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パパは破壊神(デストロイヤー)  作者: 空風林
第一章 北方争乱篇(中)
19/21

◇え?volutionその3◇

遅くなりましたが、投稿させて頂きます。

よろしくお願い致します。

ー スクルド居城・会議室 ー


完全にダシに使われた!

ロイは自らの甘さに反吐が出る思いだった。


あの男が元々、東界の主神であった事は知っていた。

普通に考えれば、超要注意人物だ。


しかし、道中、死んだ魚のような目をして、

あくびばかりしているのを見て、

過去の遺物という烙印を押していたのだ。


小僧にしてもそうだ。剣の腕は新兵以下。

多少、知恵は回るが、幼稚で、稚拙。

取るに足らない相手。

そう踏んでいた。


その結果がこのザマだ。

多いに反省しなければいけない。


ついさっきまで、俺にとって、この二人は、

対セラフィーナ用の人質でしかなかった。


考えを改めなければ。


あの小僧がしている首飾り。あれは、間違いなく、

あの忌々しいセラフィーナが、

自慢げにみせびらかしていた切り札。


つまり、それを託されるだけの何かを持っている。

そういう事なのだろう。


世界の命運を左右するこの場面に於いて、

もうこれ以上のミスは許されない。


考えをまとめたロイは、一つの決断をする。


自分がロキの化身術式アバターである事は、

何があろうと、隠し通す。これは、生命線だ。


もし、幽閉されているハズのロキが、化身術式アバターを使い、

何らかの活動をしていると北界上層部にバレた場合、


上層部やつらとらわれている

本体は、消滅させられてしまうだろう。


そうなったら元も子もないのだ。


ゆずるべき処はゆずり、まもるべき処はまもる。

ロイは、そう方針を固めると、象太郎しょうたろうを見た。


「で、象太郎しょうたろう

 この話をどうまとめるつもりだ。」


ロイの言葉を受け、俺は切り出した。


「ロイ。一つ取引きをしないか?」

「聞いてやる。話せ。」

「お前には、ロタを連れ出すのを完全に諦めてもらう。

 代わりに、俺達は、お前の秘密を絶対に漏らさない。どうだ?」


ロイはしばし考えた。


どのみち、この場からロタを連れ去ろうとすれば、

恐らく強攻策に出るしかない。


そうすれば、確実にスクルドを敵に回す上に、

正体がバレる危険も高い。


本体ならばいざ知らず、化身術式アバターである以上、

スクルドには、到底、太刀打ち出来ない。


となれば、この取引は悪い条件ではない。


「いいだろう。」

「ありがとう!」


これで、一番厄介なロイは黙らせた。

俺はグズさんに向き直った。


「では、グズさん。今度は、貴方に質問です。」

「なんでしょう?」

「スクルドさんは、なぜ、ロタの監禁を指示したとお考えですか?」

「恐らく、機密保持の為かと推測してます。」

「ならば、貴方の任務と、俺達の希望は、利害が一致するハズです。」

「言っている事がわかりかねます。ご説明をお願いしても?」


グズは、困惑しながらも、聞く姿勢を保っている。

ここが勝負処だ。


「勿論です。貴方は、機密の漏洩を防がなくてはならない。

 ならば、俺達を、ロタ共々監禁しなくてはなりません。

 なぜなら、俺達は、ロタと共に旅をして来ました。

 その機密とは何の事か、おおむね察しています。」

「つまり、貴方達を、ロタと同じ結界に拘束しろと言うお話ですか?」

「はい。」


グズは思考を巡らす。

機密保持という観点から言えば、拘束は確かに必要だ。


問題は、ロタと会わすかどうかだ。


元来、ロタと象太郎しょうたろうを会わす必要は、グズにはない。

しかし、今回の会談で、グズは、象太郎しょうたろう達に

ちょっとした借りを感じていた。


だが、それは私情と言えば、私情だ。

どうしたものか、、。

グズは迷っていた。


それを見た象太郎しょうたろうは、一つの賭けに出てみる事にした。


「グズさん、これは、交渉ではなく、取引です。

 俺達には、いくつか選択肢・・・があるのはご理解頂けてますよね?

 その中で、一番、グズさんに都合の良い提案をしているつもりですよ。」


ハッタリだ。他に選択肢はあるにはある。

でも、俺の知能で思いつくのは、

選択肢と呼ぶには疑問なレベルの絶対に選んじゃいけないモノばかりだ。


例えば、突然ロイの正体をバラすとかね。


では、なんで、こんなハッタリをかましたのか?

それは、これ以上、何も考えつかなかったからだ。


つまり、智将と呼ばれるグズの頭脳が生み出す、

様々な最悪想定に賭けてみた訳である。


そして、この賭けはどうやら成功した。

なぜなら、グズの顔色が少しずつ青ざめている。


「貴方は、見掛けによらず恐ろしい人ですね。」


絞り出す様にグズが言った。


「全くだ。とんでもねぇ野郎だぜ。」


ロイすら飽きれている。


えっ!お二人は一体どんな想像をしてらっしゃるんですか?

純真無垢な俺には分からないんですが!


「一つ条件があります。」

「な、なんですか?」

「ロタと同じ結界に拘束するのは、

 象太郎しょうたろうさんのみという事でよろしいですか?」

「えっ?親父は?」

「ここに残って頂きます。」


つまり、人質という事か。


「俺はそれで構わないぞぉ。」


親父が同意する。

これ以上の交渉は難しいとの判断か。


「俺もそれで構いません。」

「では、すぐに手配しましょう。」


言うと、テーブルの上に置いてあった鈴を鳴らすグズ。


スグに殺気だった完全武装の衛兵が雪崩込んで来る。

おいおい。殺る気満々じゃねぇかよ。


「落ち着きなさい。武器を納めて。」


グズの言葉に納刀する衛兵達。


象太郎しょうたろうさんを、

 隔絶結界牢ロタのおへやにご案内して差し上げて。

 くれぐれも失礼のない様にお願い。

 そうそう。剣も返してあげてね。」


最後のは意外だった。

まさか武器を返して貰えるとは思ってもみなかった。


「えっ?いいんですか?」

「構いません。なにせ、ロタでさえ、武器は携行していますから。」

「え?そうなの?」

「先ほど、私は機密保持の為にと答えましたが、

 もう一つの可能性を考えていない訳ではありません。」

「それは?」

「ロタを何者なにものからか護る為。

 何しろあの結界は特別性で、砦が完全消滅するほどの衝撃を受けても、

 傷一つ付くものではありません。」


ロイをチラ見しながら言うグズ。牽制みたいだ。

しかし、ロイの表情からすると、どうやら知ってた様子だな。


「貴方にも武器の携行を許す意味。分かりますね?」


つまり、最悪の場合、ロタを護れと。


「はい。けど、そんなに俺を信頼していいんですか?」


グズは、俺に手渡された剣を見つめながら、答えた。


「ロタの口癖は『武器は身体の一部。人に貸せるもんじゃねぇ』です。

 私はおろか、スクルド様でさえも、ロタの武器に触れたのは見た事がありません。

 つまり、貴方は、ロタが身体を預けても良い人という事なのでしょうね。」


微笑むグズ。

おい、何かエロい感じで言うの止めてくれ。

対応に困る。


「この砦の指揮官としてではなく、

 ロタの友人として、改めてお願いします。

 ロタをよろしく。」


とてつもなく穏やかで優しい笑顔だ。

これが、この人の本質なのだろう。

良い友達がいるな。ロタ。


「はい!」


俺は、心から返答し、部屋を出た。

後は頼むぞ親父。




ー ヴィージの森・北の湖畔 夜半 ー


スクルドの陣が騒がしくなり始めたのは、

カトリーナが眠りについた直後であった。


時刻はただ今、0時半。


伝令がテントに駆け込んで来た。


「装備を整え、至急、スクルド様の元へ。」

「了解しました。」


カトリーナは、枕元に置いてあった外套を羽織り、

すぐに、テントを出た。


既にスタンバっていたクラースと共に、

スクルドの元に向かう。


「おぉ。来たか。」

「何かあったんですか?」

「スルトの気配に怯えた竜種トカゲどもが暴走を始めた。

 間もなく、こちらに押し寄せてくる。」

「ゲッ!」

「して、スクルド様。作戦は?」


カトリーナに代わり、クラースが尋ねる。


「この湖畔で迎撃する。幸い、道幅が狭いからな。」

「なるほど。」

「まず、先頭に私が立つ。

 討ち漏らしを10人を1分隊として、5分隊で迎え討つ。

 お前達2人は、空中から全体を見て、独自に支援してくれ。」

「独自にですか。」

「そうだ。討ち漏らしを狩るも良し、窮地の味方を救うも良しだ。」

「かしこまりました。」

「頼むぞ。」


言うと、前線に向かうスクルド。

なんとも頼もしい背中だ。


あの背中を見ながら戦うから、

スクルド軍は類をみない強さを発揮するのかも知れない。

カトリーナは思った。


「クラースさん、私、役に立ちますかね?」


何せ、相手は竜種だ。生半可な攻撃は効かない。


「勿論です。

 私としましては、カトリーナ様の神眼で戦場全体を監視して頂き、

 指示を出して頂けますと非常に助かります。」

「それは任せて!」

「それと、負傷兵の回復ですな。

 戦線を維持する為には、回復魔法は必須となります。」


そうか。攻撃以外のトコなら意外とやれる事あるかも。


「分かった!クラースさん、ありがとう!」


そうこうしてる内に、前方が騒がしくなり始めた。


「クラースさん!」


言うとカトリーナは飛翔した。

クラースが後を追う。


神眼を発動するカトリーナ。

前方の様子を伺う。


先陣では、スクルドが巨人化していた。

身長は6Mほどであろうか。


暴走状態の竜種が次々に襲いかかっているのが見えた。


スクルドは、斬るは、蹴るは、盾で殴るは、踏み潰すは、

もう大暴れである。


おっかな!何アレ、鬼神?


「どうなっておりますか?」


クラースが尋ねる。

それもそのハズ。砂煙で、視覚的には全く見えないのだ。


「圧倒的です。竜種の屍骸が既に堤防みたくなっています。

 アレでは、そうそう後ろに逃す事はなさそうですね。」

「ほう。流石ですな。」

「ただ、大きいのを優先的に叩いてるみたいなので、

 小型はたまに出てくるでしょう。」


カトリーナの言葉通り、程なく、

3mほどの竜種が何匹か抜けて来たが、

分隊同士が連携し、素早く撃退されていく。


この調子なら、出番はなさそうだ。

そう思った直後、事態は急変した。


「ぎゃああああ!」

「どうか致しましたか?」

「おっきいのが来たぁ!!」

「どれくらいのサイズですか?」

「26m58cm4mm!!」


迷い無く答えるカトリーナ。

神眼の精度が以前とは段違いだ。


さすがはセラフィーナ様のご教授を受けただけはある。


「正確な情報感謝します。」


クラースは感心すると共に、

一つの好奇心に捕われていた。


さて、私もセラフィーナ様にお褒め頂いた訳ですが、

どの程度成長していますかな。


「どうしよう!」

「丁度退屈してきた処です。私が行って参ります。」

「スクルド様に報告した方がいいんじゃないですか?」

「スクルド様が動けば、戦線が崩れるでしょう。

 こういう時の為の遊撃隊でございます。では。」


微笑みながら言うと、クラースは高速で飛んで行った。


「行っちゃった、、。」


さっきまでの不安はカトリーナから消えていた。


なぜなら、クラースは、

まるで、友達に誘われて、遊びに行く子供みたいに見えたからだ。



ー 竜の山・麓 ー


湖畔から山岳地帯に差し掛かる辺りにソレはいた。


パニックを起こして、暴走する竜種と違い、

悠然と歩いている姿は、それなりに迫力があった。


しかし、クラースの感想は味気ないモノであった。


『ヘビ夫さんより二回ふたまわり小さいくらいですかな。

 しかし、圧迫感は一桁は違いますな。』


軽く落胆するクラース。

取り敢えず、話しかけてみる事にした。


「そこの竜種あなた。言葉は通じますか?」


話しかけられた竜種は、チラッとクラースを見たが、

無視して、歩き出した。


「言葉も解さない下等種ですか。

 どうやらハズレを引きましたな。」


ため息をつくクラース。

すると、竜種が振り返り、念波を飛ばしてきた。


『誰が下等種やねん!竜種ナメとったらあかんぞ!ボケ!カス!』

「低いながらも知性はありましたか。コレは失礼。」


恭しく礼をするクラース。


『喧嘩売っとんか!!降りてこんかぁコラぁ!!ボテくり回しちゃるぞ!』

「ふむ。喧嘩を売ってる事くらいは、理解出来る程度の知性はある様ですな。」


言いながら、降下するクラース。


『ワレ死んだぞ!』


言うと、前脚の爪で全体重を乗せた斬撃を繰り出す竜種。

片手でソレを受け止めるクラース。


衝撃で、地面は大きく凹んだが、

クラースは深くため息をついた。


「やはり、ハズレでしたか。」


言うと、前脚を掴んだまま、待ち上げる。

実は、腕力ではなく、念動力サイコキネシスなのだが、

そんな事を知らない竜種は、度肝を抜かれた。


『ちょっちょい待てぇい!片手で持ち上げるとか非常識やろ!!』

「貴方に常識を語られるとは、心外ですな。」


聞く耳を持たず、そのまま地面に叩きつけるクラース。

巻き添えで、数匹の竜種も吹き飛ぶ。


『痛ったぁ!なにすんねん!コラぁ!ブチ殺すぞ!』

「まだ実力差が分からないとは、

 やはり相当知性が低い様子。仕方ない処分しますかな。」


言うと禍々しいオーラを発するクラース。

小型の竜種は失神し、中型はよりパニックに陥る。


『待ったぁ!!ちょっと待った!!』

「待って頂けませんかの間違いでは?」

『まっ!待って頂けませんかぁ!!!』

「良いでしょう。」


オーラを納めるクラース。


『サーセン!マジサーセン!』

「おや。口調が変わりましたな。」

『こっちが素です!調子くれてました!マジ、サーセン!』

「まぁ、知性という面ではあまり変わりはないですな。」


別の意味で疲労を感じるクラース。

対照的に竜種のテンションは上がっていた。


『にしても、マジパネェっす!

 俺、片手で投げられるとか初めてっス!』

「取り敢えず、名前を聞かせて頂いても?」

『名前っすか?まだ無いッス!俺、まだ成竜になってないんで!』

「そうですか。

 では、差し当たり、種族名の竜種ドラカと呼ばせて頂きます。」

『ウス!』

「では、行きましょう。」


クラースは、念動力サイコキネシスでドラカを持ち上げ、

そのまま、自身も飛翔した。


『うぉ!!なんじゃこりゃあ!!』

「騒ぐな。行きますよ。」


言うと、そのまま湖畔に向かうクラース。


「ドラカ。貴方には少し働いてもらいます。」




ー ヴィージの森・北の湖畔 ー


クラースが湖畔に戻ると、戦線は少し、乱れていた。


というのも、スクルドが、長期戦を見据えて、

ペース配分を始めたからだ。


分かり易く言うと、小型の竜種は、

意図的に見逃すスタイルに切り替えていた。


勿論、分隊の様子を見ながらではあるが。


クラースに気づいたスクルドは、

声を掛けて来た。


「なんだ!そのデカいのは?」

「スクルド様のペットに如何かと。」

「いらん。」

「まぁ。そう言われずに。」

「使えるのか?」

「そこそこには。」

「では、置いて行け。」

「かしこまりました。」


言うと、スクルドの横に、ドラカを投げ捨てるクラース。


『うわぁぁ!!』

「ドラカ。貴方は、スクルド様のお手伝いをする様に。」

『手伝いって、、何を?』

「同種を皆殺しにされたくなかったら、この混乱を納めるのです。」

『わ、分かったっス!!やってみます!!』


言うと、ドラカは大きな咆哮を上げた。

すると、それまで暴走状態にあった

中型以下の竜種の動きがピタリと止まった。


「ほう。番犬程度の働きは出来る様だ。

 いいだろう。貴様を飼ってやる。」


こうして、竜の暴走はひとまず収まった。


スクルド軍は、それなりに疲労はしたものの、

あれだけの数の竜種と戦い、戦死者を出さずに済んだ。

この事は、兵士達に大きな自信をもたらした。


戦勝に沸き立つスクルド軍。

士気はまさに絶頂と言えた。


しかし、当のスクルドの表情には陰りがあった。


この戦闘で、スクルドは、自らの魔粒子の3割強を消耗した。


そして、この辺りの魔粒子は、未だ空白状態。

つまり、回復が見込めないのだ。


ロタの事も気になるが、今はスルトだ。


中央に応援を頼む使者を送ったが、

到着には、まだ3日はかかるだろう。


それまでは、何としても、ここを死守しなければ。

例え、この命に代えても。


決意を固めたスクルドは、

一人。月を見上げた。


いつもより赤い月は、

血に染まっているかの様に見えた。

次の投稿は、早ければ22日夜。

遅くても、23日夜で予定しています。

よろしくお願い致します。

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