいる。

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