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瞳洸(どうこう)  作者: 内山潤
第2章 平日
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03. 織田出版

百合華が務める織田出版は、決して大手出版社ではない。だが、地元の人ならほぼ必ず知っている広報誌や名所巡りの旅マップ、地元の歴史をわかりやすく紹介する冊子などを作っている、ローカルに密着した出版社だ。



 元々は社長の織田(おりた)が一念発起し、地元愛を伝える冊子作りを夫婦で作り始めた。


 織田夫妻は2人とも、地元【西脇市】をこよなく愛する住人だった。


 夫妻には子どもはいなかった。

 夫である恭太郎は元々、警備員の仕事をしていた。


 しかし、恭太郎の子供の頃からの夢、【本屋さんの社長になる】というその夢を、1度きりの人生で成就させたいと思う毎日だった。仕事から帰っては妻の優子にその話をした。


 毎日その話を聞いていた優子も考えに考えたらしい。優子の方から「できるところから始めてみたら?例えば…無料雑誌作りとか」と発案した。恭太郎には一抹の不安があったが、行動力と情熱の塊である恭太郎は同意し、やると決めたらとことんやる事にした。


 そして、1年が経ち、2年が経ち、ようやく出版の話が出てきた。


 ローカル情報をベースにした雑誌は、地元はもちろん、地元外の人たちにも気に入って貰えた。


 反響が反響を呼び、重版も決まった。テレビでも扱われた。協力してくれていた出版者の社長からは、是非続きの雑誌作りを続けて欲しいと言われた。


 5年、6年、あっという間だった。


 警備員の仕事を辞めても生活ができそうなくらい収入が安定してきた頃、恭太郎の情熱と行動力に感銘を受けた雑誌出版社の社長から、地元に特化した出版物を作る会社を始めてみないかと言われた。双方に協力し合いながら、やってみようと。



 恭太郎は迷わずその道を選んだ。自らが【本屋さんの社長になる】道を。


 最初は小さかった恭太郎の会社も、軌道に乗ってからは小さな5階建ビルディング、北方(きたかた)ビルディングを購入して各階に部署を設置し、雑誌や小冊子、歴史書や、海外の人々向けの雑誌などを作る会社を築き上げた。恭太郎は今でもフリーペーパー作りも辞めていない。


 百合華や夢子を始めとする、編集部女子会メンバーは北方ビルディングの3階にある編集室で主に海外の旅行者や日本在住の外国人、そして最近はネット販売される海外向けの本や雑誌の執筆・校正などを主に担当していた。


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