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瞳洸(どうこう)  作者: 内山潤
第13章 織田夫妻
169/232

199. 織田夫妻

 怜から突然、退所後の怜の暮らしを倉木に話しても良いと聞いた。と思ったら、植杉から突然電話があり、倉木に退所後のことを話してやってほしい、と頼まれた。


 怜から提示された最初のルールに基づいて、織田恭太郎(おりたきょうたろう)は、倉木に「怜は事件に巻き込まれた」とだけ話した。その事件の概要を、倉木は既に知っているという。


 それでも調査をすすめたいという倉木のモチベーションは一体何なんだろうか。それが、織田が期待する、()()であれば嬉しいのだが…。


 織田は、協力するつもりではいた。怜本人が許可しているのならばなおさら。

 しかし退所してからの話といっても、それは長い話になる。

 18で退所した怜は、今38なのだ。20年分をどう語れというのか…。


 織田はいつも通り妻・優子に相談した。

 妻は最初のルール…いわゆるカードで、卒業文集まで持ち出して張り切って百合華に情報を与えた。積極的にこの【調査】に協力しようとしている。

 なので、怜や植杉から退所後の話をしてもいいと言われた旨を伝えると、少し嬉しそうにした。その空白の20年間が無ければ、今の怜は居ないからだ。


 倉木のしぶとさにも感銘を受けた。一個人の暗く重い人生を知り、それに巻き込まれずに前に進もうとする執念は以前の倉木には無かった力なのではないか。それとも、元々そういう素質を持っていたのだろうか?


 しかし、だ。恭太郎は、退所後の話をすると思うと気が重くなった。

 それは、山あり谷ありのジェットコースターのような日々だったからだ。


 それでも、少しでも怜の傷が癒えるのであれば、恭太郎は全面協力しなければならないことは解っていた。


 植杉さんはそれを実行した。

 ならば、自分もできる限りのことをする。


 怜の為にも、倉木の為にも、だ。


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